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人口が大幅に減る日本で、日本のタレントはどう生きるか?byキンコン西野

このnoteは2020年1月3日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:吉田 真志 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
人口が大幅に減る日本で、日本のタレントはどう生きるか?
というテーマでお話したいと思います。

去年、日本の人口が50万人減ったらしいけど、どう考えてる?

年も明けて2020年になったわけですが、去年ね、出生数が90万人を割ったみたいなことがニュースになったんですよ。

予定より2年だったか3年だったか早かったらしいです。

2019年は出生率が過去最少で86万4000人だった。

86万4000人だけ言われてしまうと、あんまりピンとこないですよね。毎年どれだけ生まれてたかちょっとわかんないじゃないですか。

ちなみに1974年は200万人以上生まれてるんですよ。

つまり、赤ちゃんの数が半分以下になってしまったかんじですね。

語られるのは「赤ちゃんがぜんぜん生まれてない」ってことばっかりなんですけど、それだけじゃないんです。

死亡数が増えてるんですよ。寿命で亡くなる方が増えていて。

高齢化社会っていうと長生きする人がずっと長生きしてるってイメージがあるんですが、高齢者が増えると、当然、死亡数も増える。

2018年、死亡数から出生数を引いた人数が44万人ちょっとだったんですよ。それで、はじめて40万人をこえたって話題になったんです。

つまり、日本の人口が40万人減っちゃったっていう。

すごいですよ。1年に40万人減ったって話題になったばっかりだったのに、なんと、2019年は50万人を突破したんですよ。51万2000人とかですね。

2018年に「人口が40万人減った!」って騒いでた翌年に、50万人減ったんですよ。

1年に50万人、人口が減っている国に僕たちは生きているんです。

これを受けて、国はどうする?ってなってるわけじゃないですか。

赤ちゃんを生んでくれたご家庭に手厚いフォローをするのかどうなのかっていうところになっているわけですが。

国はそうなっているんですけど、芸能界ですね。
僕がいる世界の人たち。

僕は足を突っ込んでるから、その人たちの感覚ってわかるんだけど、お客さんがいないと生きていくことができない世界じゃないですか。

だけど、タレントさんってぜんぜんこの話をしないんですよ。

「人口が減ってる、やばいぞ」って焦ってる人がいない。

タレントさんたちから聞こえてくるのは「いまはやっぱりTikTokだよね」とか「YouTubeだよね」とかそんなのばっかりなんですよ。

いやちょっと待てと。

TikTokやYouTubeで発信者が増えてるなか、日本の場合はお客さんの候補が50万人減ってるんですよ。

さすがに人口が減ってることにはみんな当然気がついているんですよ。
でも、まだ実感がないと思うんですよね。

これ、原因はいくつかあるんですけど、大きくふたつだと思っていて。

テレビの視聴率は落ちたんだけど、入れ替わるようにネットがでてきたから「テレビの客がネットに流れた」って整理をつけることができた。

つまり、「人口が移動した」という言い訳で、人口が減っている残酷な現実をごまかすことができたってことですね。ちょっと前までは。

ふたつめが結構エグい話だなと思うんですけど、出生数は1974年は200万人くらいだったから、その頃からずっと減り続けてたんですよ。

ただ、1993年から2016年のあいだは減り続けてはいたんだが、その現象がゆるやかだったんですね。

理由は、1970年前後に生まれた団塊の世代ジュニアが結婚と出産の時期だったから。

団塊の世代ジュニアのところは人口が膨れ上がってるからね。ここの人たちが赤ちゃんを生んでくれたので、減り続けてはいたんだけど、そこまで極端に減るってことはなかったと。

だけれども、いよいよそれも落ち着いてきました。

事実、2017年、2018年頃になると、出生数はハイスピードで減少していったんですね。極端にガコンって減ってるんですよ。

つまり、いよいよくる。人口の大幅な減少を直視しなくちゃいけないときが。

今度はもう、テレビからネットに流れたって言い訳もない。
ほんとうにお客さんが減るっていう現実をみなきゃいけないのが、いまの日本のタレントさんですね。

僕らのチームは絵本『えんとつ町のプペル』以降の作品には英語訳をのせるようにしているんですね。そうすることで海外で個展するときとか、海外のお客様を絵本の対象者にすることができるから。寄付するときもそうですね。

海外で出版が決まった作品に関しては、もちろんその国の出版社に任せてる。たとえば、フランス版はフランス語で文章が書かれている。

だけど、海外に出版が決まる前のものは、日本語と英語訳をのせて作っている。

オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』でも、いまの僕らの手持ちの武器をつかって、どう海外展開していくか?っていう議論をしょっちゅうしていて。

今年の年末に公開する映画『えんとつ町のプペル』も海外展開を見越してプロモーションをしていきます。

海外用のツイッターアカウントのリンク貼っておくのでチェックしてみてください。

結論はですね、そりゃそうだろって話なんですけど、人口が大幅に減る日本で、日本のタレントはどう生きるか?ってことに対する答えってすっげーシンプルに、非言語のエンタメをするか、翻訳のハードルが低いエンタメをするかくらいしかないと思うんですね。

タレントさんはもちろんのこと、ファンの方もここから目を背けちゃダメ。

応援してるタレントさんが食っていけなくなるので。応援することもできなくなるし。

ここに関しては、みんなで議論したほうがいいなぁって思います。

いよいよ日本のタレントさんが言語を無視できない時代がきましたよってことですね。

というわけで、
人口が大幅に減る日本で、日本のタレントはどう生きるか?
というテーマでお話させていただきました。

それではまた明日。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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