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【キンコン西野】『鬱(うつ)』を潰す方法

このnoteは2020年4月13日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:みくちまこと さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「【キンコン西野】『鬱(うつ)』を潰す方法」
というテーマでお話したいと思います。

最大の敵は『鬱(うつ)』だ

たぶん、今すごく大事な話です。

その前に僕の近況をお伝えすると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策として、サロンメンバーの会社で働きたいサロンメンバーと、サロンメンバーを雇いたいサロンメンバーの会社をマッチングするサービスを一昨日立ち上げました。

すでに結構な数の雇用が、オンラインサロン内で生まれています。

僕らが健康的に生きていく上で、雇用、もっと言うと役割があるっていう状態は非常に大切だと思っています。

クリアしなければいけないミッションがあると、人の精神が安定するっていう場面をこれまで何度も見てきたんですね。

自転車みたく、止まったらこけるし、走ったら安定するっていうか。

止まると、恐らく、考えなくていいことを考えてしまうんだと思います。

悩んでばかりいる人って基本暇なんで。暇が悩みを生んでるっていう考えですね。

それこそ「今日中に耕さないといけない畑」、「今日中にこの畑の面積を絶対耕さないと自分死ぬ」っていう畑があったら、もう悩んでる場合じゃないじゃないですか。

今すぐにでも鍬を持って畑に出る必要がありますよね。とっとと朝飯食って畑に行こうみたいな感じで。

それって非常に重要で、相方の梶原君とかを見ていてもyoutubeをみつけてからの方が確かに忙しくはなったし、時間もなかなか奪われているとは思うんです。

とはいえ、youtubeという彼なりの役割を見つけた瞬間に顔つきがよくなったし、声の張りもポジティブになった。

泣いても叫んでも、彼は今日も動画を配信しなきゃいけないんですね。

あの状態って、意外と健康的だなっていうのを思っています。

で、なんでこんな話をしているかって言うとですね。

特に、実店舗を経営されている方や、そこで働かれている方に向けてお話ししたいのですが、やっぱり今、大変だと思うんですね。

突然やってきたウイルスによって活動を止められてしまって、加えて活動再開の目処が定かではない。

5月から通常運転に戻るっていう終わりの確証があれば、ぶっちゃけ、少々の貧乏なんて屁でもないと思うんですね。

そこには、この期間を乗り切ろうとか、よしもう3週間ちょっと貧乏しちゃおうかみたいな感じで、それを乗り切るというミッションがあるから。

ただ、今回はそうじゃない。

もしかしたらこの状態が1ヶ月続くかもしれないし、半年続くかもしれない。

事実、自粛は延期延期延期ときてるわけじゃないですか。

「5月6日まで当面お休みです」って東京都や日本国が言ったとしても「やっぱりもう3週間なるかもしれないぞ」とかって。

これ、なかなかなストレスだと思うんですね。

その気持ちって、本当によくわかって。

22、23の時ですかね。相方の梶原君が仕事のプレッシャーとストレスを爆発させて疾走しちゃったことがあるんです。

本当に前触れもなく疾走して、飛んじゃったんですね。

当時の僕らって日本で一番売れっ子の芸人で、月曜日から日曜日まで朝から晩まできれいに仕事で埋まっていたんです。

けど、ある朝、それが一瞬で全部なくなっちゃったんですね。

テレビのレギュラー番組だけでも、1日で7本くらいなくなったと思います。

ある日突然役割がなくなったんですね。

それも、仕事はなくなったけど、梶原君が戻ってくるのが3ヶ月後とかに決まっていたとしたら、「まあ今はこういう時期なんだな」って割り切って暮らすこともできたんですけど、

そんときばかりは、梶原君が戦線離脱した理由が怪我とかじゃなくて、精神的な病気だったもんで。戻って来る確証がないんですね。

症状はかなり深刻だったので、梶原君のことを1年待ったところで2年待ったところで、もう戻ってこないかもしれない状態で待ってたんですよ。

ずーっと家にいたんです。

僕が一人でヘタに活躍なんてしてしまうと、梶原君が「俺なしでもいけるんや」とか思ってしまって、それこそ彼の帰ってくる場所も「帰ろう」という気持ちもなくなってしまうんで。

マネージャーと話し合って、その時期は、僕個人の活動も休止して、ずーっと家に居たんです。

ずっとですよ。

昨日まで誰よりも売れっ子だったのに、ある日突然、何もなくなって家でずっと引きこもるわけです。

まぁ、そういう事があったんですね。

その間もリアルな問題として、家賃を払い続けなきゃいけないわけじゃないですか。

時間とかお金が削られていく。しかも、終わりが見えない。

今、実店舗で働かれている方って、その状態に近いと思う。というか、それよりもっと大変だと思うんですね。

この時に、気をつけなきゃいけないのは、鬱です。鬱。

本人にその自覚がなくても、暇な時間があればあるほど、悩む時間が増えれば増えるほど、徐々にじわじわと吸い込まれていくんです。

そのモードに入っちゃうと冷静な判断ができなくなるので、今日はそこを乗り切る方法を、一つだけお伝えしておきたいと思います。

気持ちを安定させる、冷静な判断ができる脳味噌でいられる方法ですね。

それは、もう本当になんでもいいので「昨日よりも前に進んでいることが確認できるもの」を作っておくっていうことです。

例えば、この時期にクラウドファンディングをしたとします。

今は、クラウドファンディングってもうレッドオーシャンで「何とかの店を助けたい」とか「なんとかを助けてほしい」みたいな企画はもうぼこすか上がってる。

だから、お金を集めるのって非常に大変だとは思いますが、仮にこの時期にクラウドファンディングをスタートしたとしますよね。

そうするとやっぱり、昨日よりも支援者が3人増えてるだけで、支援総額が4000円増えているだけで、ぶっちゃけ4000円では、今抱えている経済的な問題は何の解決にもならないんですけれども、それでも進んでいることが確認できただけで精神が安定します。

よく、大切な判断に迫られる立場にある人が、毎日鍛えていたりするじゃないですか。

体重を測ったり、筋肉量を測ったりして、昨日よりも成長している、進んでいることを確認することで精神が安定するんですね。

体を鍛えているっていうか、厳密に言うと、心を整えている。

進んでいることが確認できると安定するっていうのは、まあ使い方を間違うと「目標に届かないスピードで走っているのに、良しとしてしまう」というマイナスの側面もあるんですけど。

今みたく、精神を安定させることを目的とした場合は、非常に有効的な手だと思います。

作業量というか、自分が頑張った量が目に見えるものがあると、やっぱりいいですね。

僕はサロンメンバーのコンサルを受けていて、昨日、バリトン歌手の『池田ハッピーバースデー』さんという方から相談を受けたんですね。

彼、非常にユニークな活動をしていて、有名人の誕生日を勝手に祝ってるんです。

ものすごい歌唱力でもって、勝手に「ハッピーバースデーディア○○さん」を歌っていて、ツイッターに毎日アップしてるんですね。

一見バカ野郎じゃないですか。

でも彼には、毎日役割があると。

その1日の有名人を調べ上げて歌うっていう謎の役割が。

それでもね、この活動でフォロワーが5人増えただけで、めちゃくちゃ精神が安定すると思うんですね。

健康的だと思います。明日も頑張ろうと思える。

これって、今すぐ問題を解決してくれるものではないんですけど、こういうものを持っておくと、精神が安定するので良い判断をしやすくなると思います。

なので、『鬱』の潰し方の結論としては、昨日よりも前に進んでいることが確認できるものを持っておくっていうことです。

それは数字で確認するのかなんなのか、ちょっと分からないですけれども、
確認できるものを持っておくというのは非常に重要だと思います。

大変な時期ではございますが、乗り切れないことはないと思うので、一緒に協力して乗り切って行きたいと思います。

それでは素敵な一日をお過ごしください。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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