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タモリが語った「戦争が無くならない理由」とは?byキンコン西野

このnoteは2019年12月10日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:福島 真澄 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

さて今日はですね
タモリが語った「戦争が無くならない理由」とは?
というテーマでお話したいと思います。

【原案】タモリ 【絵と文】西野亮廣 絵本『オルゴールワールド』

僕は絵本作家をやっておりまして、
数年前に『オルゴールワールド』っていう絵本を作ったんです。

ストーリーの概要をざっくりお伝えすると、

地上5000mの空中帝国に住む少年カンパネラが、望遠鏡で空をみていたときに、望遠鏡のネジがゆるんでしまって、望遠鏡の先が下を向いちゃうんですね。くるんってなっちゃって。

下っていうのは、5000m下ですね。森が広がってるんです。

カンパネラはそのまま望遠鏡を覗いて森を見るんですけど、なんと、その森の中に、そこで暮らす少女をみつけるんです。

「森は悪性の菌だらけで、とても人間が住める環境じゃない。森は酸素を供給してくれるだけの存在である」ということを空中帝国の学校では習っているのに、望遠鏡のレンズには森で暮らす少女がうつっている。防護服もなにも着ずにね。

「悪性の菌だらけで住めない」って聞いたのに全然住んでるんですよ。
そこには少女だけじゃなく、森に住む人の生活がある。

ここで、カンパネラは思うわけです。
「どうやら帝国は僕たちになにか隠している」と。

その日から数十年後。
カンパネラは大人になって帝国の極秘任務である地質調査隊に入るんですね。地質調査隊っていうのは、こっそり森に降りて森を調べる人たちのことですね。

そこでカンパネラは隠された歴史を知るわけです。
この星では数百年前まではもともと森に住んでいて、だけど折り合いがつかずに、森に住む人間と、空中帝国っていうものをつくってそこに住む人間と、二分されてしまったと。

カンパネラは思うわけですね。
「人間はもうひとつにはなれないのか。」

地質調査隊として活動するカンパネラは地上での隊の任務を抜け出して、子供の頃に望遠鏡でみた場所に向かうの。

そこで目の当たりにする、戦争が生まれた理由。

そのときカンパネラはどうしたか?

ってところからはじまるストーリーなんですね。

『オルゴールワールド』って絵本なんですが、この絵本、タモリさんと作ったんです。原案がタモリ。絵と文がにしのあきひろ。っていうチームですね。

当時、26歳、27歳くらいで、いいとものレギュラーをやっていた頃でね。

タモリさんと週1、2回は必ず飲んでたんですよ。
だいたいいつもふざけた話なんです。飲んでてもね。

タモリさんが「自分は日本おっぱい協会の副理事なんだけど〜」みたいなデタラメを言い出して、いちおう僕も「どういった活動してるんですか?」ってウソに全乗っかりしてね。

そしたらタモさんがウイスキーとか傾けながら「最近は、おっぱいを上品に取り扱う養成所の生徒向けの練習曲を作ってる」。「その曲を弾けるようになれば自然とおっぱいの扱いもうまくなる」と。

「そんな魔法の曲を作ってるんだけども、その作曲で悩んでるんだよね」みたいなことをタモリさんが言うわけですよ。なにやってんのかよくわかんないけど、まぁ、そんな悩みを聞いて。

「やっぱ指を流れるように動かさないといけないから、ドレミファソ、ソファミレド、ドレミファソソ、ソファミレド〜みたいなかんじにしたんだけど、これどっかで聴いたことあるんだよね〜」って。「たしかにそれ聴いたことありますね」って。

そんな話を延々5時間くらいするんですよ。ほんとそれだけの飲み会。
ふたりでずっと自由が丘の薄暗いバーでくだらないコントをやるんですね。
ほんとにくだらないだけの時間なんですが。

ただ、いっかい、ふたりともけっこう酔っ払っちゃったときに真面目な話になったの。

「戦争がなんで終わらないか考えたことあるか?」って。
「いや、ないっすね。なんでなんですか?」って聞いたら、
「愛があるからだ」って言うんですよね。

その心は、恋人がレイプされたら犯人に仕返ししたくなるだろう、と。
大切なものが壊されたら、大切なものを壊した相手を恨むだろう、と。

そこに愛さえなければ、恋人のことを大切だと想っていなければ、
レイプ犯にやり返しに行かないし、壊した相手を恨むこともない。

ラブアンドピースっていうのは矛盾していて、ラブさえなければ、基本ピースで、戦争なんて存在しない。植物がそうじゃないか。って。

植物の世界にあるのは、生命が自然環境によって淘汰される世界だ。と。
植物はだって戦争なんかしないじゃないか。
でもそれはそれでなぁ。

僕らは感情があるから、感情がある以上、愛がある。
愛がある以上、戦争はなくならない。

これはむずかしい問題だぜ、西野。さぁどうする?

っていう宿題をだされるわけですね。
26歳、27歳くらいの僕に。

で、そのアンサーとして『オルゴールワールド』っていう絵本を作ったんですけど。

僕の結論としては、やっぱり戦争はなくらない、と。ただ、例外もある。

タモさんのいうとおり、
愛がある以上、戦争は基本的にはなくならない。
ただ、とめることはできる。

人は、すごい笑ってる瞬間には銃の引き金引けないはずなんですよ。
笑い終わってからとか。引くとしたら。感情がいっかい整ってから引くはずで。

すっごい笑いながら引くって、異常者は別として、基本的にはできない。

笑ってる間は、銃を引く時間が後延ばしになっている。
けっきょく銃の引き金は引いてしまうんだが、とめることはできる。

それがエンターテイメントの役割じゃないか?
ってところを『オルゴールワールド』って本で答えました。

詳しくは絵本をよんでほしいんですけどね。

タモリさんが言った戦争がなくならない理由、
「人間が愛という感情をもっているからだ」っていうのは、
僕がエンタメと向き合う大きなきっかけになった言葉でした。

というわけで今日は、
タモリが語った「戦争が無くならない理由」とは?
というテーマでお話させていただきました。

それでは、西野亮廣でした。また明日、お会いしましょう。

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