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困っている人をサクッと助ける【キンコン西野】

このnoteは2021年8月20日のvoicyの音源、『えんとつ町新聞』の内容をもとに作成したものです。


最近クラウドファンディングをやっていない理由

さて、今日はさっそく本題に入りたいと思います。

今、コロナで大変なことになっている沖縄・宮古島の話です。


お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は最近、クラウドファンディングをやっていないんです。

理由はいくつかあるんですけど、一つ大きなのは「面倒くさい」というところです。

クラウドファンディングって、利用されたことがある方なら御存知だと思いますが、プロジェクトによって「予約販売サイト」として使われたり、「支援サイト」として使われたりするじゃないですか?


たとえば、これから売り出すアーティストさんが、「デビューシングルを一人でも多くの方に届けたい」という企画を立ち上げて、リターン(返礼品)にCDが用意される……

これは「予約販売サイト」的な使われ方ですよね。

これはこれで、在庫リスクを潰せるので、メチャクチャいい使い方だと思います。

若手芸人が単独ライブをやる時に、ときどき、グッズを作りすぎてしまって、在庫を抱えてしまうので、それならば、「クラファンのリターンで事前にグッズを出して、先に注文をとってから、製造に入る」をやったらいいと思うんですね。


支援型のクラウドファンディングで思うこと

一方で、「被災地に高圧洗浄機を送りたい」とか、あるいは「無料でライブを開催したい」とか、まぁ、企画は何でもいいのですが、「支援型」のクラウドファンディングがあるじゃないですか?

この時って、3000円支援されたら、その3000円は被災地にまわしたいじゃないですか?

応援しているアイドルがファンや世間を楽しませる企画をクラウドファンディングで立ち上げていた場合は、3000円を支援したら、その3000円は、その企画の予算に回して欲しいじゃないですか?

変に『オリジナルTシャツ』とか『オリジナルポストカード』といったリターン(返礼品)を用意されて、被災地にまわされるお金や、大好きなアイドルの企画の予算が削られてしまったら本末転倒ですよね?

「Tシャツが欲しいわけじゃなくて、被災地を応援したくて、アイドルの企画のを応援したくて支援してるんだから、ちゃんと被災地に、企画に、使ってくれよ」と。

なので、こういった支援型のクラウドファンディングのリターンというのは、要するに原価がかかる予算を用意しちゃダメで、一般的には『御礼のメール』だとか、僕なんかは『あなたを意識する券』みたいなのをシャレで出すのですが、「購入型のクラウドファンディング」と「支援型のクラウドファンディング」を分けて考えられない人が世の中にはいて、 支援型のクラウドファンディングで質量がないリターン(原価がかからないリターン)を用意した時に、「詐欺だー!」「宗教だー!」と言っちゃうんですね。

普通に考えたら分かるじゃないですか。

アグネス・チャンさんがユニセフで募金を集めてきて、3000円支援してくださった方には、「アグネス・チャンさんデザインのオリジナルTシャツをプレゼント」とか言ってたら「バカ野郎」となるでしょ?

「Tシャツは要らねーから、お腹を空かせている子供たちに3000円を使えよ」と。

でも、たぶん、「リターンを用意しないとは何事だー!」「詐欺だー!」とか言っている人達って、本当に悪気はなくて、アンチ活動しているわけでもなくて、知識がないもんだから、シンプルに詐欺に見えているんだと思います。

で、こんなことを10年ぐらい前から言い続けてきたのですが、どうも日本はここの理解がいつまでたっても進まないので(寄付文化が根付かないので)、選択肢としてあった方が全員にとってプラスだと思うのですが、そこまで話を聞かないのだったら、「そろそろ説明するのはやめようかな」となった…というのが大きかったりします。

最近、YouTube講演家の鴨頭さんがクラウドファンディングを立ち上げられていて、そこで立ち上がっている企画を見ると、『支援型』への理解が、鴨頭さんのコミュニティーレベルであるので、すっごく良いなぁと思ったりもするのですが、一歩外に出てみると、まだなかなか理解が進んでいなかったりする。


でも、たとえば弱っている人がいて、お金があれば助けてあげられるのであれば、集めたお金は、リターンの原価だとか、リターンの配送費にまわすのではなく、その人に全額渡したいじゃないですか?

eluを使った宮古島の映画館への支援

そんな中、昨日、ちょっと胸が痛むニュースが入ってきまして…沖縄の宮古島が今、コロナで大変なことになっているらしいんですね。

市長が、観光目的の来島中止を求める緊急声明を出したほどです。

宮古島といえば、僕が『映画 えんとつ町のプペル』をやった時に、すっごく応援してくれた場所で、『よしもと南の島パニパニシネマ』という宮古島に唯一残っている小さな映画館と、その映画館のまわりにいる人達は、『映画 えんとつ町のプペル』を島で上映する為に、映画の配給元に何度もかけあってくれたんです。

宮古島でコロナの感染が拡がって、くわえて、ああいったニュースが出ると、感染対策をバッチリしているとはいえ、どうしても、映画館の客足は遠退いちゃうじゃないですか?

ここで、この映画館が倒れたら、もう宮古島に映画という文化が無くなっちゃうんですね。
いつかコロナが明けた時に、これまでいっぱいいっぱい我慢したんだから、そこにはエンタメがあって欲しいじゃないですか?

で、いてもたってもいられなくなっちゃって、スタッフを通じて、映画館のオーナーさんに連絡を入れて、「今日の夜までになんとかするから、受け取ってください」とお願いしたんです。

そこから、「さて、どうしようかなぁ?」と考えるわけですが、こういう時に、クラウドファンディングなんです。

だって、同じ『10万円』でも、一人で支援するより、皆で支援した方が、その映画館に興味を持ってくれる人が増えるわけじゃないですか?

で、「リターンの原価がかからないようなクラファンを立ち上げて、集まったお金は全額、宮古島の映画館に寄付しよう」と考えたわけですが……ここでまた「購入型のクラウドファンディング」と「支援型のクラウドファンディング」の区別がつかない人がギャースカ言い出して、僕が言われる分には構わないですが、それが宮古島の人達に飛び火するのは絶対に違うなぁと思って、何か良い方法はないものかと考えた結果……最近、急激な盛り上りを見せている『elu』(デジタルデータをサクッと販売できるサービス)で、デジタル作品を販売して、その売り上げを宮古島の映画館に全額振り込むことにしてみました。

昨日の夜に、500円(1000個限定)で販売をスタートしたのですが、もう完売します。

リターンにかけたコストなんて、僕の作業代ぐらいで、屁みたいなもんです。
だけど、手元には作品が届くわけだから、納得感があった。

これは、既存のクラウドファンディングでもやれることなのですが、クラウドファンディングはデジタルコンテンツを販売する用に作られているわけではないので、ここまでのスピード感は出せない。

リアルな話、ニュースが出た日に立ち上がった企画と、ニュースが出た1週間後に立ち上がった企画とでは、集まる金額が違うと思うんですね。

すっかり、eluの宣伝マンみたいになっちゃってますが、eluは、困っている人をサクッと助けるツールとして、カジュアルなクラウドファンディングとして、かなり有用だなぁと思ったので、今朝はそんなことを皆様に共有させていただきました。

今回、ご支援くださった皆様にはこの場を使って、御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
そして、宮古島の皆さん。
コロナが落ち着いたら、また宮古島に行って、胃袋が爆発するまで全力で飲み食いしますので、飲食店経営者の皆様、観光業、サービス業の皆様、映画館のお母さん、もうチョットだけ頑張ってください。
応援しています。

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