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その差別化に意味はあるの?byキンコン西野

このnoteは2020年8月19日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:美尻女医 よねむらみちこ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「その差別化に意味はあるの?」
というテーマでお話しします。

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お聞き及びかもしれませんが、僕は「エンターテイメント」を生業とさせてもらっています。

で、この「エンターテイメント」というのは職業の掛け算(コラボ)が、「食×エンタメ」とか、「スポーツ×エンタメ」とか、「トイレットパーパー×エンタメ」とか、「美容室×エンタメ」……といった感じで、無限通りあって、おかげ様で毎日いろんな会社さんと接点を持たせてもらっています。


特に今は、映画『えんとつ町のプペル』もあって、そういったコラボの依頼は多かったりします。
めちゃくちゃありがたいです。

くわえて、僕はサロンメンバーさんのコンサルもさせてもらっていて、これから世に出て行こうとする彼らの戦略を聞いては、偉そうにああだこうだ言わせてもらっています。

他のコンサルと大きな違いは、「相談に乗ったら、気持ちが入っちゃって、高確率で、そのサービスのお客さんになっちゃう」という素人感が拭えていない点です。


先日も、20万円でサロンメンバーさんのコンサルを受けて、最終的には100万円を支援させていただきました。

もう、何をしているのかが自分でもよく分かっていません(笑)

まぁ、「いろんな会社さんと日々お付き合いさせていただいていますよ」という話です。

ご一緒させていただくのは、大きな会社もあれば、小さな会社もあって、どの会社も、どのクリエイターさんも、生き残りをかけて、あの手この手で戦略を立てているのですが、中でもよく議題に出てくるワードとして「差別化」という言葉があります。

「差別化を図る」って、よく聞きますよね。

 
小さな会社の戦略会議では、5分に1回は「どこで差別化を図っていきます?」という言葉が出てきます。


当たり前っちゃあ、当たり前なんです。
小さな会社からすると、差別化を図らないと大手に食われちゃうので。
あの手この手で、自分達独自の道を探る。


で、今日は「小さな会社さん」に向けてお話しているのですが…

この「差別化を図る」というテーマで議論する時に、近くで見ていると、結構な割合で抜け落ちている「チェック項目」があります。

それは、「『無効化できない差別化』かどうか?」というポイントです。


「差別化を図る」のは勿論大事なのですが、「無効化できない差別化を図る」ということが大事です。


当然ですが、小さな会社が独自の商品でヒットを飛ばせば、大手はそれを真似てくるわけじゃないですか。
すると、1週間後には、もうそれは「独自の商品」では無くなり、あとは数の勝負で大手に飲まれてしまう。


ここで、この話を聞くと「そんなことは分かってるよ」と、ほとんどの方が思われると思うのですが、
じゃあ、今、ご自身がやられているお仕事(アプローチ)を冷静に振り返っていただきたいのですが、今、あなたがやられているそのプローチ、それって、大手が真似できません?


今、「うっ」となった方、結構、いらっしゃると思います。
むしろ、「いや、僕の活動は大手には絶対に真似できない」と即答できた人なんて、1%ぐらいだと思います。


これ、面白いですよね。

皆、頭では理解しているし、他人のアプローチは冷静に判断できるのに、こと自分のアプローチになった瞬間に、ほとんどの方が「差別化できていない」か、「大手に真似される差別化をしてしまっている」のどちらかなんです。


たとえば、僕でいうと、『チックタック 〜約束の時計台〜』という絵本があって、この絵本の中に「満願寺」という実際に存在するお寺の山門が出てくるんです。

で、去年は、この満願寺を舞台に『チックタック 光る絵本と光る満願寺展』という個展を開催して、ビックリするぐらい大盛況だったのですが、これって大手が真似できないんですね。

たとえ絵本が描けて、たとえ予算が用意できたとしても、満願寺でそんな個展はできないんです。
じゃあ、なぜ、西野はできたかというと、理由はいたってシンプルで「西野の地元だから」です。

地元の方の理解がないと、住宅街のど真中に数万人を動員するイベントなんてできません。

もう少し規模の大きな話をすると、今年映画化される『えんとつ町のプペル』という作品は、「ハロウィンの夜に街にやってきたゴミ人間」の物語なんですが、これって「日本」の作品なんです。

ハロウィンというのは本来、収穫祭であって、そのアイコンは「カボチャ」とかなんですね。

日本のハロウィンは皆さんご存知の通り、収穫祭の文脈をくんでおらず、シンプルに「コスプレ大会」です。
なので、毎年、ハロウィンの夜には街に大量のゴミが発生するんですね。

「ハロウィン×ゴミ」という組み合わせは、言ってしまったら「日本ならでは」の打ち出し方で、言ってしまえば「時代劇」とか「忍者」みたいなノリです。

海外の方が真似しようと思ったら、すでに根付いてしまっている「収穫祭」の文化が邪魔しちゃうんです。

差別化を図る時は、大手が真似をして無効化することができないように、こういう感じで「コピーガード」がかかっているところに手を出す必要があって、小さな会社が差別化の議論をする時に、そこがゴッソリ抜け落ちている場合があるので気をつけてみてください。


今日のオンラインサロンの記事は、この「実践編」を書ます。
今日の記事はメチャクチャ面白いと思います。

というわけで、
「その差別化に意味はあるの?」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
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