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今の日本に足りないモノ byキンコン西野

このnoteは2019年10月28日voicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:森 武志さん

おはようございます。
キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をやったり、絵本作家をしたり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

エッフェル塔の個展は大盛況!

さて、今朝もパリからお届けしております。
『西野亮廣 光る絵本展 in エッフェル塔』がスタートしましてですね、

本当にありがたい大盛況で、
初日は約3千人くらいの方にお越しいただきました。

3000人と言われてもあまりピンとこないかもしれませんが、
それほど大きいスペースではないので、
1日で3000人というのは、
朝から晩まで人が待ってるっていう状況ですね。

お客さんはフランスの方だけじゃなく、
エッフェル塔という場所柄、色んな国からお越しいただいてるんですけども、

印象的なのは、特にやっぱフランスの方なんですけども、
作品を見たときの感想がですね、
わーすごいとか感動した、とかいうのではなくて、

私はここのこの部分にこういう思いを感じてここに感動しました
みたいな、なんでしょうね、
自分の感動を因数分解して伝えるのが非常に得意だなっていう。

多分これはアートの素養というか、
リテラシーがそもそも日常にあるから
高いんだなぁというのがすごく印象的でした。

朝から晩まで、
たくさんの人にお越しいただいて、
そして朝から晩までスタッフさんに寒いなか、
本当に動いてくださって、
本当に感謝、もう感謝感謝感謝でございます。

さあ、今日はですね、
「今の日本に足りないモノ」
というテーマでお話したいと思います。

ゲームには「流れ」がある

僕は絵とか描いてるし、お笑いとかやっているし、
身体はご覧の通りへにゃへにゃなので、
あまりイメージないかもしれませんが、
意外と足が速くてですね。

多分芸能界で一番速いと思うんですよ。
かけっこでは実は負けたことがなくて。

あるじゃないですか、『オールスター感謝祭』。
赤坂5丁目ミニマラソンです。 TBS の特番で
タレントさんがたくさん出るやつですが、
あれも負けたことがなくて、
猫ひろしさんとか、なかやまきんに君とか、
いろんなスポーツタレントさんがいるなか、
出たらだいたい優勝していたんですけれど、
もう最後の方はすごいハンデつけられて、
ほんとにメダリストよりハンデつけられる
みたいな状況だったから、そこはもう
物理的に優勝出来なくなってしまったんですけれど、
意外と足が速いんですよ。

で、これなんでかっていうと、
もう本当にイメージないかもしれませんが、
もうゴッリゴリのスポーツマンで、運動部出身なんですね。

子供の頃から高校を卒業するまでずっと
バッキバキに部活をやってて、
早朝練習やって、居残りの、放課後の練習もしてみたいな。

バッキバキのスポーツマンなんですね。
だから、やってたスポーツはいろいろあるんですけれど、
バスケットだとか、ハンドボールもやりましたね。
あと足が速かったので、助っ人で陸上部にも行ってました。

スポーツ、やられたり見られたりする機会も多いとは思うんですけど、
スポーツの試合、ゲームにはですね、
面白いもので、やっぱ、「流れ」っていうのがあるんですね。

流れってのがあって。
人の力ではどうしようもできない、
1人の人間の力ではどうしようもできない、
試合の流れっていうのがあるんですよ。

分かりやすくいうと、
追い上げてるチームの方が強いんですよ。

点数的に勝っているチームよりも、
点数的に逃げようとしているチームよりも、
追い上げて、下手すりゃ逆転あるぞって
匂わしているチームの方が
やっぱり良いパフォーマンスするんですね。

で、これ、スポーツに限らずですね、
自分自身ですけど、一番分かりやすいところで言うと、
皆さんの知っているところで言うと、
自分が『M1グランプリ』に出た時ですね。

もう今年はなんとなく優勝できるのかなぁ
と思って。
生意気ですね、でも一生懸命頑張ったのでその年は
優勝できるだろうなぁとか思って出た年があったんですね。

まあ本当に誰よりも努力したと思うんですけど、
決勝まで上がって決勝でみんながあんまりこう
昔のM1って全員がウケてたみたいなのじゃなくて、

結構お客さんが簡単には笑わないぞ
っていう雰囲気の中やってた時代があったんですね。

で、前半、5組6組ぐらいがあんまりバーンてハネなくて、
僕らの前にトータルテンボスさんが出られて、
どかーんってウケたんですね。

で、今年はトータルテンボスだー
みたいな雰囲気になったんですよ。
圧倒的に一番で。

で、その後の出番が僕たちだったんですよ。
で、ここで考えたのは、
M1って、決勝戦は第1ラウンド、第2ラウンド、最終決戦があるんですけど、

ここで今トータルテンボスさんが圧倒的に勝っていると、
で、このトータルテンボスさんに1点でも上回れば
今年はもう僕たちだろうなっていう
その流れになるだろうなと思って
むちゃくちゃ狙いにいったんです。

で、トータルテンボスさんの後に自分たちが出てって、
もう何となく会場はトータルテンボスだーってなっているなか、
キングコングが出てって漫才してウケて、
トータルテンボスさんの点数上回ったんですね。

ランキング1位に躍り出たんですね。
もうさすがに今年はキングコングだっていう雰囲気になったんですよ。

で、自分もやっぱり、
さすがに来たかなーとかって思っていたんですけど、
流石にその時に、
敗者復活で上がってきたのが、
サンドイッチマンさん。

サンドイッチマンさんが一番最後に出て来られて、
漫才やられて、キングコングよりも、1点上回ったんですよ。
もうたった1点です。

で、決勝ラウンドは、
トータルテンボスさん、キングコング、そして 、
敗者復活戦で上がってきたサンドウィッチマンさん。

この瞬間に、キングコンを上回った瞬間にもう
わかるんですよ。

国民全員が期待していること。
敗者復活からの優勝っていうこのサクセスストーリーを、
国民全員が期待していること、
もうわかるんですね、
会場の雰囲気がそうなんですよ。

見たいのはキングコングの優勝じゃないんですよ。
トータルテンボスの優勝じゃないんですよ。
敗者復活から上がってきた全くその当時まだ誰も知らないぐらいの
知名度低いサンドイッチマンさんっていう
人たちの優勝をみんなが期待してたんですよ。

これはね、変えられないんですねえ。
この流れっていうのはすごい力を持っていて、
もう、空気が全部、空気全体が、
サンドウィッチマンさんが優勝する方に、
全員が持っていくんですね。

で、実際そこでサンドイッチマンさんは
才能も確かな実力もあるから、
そこで素晴らしいパフォーマンスをされるわけですけれども、

やっぱゲームには流れというのが、まずあるっていう
この話からちょっと続けていきたいと思います。

『希望』

でね、なんで「今の日本に足りないモノ」
っていうテーマでこの話をしたかというとですね、
やっぱりまあお仕事柄ですね、
色んな国に行かせていただく機会が多いんですね。

当然プライベートで行ってるわけじゃなくて、
今回のエッフェル塔のように、何かしら日本で自分が作ったエンターテインメントを持って、2ヶ月にいっぺんぐらい色んな国に行ってるんですけれども、

そこでね、やっぱ改めて思うのは、
日本、日本人のスキル、
負けてないんですよ。

海外出て行って、つくづく思うんですけれど、
負けてないですよ日本。
力負け全然してないんですね。

例えば、今回のエッフェル塔の個展でもですね、
自分たちが作った絵もそうだったし、
AR、VRもそうだったし、
レセプションで来てくださった
パティシエの小山進さん、『パティシエ エス コヤマ』
チョコレートの世界チャンピオンですね、
他にも、日本食料理屋さんパリでやられているオオヤさん、
もう味で勝負したらこっちの人全員唸るんですよ。もう参ったっていう。
作品で勝負したら、うわあーってなるんですよ。

つまり、
日本人は負けてないんですね。

なんか、国として今沈んでるみたいな雰囲気ありますけれど、
個人個人で勝負したときに僕たちは全然負けてないんですね。
多分勤勉なので、努力家なので、
全然負けてないですよ。

ただ、そう思えてないじゃないですか。
日本に居ると、入ってくるニュースってそんな明るいんじゃないですよねもう。
で、せっかく素晴らしいスキルがあるし、素晴らしい才能はあるのに、
みんな売って出てないんですよ外に。
どーせ無理なんじゃないかって思ってしまっていて、
そのスキルが披露されないまま、
年月が過ぎていってしまってる。

つまり、
詰まるところ何かというと、
いけると思えてない
っていうことです。

もしかしたらいけるかも
っていうようなことを
思えていないっていうことですね。

で、やっぱり、
流れを作るのに必要なものって結局何かっていうと、
『希望』ですね。

いけるかもっていう
思い込み、および勘違いが
その流れを生むので。

で、流れ生んだ瞬間に、
すごく大きな力なるんですけど、
まずはいけるかもって思うことが非常に大事で、
いけるかもって、言葉わるいけど勘違いすることは非常に大事で、
それっていうのは、
希望ですね。
希望がないと、思えないので。

つまるところ、
今の日本に足りないモノは希望であるっていう、
ここなんです。

体力スキルはもう持ってるんです。
無いのは何かというと、希望ですね。

だから僕らのような、
こうしてチャンスを貰った人間は
もっともっと見せなきゃいけない。

いけるんだというところ。
負けてないじゃん通用してんじゃんっていうところを。
西野でもいけるんだったら俺もいけるんじゃねって
思ってもらうことが非常に大事だなと思っていて。

なので、こうしていろんな国に打って出て、で、
いけたよっていう報告をさせていただいてるんですけど、

結論ですね、やっぱり、
今の日本に足りないモノは希望であると。

で、そこに向けて、そんなことを言ってたって仕方がないから、
希望が持てるように自分達のような人間が
勝っている姿を見せるっていう、

それが非常に重要だなっていうことを、
今回の『光る絵本 in エッフェル塔』
で改めて思った次第でございます。

つまるところ、
今の日本に足りないモノは、『希望』である。

なので、僕らチャンスをもらった人間は、
もっともっといけるんだっていうことを
見せていく必要があると思っています。

これは自戒を込めて、
もっとやらなきゃいけないなっていうことを
改めて思いました。

というわけで、

素敵な一日をお過ごしください。
西野亮廣でした。

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