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キンコン西野が吉本興業に激怒した件について

このnoteは2020年9月10日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:目の前の人にとって意味のある人になりたい わらしなゆうき さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キンコン西野が吉本興業に激怒した件について」
というテーマでお話しします。

おととい、僕が、ものすごーく怒った「インタビュー記事の改ざん問題」について、対処方法も気持ちもまとまったので、お話ししたいと思います。

 
まずは、何のこっちゃ分からない人の為に、もう一度、何が起きたかを駆け足で説明すると…


これは本当にインタビュー取材あるあるで、業界の悪しき習慣で、僕の友達も毎度泣かされているのですが……インタビュー取材で「ハズレのライターさん」というのがいて(ほとんどのライターさんは素敵です!)、そういう人に当たってしまうと、現場で喋ったことが、大きく捻じ曲げられて記事として出ちゃうんですね。


厳密に言うと、記事として出ちゃう前に、「原稿チェック」というものがあって、事前に記事が届くのですが、そこで、あることないこと書かれているもんですから、再び、本人が原稿を書き直さなきゃいけないんです。

「これって、何の時間?」っていう話じゃないですか。

 
取材で喋ったことを、そのまま文字にしてもらうだけでいいのに、ライターさんが色を付け加えちゃうから、その付け加えた部分を削って、元の文章に直すことにコストがかかっている。

ここに費やすコストの問題に関しては、後程もう少し詳しくお話しするので、なんとなく「手直し」のコストがかかっていることを覚えていてください。


そして、ここはキチンと整理しておきたいのですが、たとえばテレビに出させていただく時などは「ディレクターが編集する素材」として出ているんですね。

当然、死ぬほどスベる時もありますし、『ゴッドタン』の収録なんかは、編集無しでお届けしたら「ほぼほぼ肛門しか映っていない」という大変なことになりますから、そこは編集に助けてもらって、僕らは現場で頑張るだけ頑張って、「あとは煮るなり焼くなり、好きにしてください」といった感じです。

そりゃ、時々、編集の肌が合わないディレクターさんがいるのですが、そこは「相性の問題」で、「ああ、今回のスタッフさんとは肌が合わなかったね」というだけなんです。

テレビは、そういう感じで株を持ち合っています。


一方で、インタビュー取材というのは厄介で(※いや、そのまま書き起こしてくれたら何も厄介じゃないんだけど)、まずは「ドキュメンタリー(本人が話した言葉)」として届けられる。
それなのに、ライターさんが全て創作することができる。

極端な話、西野のインタビューカットの写真さえ撮ってしまえば、あとはライターさんがゼロから100まで文章を作れちゃうんです。

そして、タチの悪いことに、「自分の色を出したがるライターさん」というのがいる。

いやいや、ライターさんの言葉として文字になっていたら何の問題もないですよ。

そうじゃなくて、「西野の言葉」として、ライターさんが色を出してしまう。

 
昔、敬語を取っ払われて、一人称を全て「俺」にされることが結構ありました。あと、不思議な関西弁。。

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まぁ、そのへんは千歩譲って大目に見るとして、ツライのは「現場で喋っていないことを書かれる」です。

その記事は呪いのように後世に残って、読者の方から「あのインタビューで話されていた、あれって、どういう意図なんですか?」という質問が僕のところに届くんです。

僕は「ライターの捏造記事の尻拭い」を未来永劫し続けなきゃいけないんですね。

この尻拭いに費やすコストについても、後程詳しくお話しするので、なんとなく「尻拭い」のコストがかることを覚えておいてください。


過去にも、インタビュー取材であることないこと書かれたことがありました。

そこで、「どうして、現場で話してもいないことを書くんですか?」と聞いたら、「すみません、バズると思ったんで」と耳を疑うような答えが返ってきて、この人達は、人が数字に見えちゃっているのとしているのだな、と思いました。


それより何より僕は『言葉』を生業としている人間でして、たぶん、そのへんのライターさんよりも、お喋りも、文章も、上手なんです。

言葉を生業としている人間が紡いだ言葉を「素材」として、改ざんしちゃうのって、「ウーバーイーツの店員さんが配達中に味付けを変えちゃう」みたいなことですから、すんごい営業妨害なんです。

そんなこと絶対にしちゃダメじゃないですか?
でも、しちゃう人が一部いらっしゃる。

これまでにも、そういう事件は何度も起きていて、その都度、注意を繰り返していて、ついに(2〜3年前かな?)吉本興業の広報の責任者を呼び出して、「僕がインタビューで話したことに手を加えるのは辞めてください。それが守れないのであれば、僕は今後、全ての取材を受けません」と最後通告をししたんです。

そこで「もう金輪際しません。もし、ライターが西野さんのインタビュー記事に手を加えても、2重チェック体制で、現場で喋った言葉に戻すようにしますので。あと、各媒体にも、西野さんの言葉にはくれぐれも手を加えないように、伝えます」と言っていただけたので、グッと我慢して、もう一度、インタビュー取材というものと付き合うことにしたのですが……今回、またまた同じような事故が起きた。


今回は本当に酷くて、僕が他のインタビューで喋ったことや、ブログに書いたことを、僕の言葉の中に混ぜ込んでこられました。

とにかくシッチャカメッチャカな文章にされて、そして必殺の「原稿チェックお願いします」。


「流石に、これは酷いよね」ということで、インタビュー記事は、お蔵入りにさせていただいたのですが、お蔵入りにしたところで、インタビューに費やした時間は戻ってこない。

 
それより何より、「何年間も同じ事故が起こり続けている」ということが問題で、これは吉本興業の広報のマネージメントが機能不全を起こしているわけじゃないですか?


これを「マネージャーのお前のせいだ!」とはしたくなくて、「西野の言葉は絶対に手を加えちゃダメだ」というのがあるのに、吉本興業の社員は部署を移動させられまくるので、その「引き継ぎ」が上手く機能していない。

吉本興業のルールが変わらない限り、この事故は起こり続けるので、昨日、吉本興業と話して、僕のインタビュー取材のマネージメントに関しては吉本興業には外れていただくことにしました。

今後は、株式会社NISHINOが窓口となって、全ての取材に対応していきます。


…ていう話を、実は、昨日のYouTubeの生配信でしたら、「いやいや西野さん、吉本興業がとってきてくれる取材案件がなくなりますよ」と言われたんですけども……腹割って喋っていいですか?


多くの場合、僕のインタビュー記事の宣伝を一番しているのは、僕なんです。

その媒体よりも、僕個人の方が影響力があるんです。


それを言うと、「いやいや、ギャラを貰ってるんだから」みたいな、「お金で折り合いをつけろよ」的なことを言われるんですが、インタビューなんて無償だし、あっても「謝礼」ぐらいだと思います。

いくらかは知りませんが。

「記事」と「お金」ということだけで言えば、僕、自分のオンラインサロンに毎日記事を投稿しているのですが、だいたいサロンの一記事の売り上げが230万円です。

お金で折り合いをつけるのであれば、僕は、もっとサロンに集中します。


ライターさんが捏造した記事の「手直し」に時間がかかり、ライターさんが捏造した記事の「尻拭い」を延々とさせられて、そして、その記事(媒体)を西野が宣伝する。

それでも僕が、その仕事をやらせてもらっている理由は一つで、その媒体さんの応援です。

お金なんかじゃないです。

「お互い頑張っていきましょうね」という人間関係だけでやらせてもらっているので、「約束を守らない」が何度も続くと、一緒にやれないんですね。


昨日、吉本興業と話をして、西野の取材の窓口からは外れていただきました。

もしかしたら、それによって、僕の取材が減っちゃうかもしれないのですが、そもそも僕は他のタレントさんと違って表に出たい人間ではないし、発信したいことがあれば、自分のメディアで発信した方が多くの方に届くので、今後は、そうさせていただきます。


今回の件で、もしかしたら応援してくださっている皆様にご心配をおかけしたかもしれません。

ごめんなさい。

とりあえず、こういう感じで着地しましたので、御報告です。
引き続きよろしくお願いします。


というわけで、
「キンコン西野が吉本興業に激怒した件について」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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