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「キャリオク」のCMで起きていること by キンコン西野

このnoteは2020年6月29日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:ただただ名前を呼んでほしい うたこさん


どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「『キャリオク』のCMで起きていること」
というテーマでお話しします。

今日は時代の転換期を象徴する一つの出来事についてお話ししたいと思います。現在、キングコングがやっている「キャリオク」のコマーシャルについてです。

実は、「キャリオク」のコマーシャルは、これまで存在した星の数ほどあるコマーシャルと全然違うのものなのですが、「何がどう違うのか?」を知っている人、語れる人って少ないと思うんです。

時々、「CM出演おめでとうございます」みたいなことを言われたりするのですが、あれは「転職サーボスのCMキャラクターに『キングコング』が抜擢された」という類のものではないんです。

どういうことか?

まず、「キャリオク」というサービスの説明をザックリとさせていただきますと、「キャリアシート」というものに、経験職種や希望勤務地、希望年収などを書いて、後は、「オークション形式」で、企業から年収提示付きのオファーを受けることができる転職サービスです。

企業が「キャリアシート」を見て、「おお!この人にウチで働いてもらいたい!」となり、企業側からオファーを出すんですね。

これまで圧倒的上下関係であった「雇用」というものが、対等な関係…つまり、雇う人と雇われる人がフラットな関係になるフェアな世界だなぁと思い、応援させていただくことにしました。

今回のCMは第2弾なんですけども、第1弾はオーソドックスな形…「キングコング西野がCMキャラクターに起用された」という、いわゆる一般的なCMの姿だったんです。

一般的にCMというのは、企業と、CMキャラクターおよび所属事務所の間に、「広告代理店」と呼ばれる人達がいて、その「広告代理店」と呼ばれる人達がCM内容を企画するんです。

「CMキャラクターに誰を使って、どんなCMを作流のか?」を考える人達ですね。
もっと具体的なことをいうと、「どこにCMを打つか?」も考えます。
テレビなのか、ネットなのか、新聞なのか、駅看板なのか。
「広告代理店」は、限られた予算の中で、CM効果が最大化する道を徹底的に探るんですね。

そんな中、今回の「キャリオク」のCMというのは、広告代理店が入っていないんです。

じゃあ、その役目を誰が担ったか?というと、オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」および株式会社NISHINOです。

オンラインサロンが音頭をとったのです。
こんなこと、芸能の歴史で過去一度も無いんです。

「CMキャラクターに誰を採用し、どういうCMを作り、どう仕掛けていくか?」を、オンラインサロン内で企画するんです。

今回は転職サービスだったので、芸人からYouTuberに転職した梶原君と、芸人から絵本作家に転職した西野を擁する「キングコング」をCMキャラクターとして抜擢しました。

僕はメディアに出たい欲が本当にもう一切無いので、自分がCMに出たいから「キングコング」を選んだわけではなくて、転職について説得力を持って語れるタレントを検索した時に、トップに「キングコング」が来たから、「キングコング」を選びました。

こぼれ話としては、「梶原君と、オリラジ中田君」というツーショットも一瞬考えたのですが、それだとYouTubeのCMになってしまうなぁと思って辞めました。
梶原君と僕と又吉君とオリラジ中田君と渡辺直美ちゃんの5ショットだったら、ちょっと面白かったかもしれませんが、それだと今度は吉本興業のCMになっちゃいそうですね(笑)

このへんのことを色々考えた結果、「キングコング」がピッタリだったんです。

サロンの中では「CM効果のあるCM」について散々議論しました。
僕らが出した結論は、「CM効果が終わらないCMを作る」ということで、その一つとしてYouTubeに「キングコングの対談」をアップさせていただきました。

暖炉の前で、キングコングが自分達の転職について、ノーカットで1時間ほど喋る動画です。
YouTubeの最大の機能は、やっぱり「アーカイブ」ですよね。
これを利用しました。

たとえばキングコングが3年後に何かアクションを起こした時に、そのCMが関連動画として出てくる。
キングコングが活動する以上、薄っすらと「キャリオク」のCMが続くわけですね。

1時間ほどの動画に文字テロップを入れなかった理由は、動画が古くならないようにする為です。

文字デザインに時代性が出てしまうと、数年後に古くなっちゃうので。
その他、髪型やら何やら全て、古くならないように設計しました。
「アーカイブ機能」が機能するようにしたわけです。

そして、撮影もサロンメンバーです。
サロン内でスタッフを募集して、細かいところでいうと、メイクさんもそうですが、撮影現場のケータリング(お食事)も現地のサロンメンバーさんのお店にお願いしました。

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写真は蜷川実花さんにお願いしたのですが、蜷川実花さんも実はコッソリとサロンメンバーです。

CMには予算というものがあって、その予算の中から、サロンメンバーさんにギャランティーが支払われて、CMが作られました。
現場の雰囲気がめちゃくちゃイイのは勿論のこと、このCMが作られるまでの過程を6万人のサロンメンバーで共有しているので、製作段階で、すでにCM効果があるんですね。

少し受け入れがたいかもしれませんが、こういった感じで、オンラインサロンが広告代理店化する未来は確実にやってくると思います。

勿論、電通さんとか、博報堂さんとか、その他の広告代理店さんに頼んだ方がイイ案件はたくさんありますし、僕自身、普段からメチャクチャお世話になっています。
ただ、一方で、「この企画は、広告代理店に頼むよりも、あのサロンに頼んだ方が広告効果があるんじゃね?」というシーンは確実にある。

「制作能力があるインフルエンサーに頼もう」と考えるのは、至極、真っ当な話です。
事実、僕のオンラインサロンには今、広告制作の話がポロポロやってきています。
いわゆる広告代理店と違うのは、「西野が体重を載せられない依頼は受けない」というところですね。

西野が舵をとって、いきなり「美容商品」を売り出しても、たぶん面白いものにはならないと思うので、そういう依頼はお断りしています。

実は今日から1週間、渋谷駅の巨大看板が「キャリオク」のCMになります。
ハチ公と向かい合う形で、キングコングの二人がデーン!と出ています。

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ここも、やっぱり自分達で考えて、「ここの看板枠を買おう」と結論し、買ったんですね。

ピンとこないかもしれませんね。
CMって、どこか知らない世界の人が作るものだったじゃないですか?
ところが今は、お客さんと一緒に作っているんです。

これは今の時代を象徴する出来事の一つだと思ったので、このことをキチンと残しておこうと思い、今回、お話しさせていただきました。

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渋谷駅の看板は今日から1週間ほど出ています。
もし写真をTwitterにアップされる際は、「#キャリオク」で呟いてくださったら、エゴサーチ魔の西野が見つけにいきますので、宜しくお願いします😁
(※現在は、掲載終了)

というわけで、
「『キャリオク』のCMで起きていること」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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