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集客に成功している空間と失敗している空間の違いをプロが説明byキンコン西野

このnoteは2019年12月19日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:故山 義晃 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
集客に成功している空間と失敗している空間の違いをプロが説明
というテーマでお話したいと思います。

幸福度は「伸び率」だ

先日、「素人がイベントを企画する時に必ず踏む地雷を一挙公開!」というテーマでお話しさせて頂いたときに、「余計なことするな」っていうこと言ったと思うんですが、そのうちのひとつに「空間」のお話もさせていただきました。

放送をさかのぼっていただくとそういう回があるので、そちらの方を聞いて頂きたいんですが、とにかく「余計なことをするな」と。

じゃあ、「余計なことをするな」って言ってる西野はプロぶっているけれど、「一体なんぼのもんなんじゃい!」と思っている方も中にはいると思うので、プロってこういう感じで空間を作っていますよっていう説明を少しだけお話しさせていただきたいと思います。

自分は、イベントをいっぱい作ったり、固定の場所を作ったり、あれやこれや空間というものを手がけるお仕事もしているんです。

もちろん僕ひとりではないですよ。たくさんのスタッフさんと一緒に空間を作らせてもらっています。

そこに何万人とか、何千万人とか、人をよんだりするんですね。

じゃあ、この空間はどういう感じで作っているか?っていうと、まず「幸福度ってなんなんだ?」ってところから考えていくんです。

自分たちは、幸福度っていうのは伸び率であると定義していて。

たとえば、テストで毎回95点取ってる人が96点取ってもそれほど幸せではない。だけど、毎回0点の人が30点とった時ってむちゃくちゃうれしい。

96点と30点で比べると、96点のほうが圧倒的に上なんだけど、どっちのほうがしあわせのその瞬間感じたか?っていうと、まちがいなく0点から30点をとった人。

つまり、伸び率があった人ですね。

幸福度っていうのは高さではなくて、矢印の角度です。
これが上の方向に上がっていれば上がっているほど、幸福度が高い。

すべて、ここから設計していくんですね。そういう風に空間を見ていく。

たとえば、ディズニーランド。

ディズニーランドって駐車場がすごい広いじゃないですか。
受け入れ体制は万全。

だけど、入場ゲートで軽く渋滞が起こってて、ちょっと並ばされたりするじゃないですか。使っていないゲートがあるから「あそこ解放してくれたらスムーズにいけるのに」って思うじゃないですか。

あれはなんでなんだ?っていうところから考えていくんですが。

入場ゲートを入ったらシンデレラ城があるけど、並ばずにサクッとみれたシンデレラ城と、並んでちょっとストレスをかけられたあと、解放されてようやく見れたシンデレラ城。どっちの方が胸を打ちますか?っていう話ですね。

これは、明らかに後者である。
ストレスからの開放によって、伸び率が高くなるんですね。

このことからどういった答えが割り出されるかというと、ディズニーランドの場合は、行列が満足度上げているっていう風に言い切ることができる。

空間づくりのプロは、このストレスからの解放=伸び率を設計していたりします。

僕らは五反田に『キャンディ』っていうスナックを作ったんですが、このスナックは『えんとつ町』の中にあるスナックっていう設定になっていて、バカみたいに内装費かけてるんですね。ずいぶん作り込んでるんですよ。

この店を設計するときも、意識したのは伸び率

入り口はいったあとに、わざわざ壁を1枚張って、もういっかい入り口をつくったんですよ。

ふたつめの入り口には扉はないけど、軽くかがまないと入れない。くぐらなきゃいけないようにしてるんですね。で、中に入ったら世界がウワって広がるようになってるんです。

入り口はいっていきなり世界がみえるのと、くぐるというストレスがかかった後にそこから解放されてみれる世界とでは、感動のかんじが全然ちがう。

こういう風にストレスをあえて設計しています。

安全面を考慮した空間設計の話をすると、今年の5月に兵庫県川西市の満願寺で『チックタック ~光る絵本と光る満願寺展~』をやったんですよ。寺も森もぜんぶライトアップして、すっごいスケールで「西野亮廣史上最大の個展」っていう名目で大々的に。

それで、ライトアップしているとはいえ、暗くて足元悪かったりするじゃないですか。

人もたくさんくるし、年配の方もいらっしゃたりするから、やっぱり安全面はちゃんとやっておかないといけないですよね。

いちばん危険だったのが、満願寺の境内の階段。
雨の日に足滑らせてしまったりしたら危ないじゃないですか。

で、こういうときにどう空間をつくるか?って話なんですが、ありがちなのが足元をきっちり照らすことですね。

これ、僕から言わせると、じつは逆で。僕たちがやったのは階段のところにスモークをたいて、ライトは極力落としたんですよ。

つまり、「ここ危ないですよ!」ってわかってもらえるようにしたってことです。

事故が起こったり、こけちゃったりするのって、油断なんですよ。
明るく照らしたら油断するじゃないですか。

だから、ライトを落として、スモークをたいて、「ここは危ないですよ!」って伝わる空間設計をした。そうすると、人は気を張って歩く。

実際、個展は2、3週間くらい期間があって、数万人動員したんですけど、そこでの事故はいちどもなかったです。

こんな風に、よくできた空間っていうのは、プロによる心理的、数学的な仕掛けが山ほど仕掛けられている。

だけど、その事情を知らない素人は、よかれと思ってゲートをぜんぶ解放して行列を解消したり、くぐる壁をこわして入りやすくしたり、階段の足元をすっごい照らしてしまったりする。

これは、親切とか優しさってものではない。

親切や優しさはストレスをゼロにすることではなくて、幸福度を設計してあげるってことですね。

そういった空間設計をするのは、やっぱり経験が重要になってくるので、なかなか素人さんが1日でできることではない。

なので、素人さんが空間作るときは、あまり余計なことをしないほうがいいです。

というわけで、
集客に成功している空間と失敗している空間の違いをプロが説明
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。


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