【教えて!】今さら聞けない『同一労働 同一賃金』ってナニ?byキンコン西野
このnoteは2020年3月4日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:加藤 賢之 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
今さら聞けない『同一労働 同一賃金』ってナニ?
というテーマでお話したいと思います。
サラリーマンはオワコンなの?
大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から『同一労働同一賃金』が施行されることになりました。
聞いたことある方も多いと思いますが、今日はこれを、むちゃくちゃわかりやすく簡単な言葉でご説明したいと思います。
難しい話ではありません。
ざっくりいうと、正社員と正社員以外の方、パートの方や派遣社員の方とか、この正社員と正社員以外の間で「賃金と待遇に差を付けるのはナシね」っていう新ルールです。
すごくないですか。
その名の通り、同じ分だけ働いたら正社員であろうがパートであろうが、同じ分だけ給料貰えるんですよ。
時給計算すると、日本では正社員の平均時給が大体2300円くらいで、契約社員で大体1400円とか。パートはもう少し安くて大体1100円とか、1,150円とか、それぐらいです。
つまり正社員の方とパートの方で、給料は倍近く違うんです。
この差をなくしましょうっていうのが、今回の『同一労働同一賃金』です。
これ、契約社員の方とか、パートの方からすると、超嬉しい話じゃないですか。
時給が1150円から2300円になるんだもん。うひょって感じなんですけど、実はそうでもないようです。
給料を上げると言っても、財源はどこなのって話ですよね。
2020年や2021年の4月から、会社の売り上げがグンと上がるわけではないので、人件費の財源も増えるわけではないと。
でも、正社員と非正社員の差なくしましょうねっていう決まりがある。
となると、どうやってこれを実現するか。
それは、給料を正社員の方に合わせるのではなくて、正社員の給料を下げて、パートの方とか契約社員に合わせるしかないんですよ。人件費に限りがあるから。
これ、正社員の方からすると、ちょっと待ってよって話じゃないですか。
それなりに頑張って、面接も受けて、就活もして、頑張って頑張って、正社員になったのに、2020年4月、あるいは2021年4月から急に給料を下げられちゃうの、ちょっと酷な話ですよね。
ただここについて、今回の『同一労働同一賃金』というルールは、言ってしまったら、抜け道みたいなものを用意していてですね。
労働時間が同じだと、基本、同じ賃金が支払われるのですが、知識とか経験とかスキルで賃金に差をつけることは、認められているんです。
「パートのあなたの1時間と、社員の彼の1時間でやれる内容量って全然違うね」っていう説明ができれば、賃金に差をつけてもいいんです。
パートの方には、もちろん今回の『同一労働同一賃金』を受けて、正社員との給料の差を異議申し立てる権利は認められています。
ですが、会社側から「能力の違いで賃金の差が出ています」という説明をされてしまったら、抜いた刀を鞘に収めないといけないんです。
そして、これ、罰則がないんです。
『同一労働同一賃金』の決まりを最悪守らなくても、罰則はないんです。
なんだそれじゃないですか。
あと、『同一労働同一賃金』に則って、正社員の方の賃金を下げるしかないと会社が判断して、それを実行しようと思ったら、労働組合にOKをもらわなきゃいけないのです。
労働組合は正社員で構成されているものなので、それはOK出ないですよね。
となってくると、この『同一労働同一賃金』、始まったものの何か変化あるの?って話ですね。
もし僕が、困窮している会社の社長であれば、これを盾にちょっと給料いじると思うのですが、決まりとして会社側は正社員の賃金を多く支払っている理由を説明しなければならなくなりました。
パートの人に異議申し立てられた時に「かくかくしかじかで彼はこういう能力があり、こういう案件を決めて来てくれるから彼は給料が高いです」と。
そういう説明ならOK。
ですが、「彼はこの会社に長くいるから」っていう説明は絶対通らないんです。
パートの方や契約社員の方は納得はいかないですよね。
つまり、一旦会社に入ってしまえば、極端な話、何もしなくても給料は上がっていく年功序列のあの感じが、厳しくなったという話ですね。
成果を出さない正社員をパートと同じ給料にすることが、ルール上可能になった。そういう話です。
ルールの抜け道はたくさんありますが、感覚でいうと、前よりも少しだけ実力社会になったという認識で間違いないと思います。
ふんぞりかえって、ただ偉そうにしてるだけの時代錯誤のおじさんには、少し厳しいルール変更になったかもしれないですね。
以上が『同一労働同一賃金』のざっくりとした概要です。
これは、けっこうフェアな世界だと思うんですね。
いくつになっても勉強しようねという話なので、まあフェアな世界なんですけれども、サボりたい人ってやっぱりいるので、それなりの反発はあると思います。
が、こういう制度が大企業では2020年4月から、中小企業では来年の4月からスタートします。
あんまり僕は大きな変化はないんじゃないかなって思っております。
というわけで、
今さら聞けない『同一労働 同一賃金』ってナニ?
というテーマでお話させていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
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