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「勝つプレゼン」と「負けるプレゼン」の違い by キンコン西野

このnoteは2020年3月25日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:ビッグファイブさん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「『勝つプレゼン』と『負けるプレゼン』の違い」
というテーマでお話しします。

新型コロナウイルスが、本当に猛威を振るっています。ニュースを見ましたが、現金の一律給付が見送りになって、すごく荒れているようです。「そのまま現金を渡すと使わずに貯め込んでしまう」、「富裕層は除外だ」というような声が聞かれます。

僕の個人的な意見としては、四の五の言わず、国民全員に一律給付すればいいと思っています。お金に余裕がない人は貯金するし、富裕層は現金を使うので、結果的にお金に余裕がない人に現金がいくからです。

国民全員に一律で給付した方が、お金に余裕がない人が助かるなぁと考えています。なのに、そのお金を使う富裕層を除外するというのは、なかなかナンセンスだと感じるのです。

いずれにしても、この対応の遅さはちょっとツラいですよね。

皆さんもストレスだと思うので、このような時は、問答無用で話を進める独裁者が必要だと思われます。独裁者というと、どうしても「ヒトラー」のようなネガティブなイメージがありますが、要は「全責任を一人で背負う人」ということです。

会議と多数決の繰り返しで、誰も責任を取らない答えを捻出する人よりも、僕はよっぽど色っぽいなと感じます。

ちなみに、オンラインサロンの売り上げの使い道は、僕一人の意志で決めることができるので、今朝のサロンでは、コロナ対策として、「ここにお金を使うね」という事後報告をブチ込みました。

その上で、今日は「『勝つプレゼン』と『負けるプレゼン』の違い」についてお話しします。

どうしてプレゼンを取りこぼしてしまうのか

僕は仕事柄、色々なプレゼンを受ける機会が多いです。例えば、『えんとつ町のプペル』という作品は、『えんとつ町のプペルVR』、『えんとつ町のプペルAR』というように「掛け合わせ」の可能性が無限大なので、よくそのようなお話をいただきます。

なので、「プレゼンを受ける側が、どういう基準で選ばせてもらっているのか」、「どのようなプレゼンに気持ちがなびいてしまうのか」ということは、結構、精度高くお伝えすることができそうなので、今日はその話をします。

一昨日、オンラインサロンメンバー15人限定の飲み会があり、そこでも様々なプレゼンを受けました。

うちのサロンの皆さんの仕事は、本当に多岐に渡っているので、プレゼンもなかなかバラエティーに富んだ内容です。

その中で、 AI の研究をしている男の子がいて、その子から「アニメキャラをデザインする AI を作ったんですけど、何か使えないですかね」というプレゼンを受け、少し動画を見せていただきました。

要するに、50,000通りぐらいのキャラクターを AI に飲み込ませると、あとは自動でキャラクターを生成してくれるというAI です。

人間がデザインしたキャラクターとは全く遜色がないくらい、人間が書いたのかAIが書いたのか分からないくらいのクオリティーで、それ自体は本当に素晴らしい技術だと思いました。

ただ、そのプレゼンを受けた側からすると、この技術が自分が持っている素材と、どのように化学反応を起こすのかを、その瞬間に判断しなければいけないわけです。

そこでいい答えが思いつけばいいのですが、もちろんその一瞬で最適解が出てこないこともあります。僕の頭が悪かったら、これをどうやって絡めたらいいんだろうということを、その一瞬で出せない場合があるでしょう。

ここが非常に重要な点ですが、もしかすると、あと10分考えれば、答えが出ていたかもしれないのに、その一瞬で答えが出なかったというだけで、プレゼンを受ける側は、「素晴らしい技術だけど、うちでは使えないねえ」という判断をしてしまう。

これは、めちゃくちゃもったいないです。

だって、もう少し揉んでくれたら企画が成立していたのです。もう少し考えてくれていたら、相手は思いついていたかもしれないのに、その一瞬で答えを出さなければいけないので、それで話が流れてしまいます。

ただ、プレゼンとはそういうものです。おそらく同じようなプレゼンの取りこぼしは他の場面でもたくさんあるでしょう。

では、プレゼンする側はこの取りこぼしをどのように防げばよいのでしょうか。ここでひとつ、プレゼンをする際の定石をご紹介します。

プレゼンをする時は相手の素材を使え

新しい技術、テクノロジーを使っているのなら、なおさらなのですが、「プレゼン相手に見せるプレゼン資料には、相手の作品を使う」というのが基本です。

まったく新しい VR 技術を持って、キングコング西野にプレゼンに行く際は、『えんとつ町のプペル VR』パイロット版を作っていくことが、大切です。

そこで、「あなたが持っている素材と、僕の才能を掛け合わせたら、例えばこんなものが作れますよ」というひとつの答えを見せてしまいます。

想像してもらうのではなく、「見せる」ことが非常に重要です。その瞬間に、プレゼンの成功角度が一気に上がるでしょう。

このとき、あなたがブレーキを踏む理由は一つです。

それは、断られたらそこまでの用意が無駄になってしまうということ。せっかく『えんとつ町のプペル VR』パイロット版を作ったにも関わらず、西野に「いやちょっと使えないね」と言われたら、それを作るのに割いたあなたの時間がすべて無駄になってしまいます。

それはやはり嫌なので、『えんとつ町のプペル VR』パイロット版を作るのはやめて、自分の技術だけを見せるという行動に走ってしまう。

プレゼンを受ける側は、そこまで見ています。このプレゼンに賭けている人なのか、それとも「ダメならダメで他を当たるし」という気持ちで来ている人なのか。そこまで見ているわけです。

そして、これは結構人の心理をついています。

例えば、有名人をやっていると、しばしば街中で「写真撮ってください」と言われます。その時に、ちゃんとカメラを用意していつでも撮れる状態で声をかけてくださる人と、声をかけて了承を得てからカバンを漁り出して、スマホを取り出してカメラを起動する人。

これは、どちらの方が相手が気持ちがいいかを考えると、絶対に前者です。要は、その人は相手の時間を奪わないというところまで配慮しているわけです。

例えば、カメラを出したり起動するのにかかる時間は、お願いした側からすると、たった20秒かもしれません。しかし有名人は、これを何万回も繰り返しているわけです。

そこまで、想像力が働いている人と、働いていない人と、どちらと仕事をしたいでしょうか。判断する側は、絶対に、想像力が働く人と仕事したほうが良い仕事になるだろうというところまで考えています。

そして、毎回プレゼンに勝つ人は、プレゼンを受ける側がそこまで見てい
ることを見越して、自分のプレゼンを設計しています。これはほぼ心理戦で、裏の取り合いのような話ですが、ここが非常に重要です。

「僕の技術だけ見て下さい」では絶対に負けます。もし今、そういったプレゼンをやられているのであれば、改善されることをおすすめします。

というわけで、
「「勝つプレゼン」と「負けるプレゼン」の違い」
というテーマでお話させていただきました。

ポイントは、「プレゼン相手の素材を使う」ということ、そして「その資料を見せる」ということです。ぜひ気をつけてみてください。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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