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この現実を受け止めないと本当にヤバイbyキンコン西野

このnoteは2020年4月25日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:神崎 英雄 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今朝、『西野亮廣エンタメ研究』の公式 youtubeチャンネルの方で『チックタック〜約束の時計台〜』という僕が過去に出した本の朗読動画をアップしました。

戸田恵子さんに読んでいただいて、サロンメンバーと一緒に作りました。

ちょうど今起きている新型コロナウイルスの感染拡大とリンクするような内容で、主人公が感染症に飛沫感染してしまう物語です。

早速アップしてすぐツイッターのトレンド入りしました。
何かの励みになると思うので、もしよかったらぜひご覧ください。

今日は、
「この現実を受け止めないと本当にヤバイ」
というテーマでお話したいと思います。

過去を生きる世間

現在と過去と未来の話です。

まず、「未来」についてお話しします。

よく僕はm「何でそんなに未来が見えているんですか?」という質問をされるのですが、未来には「確実にやってくる未来」と「やってきてほしい未来」の二種類があると考えているため、それぞれに分けてお話ししたいと思います。

まず、「確実にやってくる未来」です。

例えば、分かりやすいところで言うと「携帯電話」が世に出てきました。

この時、「確実にやってくる未来」とは、電話ボックスおよびテレホンカードの衰退ですね。これは個人がどれだけ抗おうが、この流れは止められません。

そんな中、僕は電話ボックスなどを作っている人たちに「それはやめておいたほうがいいよ」と言っているだけです。

僕のこの発言は「人を助けよう」と思っての発言なのですが、だいたい炎上します。

『えんとつ町のプペル』無料公開の時がわかりやすいかと思います。

あらゆるサービスが無料化し、

「あなたの業界も入り口を無料にして別でマネタイズするという形にならざるを得なくなるから、無料化反対派に回っていると、あなたが食っていけなくなりますよ」

と述べると

「作品を無料にしたらクリエイターが食っていけなくなるだろう」

とみんなから怒られました。

しかしながら、このコロナを言い訳に、現在では、みんなしれっと無料化してるのですが。ちょっとだけ遅いですね。

これが「確実にやってくる未来」です。

「確実にやってくる未来」は、アンテナを立てていれば普通に見えます。

要は、携帯電話というのを知っていれば電話ボックスはなくなるよね、ということは確実に見えることなので、アンテナを張っているとこれは見えるものであると。

次に「やってきてほしい未来」です。

僕はどちらかと言えば、こちらのほうに注力していますが、これに関しては、ここでは詳しく話したくないです。

ただ一つ、「未来」というものは神様がポツンと落としてくれるものではなく、どこかからか流れてくるものでもなく、「狂人」の圧倒的な想いや、圧倒的な行動がもたらすものです。

つまり、誰か個人が作っているということです。

飛行機にしたって、電球にしたって、iphoneにしたって、それこそ漫才にしたって『エンタツ・アチャコ』という人が作ったものです。

それで、小さい規模ではありますが、日本の芸能で言うと、僕は多分、未来を2、3個ほど作ったと思います。

昨日オンラインサロンの方で、「漫才」と「ブロックチェーン」の掛け合わせによって生まれる、今のところ地球上に存在しないお仕事についてお話ししました。

これは「やってきてほしい未来」であって、気が向いたら実現させに行く未来です。

「未来」には、この「確実にやってくる未来」と「やってきてほしい未来」の2つがあるということです。

次に「現在」と「過去」についてお話しします。

これは、一概には言えませんが、大枠で言うと「いかがわしい」と言われる人たちが生きている世界が「現在」で、「いかがわしい」とバカにしている人たちが生きている世界が「過去」です。

あくまで感覚値ではありますが、他の国の比率についても分からないのですが、少なくとも日本においては、95%くらいの方が「過去」を生きています。

騙されたと思って、僕が3年前に出した『革命のファンファーレ』という本を読んでみていただきたいのですが、いま手元にあるので、いくつか抜粋します。

事務所や芸能界は、タレントから、テレビやラジオの出演チャンスを取り上げることはできても、個人からインターネットを取り上げることはできない。

旧態然とした事務所は、支配関係が破壊されてしまうことを恐れ、タレント個人のクラウドファンディングの使用を禁止する方向に向かうだろうが、それをした時点で終わりが始まる。

次の時代の才能は、わざわざそんな窮屈な場所にとどまらない。組織が個人を支配することはもはや不可能だ。

これを、僕は吉本興業に伝え、吉本興業で『SILKHAT』というクラウドファンディングのプラットフォームを作り、今、たくさんの芸人がそこで仕事を作っています。

次に、「作品の無料化が進みエンタメ業界は完全な実力社会になる」という章では、

『えんとつ町のプペル』を無料公開した時に、「そんなことをしちゃうとクリエイターが食いっぱぐれるじゃないか」という批判が上がった。この言い分は半分正解で、半分間違っている。

厳密に言うと、そこには、『無料公開することで実力が可視化されて売上が上がる人間』と『無料公開することで実力不足が露呈して売り上げが落ちてしまう人間』の2種類が存在する。

実力がバレると食いっぱぐれてしまうレベルの人間が食いっぱぐれるのだ。

これまで入場料によって隠れていたクリエイターの実力(作品のクオリティ)が可視化され、本物はより売れるし、偽物はより売れなくなる。

無料公開とは、つまるところ『実力の可視化』で、それによりこれまで以上に格差が生まれる。

『無料公開することで実力が可視化されて売上が上がる人間』は、今で言うと、米津玄師さんなどがそれにあたるかもしれません。

youtubeに全部公開した上で売上を伸ばしているパターンです。

ちなみに、このyoutubeの流れとは、『革命のファンファーレ』のさらに1年前、つまり今から4年前に出した『魔法のコンパス』という本に書いてあります。

「テレビのひな壇がなぜなくなるのか」を説明した上で、そこに備えて、どのような筋肉をつけておけばいいのかという章で触れています。

それで、僕は学者ではないので、僕の本に書いてあることは僕が実践したことに基づいています。

つまり、半年前から1年前に起きたことをまとめたのが1冊の本になっています。

なので、僕の本は、半年から1年くらい過去で、今世間はその本に書いていたことをようやくやり始めています。

つまり、多くの方が生きている「世間」とは、3、4年くらい前の「過去」です。

3、4年前を生きていた世間はコロナによって首根っこを掴まれて、急に「現在」へと放り込まれてあわあわしているのですが、ずっと「現在」を生きていた人からすると、「そりゃそうだよね」ということが起きているので。

慌ててもいないどころか、これまで先行者利益でマウントを取ってきた人たちが軒並み倒れたので、多分、ニヤニヤしていると思います。

とてもテクニカルな話をすると、いま、みんなクラウドファンディングをやっていますよね。

でも、なかなか思うように支援が集まらないと思います。

コロナちゃんのおかげで「SOS」がレッドオーシャンになっているのもあるのですが、クラウドファンディングで支援を踏みとどまらせている原因の一つに、「ログインの煩わしさ」があると思います。「ログインがめんどくせえなやめとこ」みたいな。

そんな中、自分の半径数キロ圏内に住んでいる人たちが「すでにログインを済ませている人」ならば、その障害がないわけですよね。

だから、何年も前から、ことあるごとにクラウドファンディングをしていたのは「ログインをしてもらう作業」であったということです。

この作業を積み重ねてきた人と、「クラウドファンディングでなんとかしてください」という、今回の安倍首相の言葉を聞いてから動いた人とでは雲泥の差が生まれます。

こういうことって、言われたくないだろうし受け止めたくない現実かもしれませんが、

テレビから情報を受け取ったり、知らない文化を咀嚼する前に否定したりしている人たちは、3、4年前の「過去」を生きているという現実を、1回受け止めた方がいいと思います。

ここからの時代、日本は格差が広がって、今自分たちが3、4年遅れているという現実を受け止めておかないと、本当に、本当に、苦しくなります。

僕は実際に現地に足を運んで、いくつかの国を見てきたのですが、幸い、日本はこれまで恵まれてきたので、まだ多くの日本人は本当の貧困というものを見ていないと思うのですが、貧困って本当につらいですよ。

守りたいものが守れなくなるということは、本当に辛いので、この辺は一緒に頑張っていけたらいいなぁということを思います。

というわけで、
「この現実を受け止めないと本当にヤバイ」
というテーマでお話させていただきました。

大変な日々が続いておりますが一緒に頑張っていきましょう。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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