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PDCAを回している会社はヤバイ! by キンコン西野

このnoteは2019年11月24日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:門真さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

ごめんなさい。会社名は紹介できない。

改めて、
提供枠の説明はしておいたほうがいいな
と思うんですけど、

提供枠を販売する商品欄には、
ご案内しているのですが、
会社名とか、商品名とか、サービス名とか、
そういうことにしてしまうと、僕が宣伝することになっちゃう。

キングコング西野が、
その会社および商品、サービスがいいのかどうなのか吟味する前に、
お金をもらったからと言って宣伝してしまう
というのは全然いまの時代っぽくないし、
そもそも僕がそれを勧めているっていう風にとられてしまうと、
勧めているものがあまりよくなかったとしたら、
結果的に、ラジオを聴いている方を騙しているような感じになってしまうから。

だから、僕は宣伝は非常に慎重にやっていて、
基本的には宣伝仕事はやらない。

僕がそれを使ってみて、触ってみて、食べてみて、
「ほんとにこれはいいな」
と思ったものだけを宣伝するようにしているんです。

キングコング西野のルールってそこで。

自分がいいと思わないものは、いくらお金を積まれても宣伝しない。
そのほうがみんなしあわせだと思うんですよね。

逆に言うと、僕が勧めたものでよくないもの、
お客さんが食べてみて、触ってみて、
「ぜんぜんよくないじゃないか!」
っていう風なものがあったら、
それは僕が責任をとる。

そういう線引きにしているので、
ここの提供枠っていうのはどうしても
会社名とか、商品名とか、サービス名
っていうのはご案内することができない。

くれぐれもここは
個人名。個人のメッセージボードとかにしておくと、
宣伝にはならないし、個人が感謝されるし。

ここが落とし所としてはいちばん気持ちがいいかな
と思ってやっております。

この先もね、提供枠は
会社名、商品名、サービス名
をご案内することはできません。

くれぐれも、ここを踏まえた上でお付き合いいただけるとうれしいです。

というわけで、今朝はですね
「PDCAを回している会社はヤバイ!」
というテーマでお話したいと思います。

PDCAからMSKへ。

そもそもPDCAってなんなんだ?
っていう説明をすると、

Pは計画(Plan)
Dは実行(Do)
Cは評価(Check)
Aは改善(Action)

計画、実行、評価、改善。
これをひとまとめにしたのがPDCA。

会社はよく言われるんですね。
「PDCAをまわせ」と。
「とにかくこれをずっとまわすことが大事だ」と。

企画書を書いて、
実際にやってみて、
反応をみて、
ここはちがうな、というところを改善して。
で、また企画書を書いて、って。

ここをまわしていきましょうよ
って会社はよく言われるんですね。

つまるところこれは、
失敗を繰り返さないためのフォーマットである、と。

なるべく大怪我しないように、大事故起こさないようにしましょうね、っていう。
それがPDCAというものですよね。

で、結論としては、
「PDCAを回してる会社はヤバイ!」
と言っちゃっているのですが、

なんでヤバイかって、
これは大前提として、
いまの会社とかサービス提供者全般ですね、
機能で差別化をはかることが非常に難しくなっているんですね。

どのラーメン屋さん行ってもおいしいし、
どの電気屋さん行っても安いじゃないですか。

インターネットがこれだけ普及して、人と人がつながればさ、
コピーが簡単にカジュアルになってる。

「あのお店のあれおいしいよ」
って言われたらすぐパクられてしまうし。

そうなってきたら、いまどうなっているかというと、
すべてのサービス業のクオリティはガガガッとあがって均一化されて、
どのラーメン屋さんもおいしい。どの電気屋さん行っても安い。
って状態になっているのがいまだと思うんですけど、

こうなってきたら、機能で差別化をはかることがむずかしい。
昔だったら、おいしいラーメンを作っていればお客さんがきたんだけど、
おいしいラーメンを作ることに価値はないっていうか、
価値がないことはないんだけど、

他のお店もおいしいから、差をつけることは不可能になってきてる。

っていうのが今ですよね。

このことを踏まえた上で
生き残るにはどうしたらいいんだろう?
選ばれる会社、人、お店になるにはどうしたらいいんだろう?
って考えると

ファンをつくらなきゃいけない。
ファンをつくらないと生きていけない。

っていう時代に入った。

でね、
このPDCAっていう失敗を繰り返さないためのフォーマット。
これが、ファン作りには全然適していなくて。

ここ最近ね、PDCAは古い
とかよく言われるんですよ。
遅い、と。

「いちいち計画から入ってるんじゃねぇよ」と。
そんなことしてたら、欧米諸国とどんどん差が開く。と。
計画が練り上がらないと動かないとか、もう遅すぎる。と。

もちろんそれもあるんですけど、
PDCAの問題点としてふたつあって。

まずは、先ほど申し上げました通り、
正解が多すぎる、成功が多すぎる
んですね。

つまり、
安くておいしいラーメン屋さんが多すぎる。
安い電気屋さんが多すぎるじゃないですか。

そこで溢れかえっている、と。

たとえば、
競合他社がPDCAをまわしまくって、正解をだしまくったので、
みんな安くておいしくなってしまっている。
みんな正解をだしちゃってる。

みんな正解をだしている商店街に、正解をだしているお店をだしたところで、
それは当然埋もれてしまう。
正解にはなんの価値もないから。

なので、
正解をだす、っていうフォーマットがあんまり価値がない。

みんな100点だしているところに100点だしても、
クラス全員が100点とったところで「お前すごい」とはならないじゃないですか。
その状態に近いですね。

PDCAっていうのは正解が多すぎる時代に正解をだす
っていうフォーマットであるから、
あまりほめられたものではない。
ここが問題点のひとつですよね。

あと、いちばんの問題点は何かというと、
これ、Pから入っているので、プランから入っているんで。

何かと言うと、
失敗しないんですよ。

PDCAっていうのは失敗を繰り返さないためのフォーマットであるから、
当然、失敗しないんですね。

この失敗しないっていうのが、
つまるところ、ファン離れを起こしていて。

人は、何に反応するかっていうと、
「物語」に反応するんですね。

僕はオンラインサロンやっているから、
入会者、退会者の数字をずっと見ているからわかるんだけど、

仕事がうまくいっているときは入会者は増えなくて、
挑戦するときは会員数がガッと増えるんですね。
失敗しようが。

「ここからどうやって立て直すんだ?」
ってところに視聴率が発生して、ファン度が加速するってことですね。

やっぱり、挑戦する、ってことに意味がある。

『ONE PIECE』とかでもルフィがずっと勝ち続けてたら
あんなに人気漫画になっていなかったけど、
ルフィがデタラメな挑戦して勝ったり負けたり逃げたりして、
そこから「もう一度やりなおすぞ!」っていうところに、
その感情の幅に、非常に読み応えがあって
「来週どうなるんだ!?」
ってファンが一喜一憂しているわけなので。

失敗を繰り返さないためのフォーマットのPを分厚くしてしまうと、
「成功するんだね」
っていう風にとられてしまうから、

つまるところ、
「応援する余白」がデザインされていない
っていうことですね。

ここが、今の時代にあまりにも合っていない。

ファンを作らなきゃいけない時代に、
失敗を繰り返さないフォーマットをあてはめるっていうのは
完全に矛盾しちゃってるんですね。

言葉を変えると、
「ファンを作らないためのフォーマット」だから。

ファンを作らないと生きていけない時代に、
ファンを作らないためのフォーマットを適用してしまっている、と。

これはけっこう、上の世代の方は怖がります。
失敗することを。

日本はずっとPDCAをまわすことでうまくいっていた国だから。
慣れていないんですよね。
Pをとろうぜ、ってことに。

ちなみに僕の会社は、
PDCAではなくてMSK。
ムチャぶりに死ぬ気でこたえる
っていうことでまわしているんですけど。

そういうことでファンを増やしている。
会社のファンを増やしています。

ということで今朝は、
「PDCAを回している会社はヤバイ!」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

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