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【新型肺炎】マスクを買い溜めする人は、感染リスクが高くなる by キンコン西野

このnoteは2020年2月10日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:吉田 裕子さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「【新型肺炎】マスクを買い溜めする人は、感染リスクが高くなる」
 というテーマでお話したいと思います。

買い溜めによって何が起こるか?

昨日のブログに、「新型コロナウイルス対策でマスクを買い溜める人って何なの?」という記事を投稿したところ、かなり評判ありました。しかし、何割かの人には間違って伝わってしまったり、そもそも僕の意図が伝わらなかったので、あらためて説明させていただきます。

皆さんご存知の通り、現在『新型コロナウイルス』が猛威を振るっています。その中で、「マスクを買い溜めしている人たちがいる」という話を聞いて、僕はかなりびっくりしました。

昨日、僕は岡山にいたのですが、確かにコンビニでもマスクが売り切れていたり、オークションサイトや、フリマアプリで、マスクが高額転売されているのを見ました。社会は今、そのような状態にあります。

しかし僕は、この「マスクの転売」に関して、「そんなケチくさい小銭稼ぎに、自分の時間を割いてしまってるから、いつまでたってもその生活から抜け出せないんだ」と思ったりもします。

ただ、品薄になっているマスクを買い溜めして高額転売するという行動は、その「小遣い稼ぎ」という目的に対するアプローチとしては、理解できます。つまり、そのやり方には、賛成できませんが、その人の思考は、理解できるということです。

なので、まずお伝えしておきたいのは、今日の内容は「マスクを高額転売するな!」という話ではないということです。昨日のブログでは、一部そのように伝わっていたようですが、くれぐれもそのようなメッセージを伝えたいわけではありません。

また、「花粉症の季節にマスクを買い溜めする人たち」のことも理解できます。花粉の飛散というのは、人の力ではどうしようもないので、マスクで防ぐしかありません。なので、その時期にマスクたくさん持っておきたいと考えるのはすごく分かります。

本題はここからですが、僕があまり理解できないのは、「『新型コロナウイルス対策』で、マスクを買い溜めする人たち」のことです。

そもそもマスクには、3つの役割があると考えられます。

まず1つ目は、空気中に飛び散っている菌を口や鼻から吸い込むことを防ぐこと。
2つ目は、自分が持っている菌を、空気中に飛ばさないようにすること。
そして3つ目は、美人詐欺ができるということです。厳密に言うと、美人詐欺で西野を騙せるということですね。

ここで話したいのは、1つ目と2つ目についてです。

新型コロナウイルスの感染経路は、『接触感染』と、『飛沫感染』です。あまり聞き馴染みのない言葉ですが、『飛沫感染』というのは、咳やくしゃみといった「どうやら怪しい水滴」を吸い込むことによってうつることを意味します。

つまり、『飛沫感染』というのは、他人が出した水滴をダイレクトに取り込むか否かなので、『空気感染』とは若干異なります。

今、『新型コロナウイルス』の感染者が確認されたクルーズ船が、大変なことになっていますが、あの現場でも「乗客同士は2メートル以内に近寄らないこと」というルールなっているようです。「水滴をダイレクトに吸い込むか否か」が感染の線引きなので、「2メートル離れていたら、一応大丈夫だよね」という雰囲気だと思われます。

つまり、『新型コロナウイルス』の感染経路は、『空気感染』ではなく『飛沫感染』なので、2メートルぐらい離れていたら大丈夫ということです。

とはいえ、街中ですれ違う人全員と2メートル以上距離取り続けることは、少し難しそうですよね。電車などの乗り物では絶対に無理です。ですから、マスクをするのは、当然のこととして理解できます。

ただ、「空気中に飛び散っている菌を口や鼻から吸い込むことを防ぐこと」も大切ですが、それと同時に、「自分の周囲にいる菌を持っている可能性がある人たちが、咳やくしゃみで菌を飛ばしてくることを防ぐこと」も、大切なのではないでしょうか。「飛ばす」のを防ぐことも、「飛ばして来られる」のを防ぐことも両方大切ですよね?

しかし、自分がマスクを買い溜めしてしまうと、当然買えない人が増えるわけです。その「買えない人」の中には、『新型コロナウイルス』の菌を持ってる人がいるかもしれません。

つまり、整理するとこのような順番になります。

①マスクを買い溜める。
②おかげで、マスクを買えない人が増える。
③マスクを変えるなかった人たちが、咳やくしゃみをして、菌を飛ばしまくる。
④自分に降りかかってくる菌が増える。

この流れって、めちゃくちゃコスパ悪くないですか?

要するに、「マスクを買い溜めたことによって、感染のリスクが増えている」ということです。

マスクは、皆に買わせて、皆につけてもらった方がいいですよね。菌の総量を増やして、そこから身を守るよりも、そもそもの出所を塞いで、菌の総量を減らした方が安全なのではないでしょうか。

しかし、「なんか不安だから、とりあえずマスクを買い溜めとこう」と考えてしまう人がいます。

マスク買い溜めから見える日本の景気の悪循環

そして、「自分さえ持っておけば安心安全だ」というこの考え方は、お金の捉え方に非常に似ていると思います。

たとえば、戦後日本の道得感で生きているうちの母ちゃんも、「何かのために」ではなくて、「とりあえず貯金しておきなさい」と言います。

でも、もしみんなが無目的に貯金すれば、世の中にお金が回らなくなり、景気が悪くなって、1人当たりの収入が減って、それに従って税金収入が減って、医療年金といった社会保障制度の充実にお金が回らなくなる。その結果、老後にお金がたくさん必要になってくるから、それが不安で余計に貯金することなります。

その結果、余計に景気が悪くなるという悪循環が起きてしまうということです。

このとき、僕たちの本来の目的、つまり「安心する」、「幸せになる」ということが見失われてしまっています。

それならば、お金を回して、景気をよくして、社会全体を底上げして、社会性保証制度が充実させて、老後に必要なお金が少なくて済む、暮らしやすい世界にした方がいい。

しかしながら、おそらく多くの人が他人を信じることができておらず、「自分だけがお金を使っても、他人が使わなかったら結局景気はよくならないから、出し損になっちゃう」と考えてしまいます。

なので、今や人生の目的が「安心する」、「幸せになる」というところから「銀行の残高を増やす」ことに変わってしまい、いつしか「銀行の残高が増えること」が「安心」や「幸せ」だと考えるようになってしまいました。このとき、「溜め込むことで景気が悪化することのリスク」は考えられていません。

マスクもこれと全く流れで、買い溜めしてしまうことで、マスクを買えない人が増え、その買えなかった人たちが、咳やくしゃみをすることで空気中の菌を増やしてしまいます。結果的に、リスクが増えているのです。

それにも関わらず、買い溜めをした人たちは大量のマスクを見てニヤニヤしている。つまり、「安心」してしまっているのです。

このように、今回のこのマスク買い溜めの一件から日本の景気が悪くなる原因を連想しました。このテーマは、結構興味深い議題だと思います。

というわけで、
「【新型肺炎】マスクを買い溜めする人は、感染リスクが高くなる」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。風邪に気をつけてください。
西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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