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素人がイベントを運営する時に必ず踏む「地雷」を一挙公開!byキンコン西野

このnoteは2019年12月18日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:松井 真吾 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
素人がイベントを運営する時に必ず踏む「地雷」を一挙公開!
というテーマでお話したいと思います。

テーマは一つ「余計なことはするな!」

他人事じゃない話になってくると思うので聞いて頂けると嬉しいです。

個人が誰でも発信できる時代になったので、素人さんがイベントを主催する機会って増えたと思うんですね。

「キングコング西野さんを地元によんで西野さんの話を聞いてもらおう!」みたいなことを。

僕自身、クラウドファンディングのリターンとかで講演会を主催する権利を出させてもらっているので、週に2回ぐらいは全国どこかの地域で講演会をさせて頂いています。だいたい、主催は素人さんです。

これに関しては非常に感謝をしています。ありがたいです。

今日は今後のこういった機会のために、素人さんがイベント主催される時に「ここ気をつけておいた方がいいよ」っていうお話をしたいと思います。

まず、素人さんが考えなきゃいけないのは、
何をやるか、ではなくて、何をやらないかですね。

「これはやっちゃダメだよ」っていうのを押さえておけば、まずまずイベントはうまくいく。

やっちゃダメなことを順に言っていきます。

絶対アウトなのが、集合写真。

終演後に「スタッフとお客さんとの集合写真撮りたいです」みたいな声があるんですが、集合写真の集合する時の練習を一切していない。これは本当に最悪。

主催者さんは、集客を頑張ったから記念に収めたいという気持ちは分かるんですが、お客さんからすると集合写真の時間って本当にどうでもいい時間なんですね。

それにも関わらず、記念撮影をするスタッフが舞台袖からだらだら出てきたりする。お客さんからすると「なにを見せられてんの?」って感じですね。

イベントのいちばん最後に、よくわかんないスタッフの背中を見せられる
って結構辛いと思うんですね。

なので、まずは集合写真をパッとでてきててパッと撮る練習をされておいたほうがいいと思います。

つぎがけっこうやりがちで、本当に最低なんですけども、
会場に変な飾り付けをする。

プロの美術さんを入れて徹底的に作り込むならまだしも、素人さんがあれやこれややってしまうと、余計にみすぼらしく見えるんですね。

何もない壁に何もなかったら何も思わないんだけれども、何もない壁にお誕生日会とかで発動する紙の花みたいなやつが貼ってあったりしたら「予算なかったんだな」ってしまう。

マイナスの感情が、花を貼ったことによって生まれてしまうんですね。

とにかく素人さんって、なぜか会場の壁に何か貼りがち。
あれ本当にやめたほうがいいです。

以前あった話なんですけど、隈研吾さんという有名な建築家さんの「日本の建物何選」とかに選ばれるようなチョー素敵な建物があって、主催者さんから「その会場で講演してほしい」と依頼を頂いて、その会場で講演することになったんです。

でもね、そのチョー素敵な会場に、お花がむちゃくちゃ貼ってあったんですよ。僕、その花のこと「ババア花」って言ってるんですけど、「ババア花」がスタッフさんが一生懸命つくって、前日の夜とかに集まって「お花つくろう!」みたいにやったやつが、至るところに貼ってあるんですね。

隈研吾さんの建築美がぜんぶぶち壊しになってるんですよ。
努力が裏目にでてるってパターンですね。

たぶん、自分がお客さんとして行ったときに、有名な建築の壁におばさんたちが作った花がベタベタ貼られたら嫌だと思うんですね。

清水寺の壁に手作りの花とか折り紙のチェーンみたいなのが貼ってあったら嫌じゃないですか。「清水寺をみたい」って思うはずなんですよ。

結局、何かって言うと、壁にペタペタ貼ってる人っていうのは自己満に走ってしまってお客さんで慣れてないってことですね。これ本当にやめたほうがいいと思います。

次に、これは本当に最悪中の最悪なんですか、
余計な演出を入れる。

自分が手がけるイベントだから「普通とは違うことをしたい!」みたいな気持ちはすごくわかる。

ただ、お客さんは劇団四季も経験してるし、ディズニーも経験してるし、セカオワのライブも経験していたりする。YouTubeで見てたりすると。

忘れちゃいけないのは、イベントの満足度って相対的なものだから、お客さんは他でやってるイベントと比較して今日のイベントを評価する。

素人の思いつきで勝てます?
劇団四季やディズニーに。素人の思いつきと素人の予算で。

素人が考えるこれまでなかった演出っていうのは、これまでなかったわけではなくて、過去に数万回試されて失敗することが確定したから捨てられたんですね。

見たことがないあんな登場の仕方やこんな登場仕方などは、その主催者さんが見たことないだけで、過去にやられていてぜんぶ火傷して捨てられたものなんです。だから見たことがない。

もっともっと残酷なことを言うと、お客さんは素人の演出なんか見に来てない。それよりも「とっとと出演者だしてよ」って思ってるんですよ。

素人が作ったVTRとか全然見たくないんですよ。
みたいのは出演者なんです。

お客さんの立場になって考えたらそうだと思って。

池上彰さんの話をお金を払って聞きに行ったのに、素人の主催者が演出凝りまくって、オープニングVTRを7分ぐらいを作ってしまった。それによってトーク時間が短くなったりすると「おい!」となるじゃないですか。「登場の演出いらんねん!」みたいな。

くれぐれも余計な演出がやめたほうがいいですね。これに尽きる。そんなに自分好みの演出をしたかったら、自分の単独ライブでやれってことです。

ほんとに主催者さんが気をつけなきゃいけないのは、イベントの失敗は主催者ではなくて出演者のせいになるっていう事ですね。

つまり池上彰さんの講演会を聞きに行って、主催者が7、8分のVTR流して、しかも終わり変な演出入れてお客さんの満足度が下がったら、お客さんは「池上彰の講演会ひどかったよ。段取り悪かったよ」「もう池上彰の講演いくのやめよ」ってなっちゃう。

余計な演出入れたことによって池上彰さんの集客力を通していたりだとか、
お客さんを傷つけていたりするので、くれぐれも全ての責任になってしまうから本当に気をつけた方がいい。

あと、絶対やっちゃダメなのが、
客席を埋めることを目的とすること。

「1000人の講演会やりたいんです」ってよく言われるんです。

でも、その講演会をやりたい理由は何かっていうと「私が1000人埋めた」っていう勲章がほしいだけ。いちばん奥に座ってるお客さんを満足させられる音響、照明、演出、できるか?っていったらできないのに。

1000人集めてしまうと、そのぶんだけ難易度高くなってしまうので不満を覚える人が増えてしまうんですよ。そうすると、出演者やお客さんがケガがする。

運転免許持っていないのF1に乗るような危険さですね。
くれぐれも客席を埋めることを目的としちゃダメだってことですね。

無料招待はするな!

絶対にやめたほうがいいのは無料招待ですね。
これは本当にやっちゃだめ。

僕はね『SHIBUYA FREE COFFEE』っていう「コーヒーを贈る」みたいなコンセプトのお店をやっていて(現在は終了)、贈り物をおもしろがってあれやこれやとやっているんです。

それを受けて「イベント参加券を贈る」みたいなことをやりがちな人がいるんですが、これは本当に最悪です。

無料で集まったお客さんっていうのは、 温度が低いんですね。
なんなら場合によっちゃ出演者に興味がなかったりするし。温度が低い人がその空間に3割でも居てしまったら、体温の低さが伝染するんですよ。

よく客席を埋めようと思って無料客を入れちゃう人っているけど、それするぐらいだったらイベントしないほうがいいですね。無料客の体温の低さってぜったい伝染するから。

まだ4、5人だったらいいよ。それくらいだったら。でも、イベントの2割3割ぐらいはが無料客だと、盛り上がっちゃいけない雰囲気になる。拍手とかわーってしたらあかん雰囲気になっちゃうから。

なので、ギフト経済みたいなのは最近ちょこちょこ聞きますが、くれぐれもイベントのチケットだけはギフトにしちゃダメ。

イベントっていうのは、出演者だけでつくるものではなくて、出演者、スタッフ、そしてお客さんと作るものなので。お客さんの熱量が低かったらイベントは100%失敗します。ステージ上にやる気のない演者が2、3割いるような感じです。

空間はひとつなのでね。

だから、もう本当にやっちゃダメ。無料招待は。コーヒーはそれをやっていいけど、イベントチケットはやっちゃダメですね。

無料招待しない。客席を埋めることを目的とするな。余計な演出を入れるな。会場に変な飾り付けをするな。集合写真の練習をしとけ。

以上のことを押さえておけば、基本的には、イベントや講演会で心配することはないと思います。

もう一言でまとめると余計なことするなですね。

既存のイベントっていうのは、いろんなパターンを試さた上でのひとつの正解なので。お客さんが待っているのはアレであるっていうことですね。

主催者は、見誤っちゃいけない。
主役はあなたではなくて、お客さんだってことを。
それを忘れずにイベントをすれば、みんなしあわせになると思います。

というわけで今回は、
素人がイベントを開催する時に必ず踏む「地雷」を一挙公開!
というテーマでお話しさせていただきました。

くれぐれも挑戦するなって言うことではないです。
イベント主催開催はやりたいって言うんだったら、僕は本当に応援したい気持ちはたくさん持っているので。

ただ、責任が取れない挑戦は挑戦ではないということを踏まえておいていただけるとうれしいです。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。キングコング西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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