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キミが「何者か」になる方法 by キンコン西野

このnoteは2020年5月24日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供: 山崎 由貴さん


どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キミが『何者か』になる方法」
というテーマでお話しします。

かく言う貴方も遅れていた

昨日、サロン限定ツイッターの方でチラッと呟いたのですが、ときどき僕は「また同じ話をしてる」といった指摘を受けることがあります。

実際に僕は同じ話をすることがあるので、言い分は正しいと思います。

ただ、少し手厳しい指摘をさせていただくと、僕からすると、「貴方の周りが5年半遅れていて、かく言う貴方は5年遅れていた」という話で、…つまり、これはあまり受け止めたくない事実かもしれませんが、「貴方のアンテナに、ようやく引っかかるまでにも、同じ話を何百回、何千回してきたよ」ということです。

「同じ話をするのはアウト」というルールでいくのであれば、たとえば、キングコング西野が「クラウドファンディングの戦い方って、こうだよね」という話を終えるのは、2013年の1月です。

今から7年以上前ですね。

ちなみに貴方は7年前に「クラウドファンディング」を利用されていましたか?

おそらく、「クラウドファンディング」という言葉すら知らなかった人がほとんどだと思います。

当時、クラウドファンディングをしていたら「宗教」って言われたぐらいなので(笑)

2013年1月の段階で説明を辞めていたら、あそこで「分かる人だけ分かればいい」をやっていたら、時代が前に進んでいないんです。

なので「その話は聞いたよ」というマウントを取りたくなる気持ちは分かるのですが、そこはドングリの背比べみたいなもので、

「あなたも、たくさんの人が我慢してくれたことによって、知識を得れたのだから、ちょっとだけ付き合ってあげてね」

というのが僕からの返事です。

で、キングコング西野の口から現在進行形の新しい話を聞きたいのであれば、オンラインサロンを覗いてください。

そこでは「新しいこと」どころか、「僕自身も、まだ結論を出しあぐねていること」しか喋っていないので。

情報の出しどころは、棲み分けています。

ラジオとかブログでは、何年も前の話をさせていただいています。

興味がない人に情報を届けるには「同じ話をし続ける」ということがすっごく大事なので。

このラジオやブログは、ほぼ、「落語」です。

「落語」に対して、「同じ話をしやがって」とは言わないじゃないですか。

同じ話を、どういう切り口で届けるか?という競技をさせてもろてます。

ご理解ください。

そんなこんなで、今日お話しする話も、たぶん、7年くらい前に話したことなのですが、「唯一無二のキャラクターになる方法」についてです。

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「何者か」になる方法

今って、国民全員が発信者になったじゃないですか?

情報を仕入れようと思ったらそれほどコストがかからないし、情報を発信するのもコストがかからない。

で、このとき、「物語」と「情報」は分けて考えた方がいいなぁと思っていて……たとえば、僕は「アル開発室」というオンラインサロンに入っているのですが、そこでは、漫画サイトの「アル」の開発の裏側や、新しく仕掛けるプロジェクトが上手く行ったり行かなかったり、そこで七転八倒するスタッフの人間模様が見れて、かなり面白いのですが、ここで僕が読んでいるのは「情報」というより、どちらかと言うと「物語」です。


アルのオンラインサロンは、漫画とかドラマを観ている感じに近かったりします。

こういった「物語」というのは、本人か(もしくは本人に近い場所にいる人)しか発信できない内容なので、価値があると思います。

一方で、「情報」は誰でも発信できてしまうので、「情報」自体には、それほど価値がありません。

たとえば、「持ち家と賃貸、どっちが得か?」といった情報(正解)はネット上に山ほど転がっているので、あとは「誰が言うか?」という勝負になってくる。

つまり、今、何かを発信することで支持を得ようと思ったら、まずは、この「誰か」にならなきゃいけないんですね。

この時に求められるのが「ポジション取り」です。

キャッチーな言い方をすると「キャラクター」です。

「どういう奴か?」という問いに対する答えですね。

ここを出さなくちゃいけない。

でも、自分のキャラを確立するのって難しくないですか?

もともと、金持ちの家に生まれたとか、ビックリするぐらい貧乏な家に生まれたとか、

めちゃくちゃイケメンとか美女とか、または、キャッチーなビジュアルをしているとか、そういったものがあればいいですが、ほとんどの人が、もともと持ち合わせているポテンシャルは、中肉中世の中流階級じゃないですか。

僕にしたって、田舎の薄っすら貧乏人の激ハンサムなので、「キャラ」としては、ちょっと弱いんです。

じゃあ、こういう奴が、そうやって後天的に「キャラクター」を獲得するか?という話なのですが、これ、やり方は確実にあってですね…結論を申し上げますと「やらないことを決める」という、この一点です。

「やること」を求めると、答えが無限にあるんでキリがないんです。

そうじゃなくて、「やらないこと」を決める。

たとえば、僕、絵本作家としてデビューした時に、最初に、「003mミリのボールペンしか使わない」ということを決めたんです。

つまり、「色は使わない」と。

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これって、結構、キツくて、だって、夕焼けのシーンを描かなくちゃいけなくなった時に、それでも自分は黒のボールペンしか使えないわけじゃないですか。

オレンジの絵の具は使えないんです。

でも、この瞬間に「唯一無二のキャラ」が生まれるんです。

僕の場合でいうと、「どういう感じで線を重ねたら、黒のボールペンで、オレンジ感を出せるか?」という試行錯誤を始める。

これ…オレンジの絵の具を使える人は、一生、ぶち当たらない壁です。

つまり、オレンジの絵の具を使える人は、この壁を登る筋力は手に入れられないですね。

こういった「やらないこと」がある制限の中での試行錯誤を繰り返しているうちに、「西野の絵本って、白黒だけど、色が見えるよね」みたいになってくる。

これが「キャラクター」の作り方です。

他には、どんな例があるでしょう?

…あ、たとえば、「時事ネタを斬らない」って決めるんです。

「時事ネタ」が一番バズるじゃないですか。世間の興味があるところなので。

でも、そこには手を出さない、と。

となってくると、今はまだ世間に興味が持たれていない素材を、どうにか加工して、世間が反応するレベルまで持っていかなくちゃいけない。

で、この作業で手に入る能力って、そもそも「時事ネタを斬らない」と決めたらから、手に入るわけじゃないですか。

つまり、制限が「才能」や「キャラクター」を生むという話です。

実は実は、自由という環境からは「才能」や「キャラクター」は生まれにくいんです。

「やること」を決めて何者かになろうとするのは難易度が高すぎるので、「何者かになりたい」と思うのであれば、「やらないこと」を決めて、首を絞めた方がいいと思います。

というわけで、
「キミが『何者か』になる方法」というテーマで
お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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