プロの思考量と努力量を侮るな by キンコン西野
このnoteは2020年1月15日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:實 結樹 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
「プロの思考量と努力量を侮るな」
という、ちょっとマッチョなタイトルでお話したいと思います。
キンコン西野の『思考量』と『努力量』
けっこう身も蓋もない話になってしまいますが、僕の愛情だと思ってなんとか受け止めてください。
僕はよく「それは影響力のある西野さんだからできるんですよ。僕なんかがやってもダメです」みたいなことを言われます。
度々言っておりますが、そのセリフを吐くからには、最低限、僕と同じ分だけ発信しておかなくちゃいけない。
ちなみに僕は、毎朝voicy(YouTube)を配信して、ブログを書いて、オンラインサロンの記事を2、3000文字ほど書いて、自分のオンラインショップで受け付けた絵本にサインをいれて梱包して配送しております。これが朝のストレッチです。
これらをだいたい9時くらいに終わらせて、ここから仕事がはじまります。
映画つくったり、絵本つくったり、漫才したり、講演会に行ったり、国内外の個展会場に足を運んだり、美術館の打ち合わせとか、会議とかいろいろありますね。
1日、平均19時間〜20時間くらい働いています。
この生活を20年間くらいしているのが僕です。
毎日、これと同じくらい発信した上で「自分のほうが結果が出ていない」と言うのであれば「それは西野さんだから」という説明は成立すると思いますが、恐らくほとんどの方が僕の十分の一も発信していないと思われます。
実は、この話は以前もさせていただきました。
「そもそもお前、努力してねぇじゃん」っていう。「才能のせいとか、環境のせいにしているけど、そもそも西野の十分の一も努力してない。それじゃあ、才能とか環境とか語る資格はないよ」と。
ではなぜ今回、またあらためて脅しのような話をしたかというと、「けっこうな数の方が、プロで食っている人の『思考量』と『努力量』をまったく想像できていないんだろうなぁ」と思う出来事があったからです。
プロはなぜ、プロなのか?
それは、昨日の配信です。
僕はいつも、voicyというラジオ配信を7時に更新するのですが、昨日は7時10分に起きてしまいました。なので、「やばい!」と思って、寝起き1分後に録音ボタン押してすぐに喋りはじめました。
テーマは、『シナジーマップ』についてで、「自分が手がけているプロジェクトの各プロジェクトが、ほかのプロジェクトにどういった影響を与えているのか可視化するマップを描くことが非常に大事ですよ」という話をさせていただきました。
すると、それを配信した直後から「さすがに寝起きは嘘だろう」、「さすがに文章整理してるだろう」というツッコミが結構入りました。
同じような経験でいうと、去年の近畿大学の卒業スピーチです。おそらく15分ほどのスピーチでしたが、僕が「ノープランで出てきました」と言ったときに、「さすがに嘘だろう。台本があるよ」みたいなツッコミが結構入りました。
まるで鬼の首をとったように「台本があるのに『台本ない』っていう程で喋っているに違いない」とか、昨日の配信にしても、「文章を考えているのに、寝起きっていう程で喋って、さも天才ぶりを演出しているにちがいない」みたいなツッコミが入ったんです。
厳しいことを言うと、「そこでそう思ってしまうからお前はダメなんだよ」と思いました。
例えば、ウサインボルトが準備運動なしに100メートルを11秒台で走れるよって言っても「さすがにそれは嘘だろう」とは言わないじゃないですか。「ボルトだったらあるんじゃないかな?」って思いますよね。
プロ野球の4番バッターが、寝起き1発目で柵越えホームランを打ったとしても、「寝起きは嘘だろう」とは言わないじゃないですか。「プロって準備運動なしにこれくらいいけるんだな〜」と納得するはずです。
つまり、多くの人がアスリートの場合は想像がついているんです。
「準備運動なしでこれくらいのパフォーマンスができるから、寝起きの状態でも本番であれだけの結果がだせるんだろうな」と。
トークやアイデアもこれとまったく同じで、いつ何時であろうとも喋れる準備ができているし、寝起きで頭がまわっていない状態であろうと、全員をうならせられるほどのプレゼンができる準備ができているから、結果が出せます
10分ちょっとで話をまとめるなんて簡単だし、終了2秒前に「あと1時間延ばしてください」って言われたら、そこから1時間延ばして最後にクライマックスを持っていくことも余裕です。
それをできるくらいの努力をプロはずっとしている。
それこそ、僕のお友達でSHOWROOMというサービスの代表の前田裕二さんんという方がいますが、彼は一昨年か3年前に、誕生日会ですごくお酒を飲んで急性アルコール中毒で運ばれてしまいました。そこで、救急隊員に声をかけられたとき、意識がない中でも、ずっと理路整然とSHOWROOMのサービスの説明をしていたそうです。ずーっとです。
彼からすると、サービスの説明なんか何万回もしているから、その口の動きを口が記憶しているということです。
それがプロですね。
それがプロの世界で食っていける人です。
たとえ意識がなくてもお客さんを満足させることができる。
自分が手がけてるサービスのプレゼンであれば、意識がなくてもできる状態まで仕上げている人がプロです。
話を戻すと、僕に対して「さすがに寝起きは嘘だろ」とツッコミを入れてしまっている時点で話にならないと言えます。
おそらくうちのスタッフであれば、昨日の配信を聴いて「寝起き1発目で喋ってます」と僕が言っても「寝起きは嘘だろう」とは言わない。きっと、うちのサロンメンバーもそんなこと言いません。
うちのスタッフやサロンメンバーの感想は、「寝起きすぐにあれくらい喋れないと話にならないよね」となるはずです。
「そりゃそうだよね」「それくらいやって、ようやくスタート地点なんだから」と、疑わずに理解してくれると思います。
ましてや、毎朝のサロン投稿、つまり有料記事にかけるエネルギーは、voicyやYouTubeと比べものになりません。
僕は、voicyでは古典的な内容しかお話していないので、たとえベロンベロンに酔っ払って意識が飛んでいる状態でも、これくらいのことは喋れるし、いきなり話を振られても理路整然と答えられます。
当然、本気を出しているオンラインサロンの記事はこの比じゃありません。
つまるところ、「エンタメの最前線は、みなさんが思っているよりも修羅の国です」ということです。
「こちらの世界に来られるのであれば、相当の覚悟を持っていらしてください」というお知らせでした。
というわけで今日は、
「プロの『思考量』と『努力量』を侮るな」
というテーマでお話させていただきました。
ちょっと怖い内容になってしまってすみません。でも非常に重要なことだと思います。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。キングコング西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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