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イノベーションの起こし方byキンコン西野

このnoteは2020年2月11日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
Voicyの提供:宇留間祐介さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしています。

今日はですね
イノベーションの起こし方
というテーマでお話ししたいと思います。

イノベーションキラーを消せ

漠然としたタイトルですけど、それなりに具体的な話ができるように頑張ってみます。

僕は「現代の革命家」と紹介される機会が少なくないんです。

なんかかっこいいしモテそうなんで、こっそり気に入ってて大きく否定もしてなかったりするんですけど。

成功するっていうことと、革命を起こすということは微妙に違っていて、後者はいわゆるゲームチェンジですね。

イノベーションというものです。

既存の常識ルールを変更、塗り替えるということになってくる。

たしかに、そういうことはこれまで何度か行ってきたし、今後もやると思います。

ただ、くれぐれも言っておきたいのは、イノベーションを起こそうと思ってイノベーションを起こしているわけではないということ。

このままのルールだと自分や自分の周りの人たちが食いっぱぐれてしまうから必要に迫られてゲームチェンジしている、イノベーションを起こしているという話ですね。

ひな壇に出ないのも、絵本を無料公開したのも、収入源を広告費からダイレクト課金に移したのも、必要に迫られてですね。

既存のルールで幸せに生きていけるならば、僕は既存のルールに従って生きていたと思います。

なので、なんでもかんでも新しいことをやる暴れん坊ではないということですね。

僕は歴史文化オタクで歴史文化をめちゃくちゃ大事にする奴なので、歴史の文脈をさかのぼって、これを大事にしながら次はこういうことをやっていきましょうみたいなことをするので、とにかくなんか破壊だみたいなやつでは決してないということですね。

とはいえ、イノベーションと呼ばれるアクションを起こしがちな人物であることは確かで、そういうことをこれまで何度もやってきました。

で、そういうことを何年もやっていると、イノベーションをしたときに発生する周囲の行動パターンが見えてくるんですね。

今日はその話をしたいんです。

まずイノベーションを起こす時に必ず現れるイノベーションの邪魔をする人ですね。

いわゆるイノベーションキラー。

イノベーションキラーは基本的に3タイプの人間で構成されています。

①既存のルールを信じている人。既存のルールで成功している人。

②折り合いをつけた人。

③内容がよくわかっていない人。

だいたいイノベーションキラーと呼ばれる人はこの3つのどれかに当てはまる。

順に説明していきます。


①既存のルールを信じてる人

ひな壇の一件が分かりやすい例かもしれないですね。

僕が10年くらい前に「ひな壇に出ない」って言ったんですけど、それは僕の判断であってひな壇への否定ではないんですよ。

ただ、ひな壇を主戦場とする人たちからすると、ひな壇以外で食っていける芸人が増えてそっちに面積が取られてしまうと自分達の取り分が小さくなってしまうから「ふざけるな」となって芽を摘みにかかる。

これは難しいところですよね。

ひな壇に関しては何年も前から僕は研究しているんですけど、やっぱりスマホでテレビ見るようになったら登場人物が多いのって面白い面白くないの前に見にくいんですよ。

だから、ひな壇がなくなっていくんじゃないかなって思ったし、ひな壇で戦うスキルを身につけても使いどころがないなぁって思ってたっていうことですね。

なので『アメトーク』をやっていた宮迫さんがユーチューバーになっているので結構皮肉だなぁと思っていて。

でもそうなるよな。

『アメトーーク』の宮迫さんよりyoutubeの宮迫さんのほうが見やすいんですよね。

べつにひな壇で活躍してる人を否定しているわけではないんですけど、食っていこう思ったときに、やっぱり戦う場所をお引越しする必要があった。

だけど、既存のルールで生きている人からすると「ふざけるな」ってなってしまうっていうことですね。


②折り合いをつけた人

折り合いをつけた人に関してもひな壇の一件がわかりやすいかもしれません。

僕が「ひな壇に出ない」といった時に同業者がこぞって「ひな壇に出ろよ」と言ったんですね。「お前もひな壇に出ろ」って聞いたことあるんじゃないかな。

でも、これってよくよく考えるとおかしくないですか。

だって、大リーガーが草野球のおじさんに「大リーグでやれよ」とは言わないじゃないですか。理由は草野球よりも大リーグの方が上だから。

で「お前もひな壇に出ろよ」っていう言葉を聞いた時にめちゃくちゃ違和感を覚えたんですね。

「みんなひな壇を下に見てんの?」っていう違和感です。

ついでに言うと「何かしらのストレスを抱えながら気持ちに折り合いをつけてひな壇に出てるの?」っていう疑問も覚えました。

やっぱり折り合いをつけちゃった人からすると折り合いをつけてない人っていうのは不快で仕方がないですね。

もし折り合いつけてない人に成功されようものなら、あの日折り合いをつけた自分が間違いだったことになっちゃうから「おれも折り合いつけているんだからお前もとっとと折り合いをつけろ」って引きずる力学が働く。

イノベーションキラーおよびドリームキラーあるあるかもしれないですね。


③内容がよくわかっていない人

これがいちばん厄介です。

イノベーションキラーの人口の割合でいうとこれが一番多いかもしれません。

僕、何万回も言われたんですよ。

「キンコン西野やってることよくわからん嫌い」「芸人なのに何やっての嫌い」とか。

この間、非常に興味深いツイートがあって思わずスクショしちゃったんですけど、その文面が「キンコン西野嫌いだなぁとふと思ったんだけど、なんで嫌いなんだろう。何も知らないのに」です。

知らないのに嫌えるってすごくないですか。

でもね、どうやらこれは、「知らないから」嫌いなんですね。

お友達のけんすうさんが言っていてなるほどなぁと思った言葉があって、「知らないという事と嫌いという感情はかなり近い位置にある」と。

ネタ元はセカオワらしいんですけど。セカオワ最高ですね。

つまり、僕らが嫌っているものの嫌っている理由を分解していくと、そのほとんどが知らないであると。

オンラインサロン知らない
→怪しい宗教か何かでしょう
→だってファンから金を取るなんて搾取だ
→嫌い

っていう流れですね。

ファンからお金を取ることがアウトだったら世界中のエンターテイメント全活動停止なんですけどね。

でも、ファンクラブは嫌いじゃないんですよ。知ってるから。

イノベーションの前に必ず立ちはだかる最大の壁がこれですね。

イノベーションって世の中のために行うものなのに、世の中の人が知らないものだから世の中から攻撃されちゃうという。

この壁を突破する一番の方法は以前もお伝えしたと思いますが、数字で結果を出すこと。

内容は理解できなくても数字は理解できるので、つまり、100メートルを10秒台で走る人よりも9秒台で走る人の方がすごい。

それは誰でも知っているので、聞く耳を持ってもらえる。

数字で結果を出すという作業とほぼ同時にやらなくちゃいけない作業は、何度も同じ説明をするですね。

一番の敵は知らないことなので、そこを徹底的に潰さないといけない。

そうしてもうひとつ、イノベーターの近くにいる人、コアファンと呼ばれる人や関係者。

この人たちが絶対にやっちゃいけないのは「その話、前も聞いたよ」っていうツッコミですね。

イノベーションを起こすためには知らないを潰さなきゃいけないので、同じ話、同じ説明を何度もしなきゃいけない。

さも初めて話してますよっていった感じでね。

その時に、「その話、もう聞いたよ」ってツッコミいれて同じ話をすることがアウトになってしまったら、イノベーションなんて起こせない。

見落としがちですが、その話もう聞いたよとツッコミを入れるコアファン及び関係者もノベーションキラーであるということですね。

ここの扱いは本当に気をつけた方が良いと思います。

僕はサロンメンバーに同じ話しますよっていうことを何度も説明しています。

というわけで
イノベーションの起こし方
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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