見出し画像

キミはまだリーダーにはなれない byキンコン西野

このnoteは2020年9月20日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:パンが大好き いでしんたろう さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キミはまだリーダーにはなれない」
というテーマでお話しします。

去年、吉本興業の闇営業問題があった時に、「マネージメント契約」だの「エージェント契約」だの…事務所と芸人の在り方について、あれやこれやと議論され、たとえばロンドンブーツさんなんかはご自身で事務所を立ち上げられて少し話題になりました。

 
僕はどうかというと、あの問題より前から(株)NISHINOという会社で活動していて、「吉本興業と一緒にやれることがあれば一緒にやりましょうね」という距離感でお仕事させていただいています。

映画『えんとつ町のプペル』は吉本興業と一緒にやっているお仕事ですし、『えんとつ町のプペルVR』の開発だとか、ミュージカルだとか、美術館とか、スナックとか、国内外の支援活動とか、そういったものは(株)NISHINOでやらせてもらっていて、そこには吉本興業は介入していません。

なので、もちろんビジネスパートナーの反社チャックはしますが、あの問題が起きた時にヤリ玉にあげられた、「所属事務所を通さない仕事(いわゆる「直営業」)」がアウトというのであれば、日本で一番アウトなタレントはキングコング西野です。

西野がやっている仕事の8割は直営業です(笑)

そんな(株)NISHINOという会社ですが、(エンタメの世界戦に興味がある若手は是非、挑戦していただきたいのですが)ウチの会社って、社員・インターン生一人一人が何かのプロジェクトのリーダーを務めているんです。

「VRの開発リーダーはウチの社員さんだけど、技術スタッフは外の人」みたいな感じです。

なので、面白いことに、同じオフィスで働いていながら、社員一人一人が、お互いがやっているプロジェクトのコトをよく分かっていない。

「へぇ〜、今、そんなことやってるんやぁ〜」と、SNSで知ったりすることも珍しくありません。

なもんで、「リーダーの在り方」が全社員に常に問われます。

それはそれで、結構なプレッシャーです。


昨日、ウチの若手スタッフがドジをブチかましちゃって、夜中だったんですけど、「今から呑みに行くぞ」とパワハラ気味に声をかけて呑みに行き、そこで「チームをまとめるリーダーには何が必要か?」という話をさせていただいたんですね。

 
ちなみに、どう思われているか知りませんが、僕、ミスに関してはメチャクチャ寛容というか…怒鳴り散らすなんてことはなくて、ミスを因数分解して、「このミスの何がミスっているのか?」というガンの所在を明らかにして、「同じ事故が起きないようにする為にはどうすればいいか?」を一緒に考える良い先輩なんです。抱いてください。

んでもって、「リーダーの仕事」について。
リーダーの仕事は基本的には一つで、「決めること」なんですね。

正解なんて無いんです。
正解があれば、リーダーなんていなくても、チームは前に進むので。

正解がないからこそ、行き先を決めるリーダーが必要で、あとは「決めた答えを全力で正解にする」という作業です。

なので、リーダーは「右だ!」「左だ!」と指示しなきゃいけないわけですが、ここが難しいところで、指示されるスタッフの方が技術をもっていたりする。

つまり、スティーブジョブズがi―phoneを作る時も、ジョブズは「こういうものを作りたい」と言いますが、実際に手を動かすのは現場のエンジニアさんで、作ることに関してはジョブスよりも遥かに知識がある。

リーダーは「自分よりも能力がある現場スタッフ」に指示しなきゃいけない立場にあるわけですが、時々、現場で手を動かしてくださるスタッフさんの『我』が出る場合があるですね。「私は、これをやりたい」と。

それがチームにとってプラスの判断であれば、絶対にやった方がいいと思うのですが、時々、現場のスタッフさん個人にとってはプラスかもしれませんが、チームにとってはマイナスな判断である場合がある。


そこで、「どうぞどうぞ、好きにやってください」と言ってしまうと、そんなものはリーダーでも何でもなくて、ただの「嫌われたくないヤツ」で、そんな人間はチームには必要ありません。

 
リーダーはチームを最優先に考え、そういった場面では「いやいや、気持ちはわかりますが、そこは、こうしてください」と言わなきゃいけないのですが、その時、現場で手を動かすスタッフさんから「お前に何が分かるねん」という反発が起こる場合がある。

そりゃそうですよね。

技術的には現場のスタッフさんの方が上なわけですから、現場のスタッフさんがそう思ってしまうのも分かります。


その時、リーダーはどうしなきゃいけないかというと、「力で押さえつけるんです」
少し乱暴ですが、「ここの王は、俺だ」と。

問題は「その【力】は何か?」です。
力がないと従わないので。
その力というのは、技術力じゃないんです。

「技術力で圧倒して従わせないといけない」というルールならば、舞台演出家は、役者さんよりも歌も踊りもできなきゃいけない。

蜷川幸雄さんの舞台って、蜷川幸雄さんが、誰よりも歌って踊れるわけじゃないじゃないですか。

圧倒しなきゃいけないのは技術じゃないんです。

答えはめちゃくちゃシンプルで、技術者を圧倒する為に必要な力の正体は、「費やした時間」です。

 
エンターテイメントに携わって、そこでリーダーを務めるのであれば、誰よりもエンターテイメントに時間を割かなきゃいけない。

手を動かすスタッフさんに対して、「費やした時間」でもって、黙らせる。
「費やした時間」こそが、説得力であり、覚悟であり、ライオンを従わせるサーカスの団長でいうところの「ムチ」なんですね。


「費やした時間」が不足していると、チームなんて、まとめられないんです。

なので、リーダーを務めるウチの若手スタッフには「寄席、演劇、落語、ミュージカル、サーカス、イベント空間、話題のスポット、人気の美術館…とにかく誰よりも観に行け」と言っています。

 
それは「勉強」の為でもあるのですが、そもそも、そこに費やした時間が不足していると「自分の声」を持てないので。
「お前に何が分かんねん」という反発に負けてしまう。


チームをまとめあげる仕事は、センスだけでは片付きません。
なので、これからリーダーの立場に就かれる方は、「費やした時間(覚悟)で黙らせる」は要チェックです。

今日は【キミはまだリーダーにはなれない】について、お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?