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定石を甘く見るなbyキンコン西野

このnoteは2020年3月14日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:松尾 勝俊 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
定石を甘く見るな
というテーマでお話したいと思います。

キミのアイデアはキミに似合うのか?

僕の毎朝のスケジュールをざっくり申し上げますと、起きて、まず、このvoicyおよびYouTube の音源を撮って配信。

その後ブログを更新。

その後、オンラインサロンの記事2000〜3000文字位を更新。

その後、ネットショップで注文を承っている絵本にサインを入れて、レターパックに住所を書いて梱包して配送。

約1万文字を発信して、サイン本の作成と配送。

これが、毎朝最低限やってることです。

そして、これにプラスαでイレギュラーな作業が入ったりしています。

たぶん、普通の人だったら、3日も続かないのではないかと思います。

よく言っているのですが、1万文字を発信する段階でつまづく方がけっこういらっしゃると思います。ですが、これを何年もやっている。

だいたい、毎朝この作業が、朝10時くらいに終わります。

そして、これを済ませた後、1日10kmジョギングして仕事に向かってます。

ちなみに、お仕事は、だいたい夜中までです。

3時とか4時とかまで続くことがザラで、帰宅して、その3時間後には、もう次の日の作業が始まっている。

こういう毎日です。

ちなみに僕は、「地球人の中で最も人と膝を突き合わせて会ったことをのある人間になる」ということを決めています。

絶対に一番人に会うと、何年か前になぜか決めちゃったんです。

今は、舞台『たけしのの挑戦状』の稽古中なので、なかなか身動きが取れないのですが、これはどちらかというとイレギュラーなスケジュールで、普段は講演会等でこまめに地方を回っています。

週に2〜3回ほど地方で講演を行っています。

そして、その晩はその地域のサロンメンバーさんと飲みに行って交流を深めています。

さて、別に今日は僕の努力自慢をしたいわけではありません。

これはとても大事なことなので、忘れられないように、自分のブログでも、わざと、半年に一度ぐらい同じことを言っているのですが、

僕、キングコング西野は、「革新的なアイディアで時代を切り開くアイコン」とか「現代の革命家だ」などというような扱われ方をする機会が少なくありません。

事実、これまで誰もやったことがないようなアクションを何度も仕掛けてきましたし、これからも仕掛けます。

派手な奇策を打って世間を驚かせたことも、今後驚かせることも、あると思います。

ただ、その下地には、冒頭申し上げたような恐ろしく地味な作業と、どぶ板営業があります。

僕が世界の誰よりもやっている「文字を発信すること」「サイン本を作ること」「膝を突き合わせてお客さんとお話すること」

これらは、新しいことでも何でもありません。

何十年も、物によっては何百年も前から続いている『定石』です。

『定石』というのは、「こうした方がいいよね」という「最善とされる決まった打ち手」のことです。

この『定石』は、何千何万何億もの先人たちが試行錯誤、それこそ奇策を繰り返して辿り着いた答えです。

ですから、それはたった一人の人間が打ち出したアイディアや奇策で、軽々と超えられるようなものではありません。

そして、僕たちが受け止めなければいけない「残酷な現実」がここにあります。

それは、自分が思いついた「これまでにないアイデア」というのは、その昔、すでに誰かが試していて失敗して、必要がないものだと世の中から抹消されたものだということです。

つまり、厳密には「これまでにはないアイディア」ではなくて「現在ないアイデア」なのです。

これを、僕たちは受け止めなくてはならない。

アイデアを思いついた人というのは、そんな歴史を知らないし、自分の自力でそのアイディアに辿り着いてるので、他の人が、「すでにこれを思いついていた」ということは受け止めたくない。

受け止めたくないから、アイデアを思いついた瞬間に「同じことを考えた人がいるんだろうか?」と検索すらしていない人がほとんどです。

ですが、あなたが思いついたアイデアというのは、すでに世の中に1万通りある。

1万件あって、全てそれは要らないものとされた、捨てられた。

そういう風に捉えておいた方がいいと思います。

僕ね、時々サロンメンバーさんのお店に行くんです。

どうせ自分の時間とお金を落とすのなら、よくわからないお店よりも、サロンメンバーさんのお店に落とすことで、そのメンバーさんのお店の売り上げに貢献して応援したいので。

美容室や居酒屋は、絶対サロンメンバーさんのお店を選んでいます。

そこで時々をお見受けするのは、その店のオーナーさんなりの「斬新」です。他であまり見たことのない料金体系などがそれですね。

ここで少し厳しいことを言うと、それは、確かに他にはないかもしれないが、面白くもなんともない。

ただただ、あなたのオナニーでしかない…ということです。
他の人は、思いついているけど、やっていないだけです。

あと、これ、すっごく大事なのですが「似合っていない」のです。

これが、非常に重要です。今日の主題です。

これは、洋服などと、全く同じです。

時々、ダサい服を着てる人に対して「だせぇな!」と言ったら、「分かってないなー。これ、オダギリジョーが来て言ったやつなんだよ!」って返ってくる。

だけど、それはオダギリジョーさんだからカッコイイだけで、お前はオダギリジョーじゃねーぞと。

大阪のおばはんが愛用しているヒョウ柄のセーターでも、かっこよく着ちゃうのが、オダギリジョーさんだからです。

サービスのアイディアというのも、全く同じで、似合ってなかったらはまらないのです。

だから、僕が思いついたアイデアをみて、僕が仕掛けてたことと全く同じことをやったとしても『似合って』なかったらうまくいかない。

『似合う』『似合わない』とは、たとえば斬新な料金体系など同じことをやっていても、「なにそのお金の回し方?!面白い!」と思われる人と「うん?」と思われる人がいるということです。

斬新なアイディアが『似合う』『似合わない』というのが、やっぱりあるんです。

「似合わなかったら、はまらない」ということ。
それは、受け止めなくてはいけないです。

そして、世のアイデアマンと言われる人たち、つまり、斬新なアイデアが『似合う』人たちというのは、往々にして『定石』を大切にしていて、歴史を重く受け止めていて、びっくりするぐらい地味な作業を水面下でくり返しています。

『アル』というマンガサービスを展開している、けんすうさんという方なんか正にその典型で、次から次へと面白いアイディアを出されています。

僕自身も「西野さん、こうした方がいいっすよ!」というように、よくアドバイスをいただきます。

面白いアイディアが、けんすうさんの口から本当に次から次へと、ポンポンポンポン出てきます。

ですが、彼のSNSの使い方とか、彼が運営している『アル』のオンラインサロンなどを見ていると、めちゃくちゃ古典的なこともバンバンやっている。

その上で、何回かに1回ぐらい「なにそれ!?」というようなカードを切ってくる。

けんすうさんが運営している『アル』のオンラインサロンのリンクを貼っておくので、興味がある方は一度覗いてみてください。

僕も入らせていただいていますが、本当に面白いし、背筋が伸びるので、オススメです。

今日のまとめとしては、
アイデアは『似合う』『似合わない』は、すげー大事。
そのためには、「定石を甘く見ない方がいい」と思いますよ。
そういうお話でございました。

というわけで、
定石を甘く見るな
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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