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アイデアに価値は無い byキンコン西野

このnoteは2019年10月31日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:緒方 憲太郎さん

どうもこんにちは。
キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をやったり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」の運営をしたりしております。

さあ、今朝はですね、フランスから帰ってきて、その足で栃木に飛んできましてですね、栃木のホテルからお送りしております。

栃木の那須塩原界隈の美術館を転々として、昼頃には東京に戻ろうかなと思っております。

アイデアを出した人のアドバンテージはなんだ?

「アイデアには価値がない」っていうお話なんですけど、
実は昨日、僕のツイッターのほうにですね、こんなコメントがきたんです。

「仕事場で、同僚、先輩にアイデアをパクられて、すごく悔しい思いをしています。」
みたいな。

つまるところ、
「自分が考えたアイデアが取られてしまって、そっちが採用されてしまって、そっちに先行かれてしまった。悔しいからどうしたらいいですか?」
みたいなコメントがきたんですね。

もうね、気持ちは痛いほどわかる。

やっぱ自分がしぼりだしたアイデアが、パッて取られてさ、それがトントントンといって、目の前で成功されてしまって、その人がほめられてるわけじゃないですか。「すごいなお前」って。

で、その人が「いやいや、それほどでも」みたいなやってるわけじゃないですか。

まぁ、ふざけるなって思うよね。それはね。
すっごく悔しいと思う。気持ちはほんとによくわかって、
僕自身もアイデアっていうのはパクられるって言い方が、どうなのかな、適切なのかわからないけど、よく真似されるんですよ。

でね、相方の梶原くんが、「腹立たないの?」ってよく言うんですね。
一緒にやってるYouTubeチャンネルとかでも、よく「そんな先輩とかに腹立たないなぁ」って言われるんですけど、

その心はなにか?って言うとですね、自分がやってることをマネされたりはするんですけど、その前にですね、自分がやってたことが、同業に人だとか、国民のみなさんにたくさん叩かれて。

「お前痛いな」とか「空気読めよ」みたいな。
「バカじゃないの?」「宗教かよ、詐欺かよ、搾取かよ」みたいなことを、さんざん叩かれた、そのアイデアが、数年後にマネされてるんで。

その一部始終をね。いちばん近くでみてる梶原くんからすると「腹立たないの?」ってなるわけですよ。

「お前ら、この前まで西野のこと叩いてたじゃないか!よくそんな平気でマネできるな」っていう。やっぱ梶原くんはそう思うんですよ。やさしいから。

その気持ちはよくわかるんですね。
自分も、だって、
「クラウドファンディングのこと、数年前まで叩いてたじゃん」とか
「オンラインサロンのこと数年前まで叩いてたじゃん」とか、
「お客さんとゼロ距離で会うことバカにしてたじゃん」とか、
「チケットの手売りとか、そんなのバカにしてたじゃん」とか。

芸人がお笑い以外のこと、ひな壇以外のことしたら、みんな叩いてたじゃん。

それこそ、書籍の無料公開。みんな叩いたじゃん。ボロカスに言ったじゃんみんな。

だけど、半年くらいしたときに、みんなやりだすわけですね。
無料公開が結果でたら、
「あ、それいいんだ!?」
みたいなね。
ふつうにマネされたりするんですね。

それだけじゃないんですけどね。
やっぱり、アイデアみたいなものが、マネされる、横取りされる、みたいなものは、けっこう僕はその目に遭ってるほうだと思うんですね。

でもね、やっぱりそのときに思うのは、
「それでも時代が前に進むんだったらいいじゃん」って。

いっつも天秤にかけるのはね、
自分の名誉がほしいのか、時代を前に進めたいのかっていう、
このふたつなんですよ。どっちかなんですよ。

取り分ぜんぶ自分でいただくのか、
それとも、使ってくださいって提供して時代を前に進めたいのか。

だって、書籍の無料公開だって、それでさ、みんな一回叩いたわけだけど、
結果、出版業会の、広告戦略のスタンダードになって、それで本がたくさん売れるんだったら、それは本望だし。

僕も、出版社だとか、本屋さんだとか、取次の方だとか、それで生活ができたら、ありがたいから。

自分の名誉がほしいのか、時代を前に進めたいのかで言うと、
そりゃ、ほめられたいよ。ほめられたいし、自分の取り分もほしくないって言ったらウソになるんだけど、

それよりも、なによりも、
僕は時代を前に進めたいし、人類を前に進めたいし、
もっともっと明るい未来を手繰り寄せたいから、

自分の考えたアイデア、いいのがあったら、どんどん使ってくれってね、思うようになった。

でね、僕のツイッターにコメントをくださった方にね、言葉をかけるとしたら、このラジオをお聴きのね、あなたに声をかけるとするのであれば、

あなたが使っているサービスのほとんどは、誰かのアイデアをパクったものである。

そもそも、元となるものがあって、「それいいじゃん」って言って、それをうまいことアレンジして、世界に広めたのが、いまだいたい、あなたが使っているようなサービスですね。オリジナルではないってことです。

思い当たるのは、だいたい、ふだん使ってるSNSを考えると、インターネットのサービス、いろいろ調べてみると、その元となったものが、だいたいあるんですね。オリジナルアイデアをだしている人がいて、それを上手にアレンジした人がいてね。それが世に出回っていると。

僕はこんな仕事をしているから、いろんな方から、起業家の人とか、おもしろいことやろうとしている人から「こんなアイデアどうでしょう?」って提案していただけるんですけど、もう、プレゼンされてるアイデアっていうのは、ほとんど世の中にあるもので。

言ってしまったら、9割は世の中にあるもので、1割はひねりすぎて、世の中には必要でないもの。

自分のアイデアっていうのは、基本的には、ほかの人もだしているっていう風に思っておいたほうがいいかもしれない。

これだけ地球人がいて、自分と同じだけの情報を飲み込んでいる人がいて、自分以上に情報を飲み込んでいる人がいると、「あ、これおもしろいかも」って誰のパクリでもない、自分で生み出したアイデアであっても、すでに思いついてる人は、最低でも1万人はいると思ったほうがいい。

その上で、
なんでこのアイデアが形になっていないのか?世の中にないのか?

そこから考えていかないと、つらいことばっかかもしれないね。アイデア勝負になってくると。

じゃあさ、たとえば、アイデアをしぼりだした人は、そのぶん時間をつかっているわけじゃないですか。ほかの人がなんかしてるあいだ。「なんかおもしろいことないかな〜?」ってアイデアをしぼりだす作業をしているわけじゃないですか。

じゃあ、アイデアを出した人のアドバンテージはなんだってなってきますよね。

これはなにかって言うと、
いちばんのメリット、優位に立てることはなにかって言うと、

誰よりも先に、そのアイデアの実現に向けて動き出せる

っていうことですね。その権利をもらえると。

その権利を使わないと。
誰よりも先にアイデアをしぼりだした意味がないっていうことですね。

そこだから。最初にアイデアをだした人のアドバンテージって。

いちばん最初に動けるってことなんです。

まとめ

「職場でアイデアをパクられて悔しいです」っていうコメントへのアンサーではあるんですけど、

これはですね、厳しいことを言うと、
動き出すのが遅かった
ってことかもしんない。

誰よりも先に、そのアイデアを実現できる権利をもっていたのに、行動を起こすのが、形にするのが、遅かったってこと。

すごく理不尽と思うかもしれないけど、ここを受け止めないと、今後はそんなことだらけだから。

今回のことが、話し合いして、「それ、わたしが考えたやつじゃないですか!」って、「これ、わたしにやらせてくださいよ!」って言って、そこで先輩が「わかったわかった」ってそのアイデアを返してくれて、そのアイデアが形になったとするじゃん。

でも、そんなことが通用するのは、関係性があるところだけで、社会にでると、そんなことはもう、そんな話し合いはできないんだよね。

もう、一瞬で取られるから。アイデアなんて。

だから、思いついたらすぐに動き出す。
いちばんの悪は、行動しないこと。

最初にアイデアを実行できる、動き出せる権利を使わないことですね。

これがいちばんの悪としておかないと、ずっとつらい思いをするから。
そこのクセはつけたほうがいいかもしれないですね。

くれぐれも、「アイデアに価値はない」っていうのは、言い過ぎな気もしてるんです。
価値がないことはないんだけども、「アイデアに価値はない」って言い聞かせないと、やりきれないことが多すぎるってことですね。

すごい今回はつらい思いをしたかもしれないけど、ひとつ、僕はいい勉強をしたなと思います。

次、おもしろいことを思いついたときは、思いついた瞬間から動き出す、一歩目をだすっていうクセをつけておいたほうがいいと思う。

そして、もし、次におもしろいネタを考える機会があるのであれば、パクられないアイデアを思いつくっていう訓練をしたほうがいいかもしれない。パクリようがない。

オンラインサロンで最近そういう話ばっかりしてるんですけど。「他人がパクリようがないアイデアをだす」っていう。

それは一体なんなんだ?っていうと、ここから先はブランドとかの話になってくるので、また長くなるので、機会があったら、今後そんな話もしていきたいと思います。

というわけで、今朝は「アイデアに価値はない」というテーマでお話させていただきました。

たいへんなこといっぱいあると思いますが、応援しています。がんばってください。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

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