見出し画像

キンコン西野が、劇団ひとりから貰ったアドバイス

このnoteは2020年1月28日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:愛甲祐也 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
キンコン西野が劇団ひとりからもらったアドバイス
というテーマでお話したいと思います。

キミに背負えるか?

最近、僕が何をしているかと申しますと、メディア等への露出は相方の梶原くんに任せて、基本はずっとアトリエか会議室にこもってるんですね。

引きこもって何をしているかというと、ずっと映画『えんとつ町のプペル』の制作です。

今日の話は、このラジオを聴いてくださっているあなたの今の生活にどれぐらい転用できるか分かりませんが、

きっとこの先、今回の僕と同じような場面に出くわすことがあると思うので頭の片隅にでも置いておいていただけるとうれしいです。

冒頭申し上げましたが、いま、今年の年末公開に向けて映画『えんとつ町のプペル』を作ってるんですね。

映画『えんとつ町のプペル』は、絵本『えんとつ町のプペル』がついに映画化みたいな手つきになっているんですが、厳密にいうとちょっと違っていて。

絵本よりも先に映画の脚本は出来上がってたんですね。

その脚本を書き上げたのは、2011年の年末か、2012年の頭頃だったと思います。

そこからまず脚本をブラッシュアップするべく、サンリオピューロランドさんにご協力いただいて舞台『えんとつ町のプペル』をサンリオピューロランドさんでやったんですよ。

そこでお客さんのリアクションを見ながら、脚本を手直ししていたんですね。

お客さんここでよろこんでくれるんだ、とか、ここはダレるから脚本を詰めよう、とか、そういうことをずっとやっていた。

その後、誰も知らない映画を作ってもきっと誰も見に来てくれないなぁと思ったので、映画の全体のストーリーの3割ぐらいだけを抜き取って絵本にしたんです。

イヤな言い方をすると、映画のチラシ的に絵本『えんとつ町のプペル』を作ったんですね。

チラシっていう言い方をしていますが、もちろん命は削りましたよ。

絵本『えんとつ町のプペル』を作るのに4年くらいかかったので。

本気でやった。

けど、その目的は、映画館に足を運んでもらうためのものを作るっていうことでした。

なので、絵本『えんとつ町のプペル』では、まだ全体のストーリーを描いてないんですね。

もっと言うと、絵本『えんとつ町のプペル』では、主人公がまだ出てきていないんですよ。

今回、ネルケプランニングさんが舞台『えんとつ町のプペル ザ・ステージ』を作ってくださって、僕は舞台脚本として携わらせていただいたんですが、

今回の舞台を見に来てくださった方は「『えんとつ町のプペル』ってこんな話だったのか」っていう感想を持たれたと思います。

今回の舞台では映画の6割ぐらいを描いたので、舞台場でようやく主人公も出てきました。

主人公は、えんとつ掃除屋の少年のお父さんですね。

それが舞台版でようやく出てきました。

当然、これは映画の主人公でもあります。

そんな前振りがあって、いよいよ物語の全貌が明らかになる。映画『えんとつ町のプペル』へ。

という流れなわけですけど、僕は映画製作のどのポジションについているかというと、製作総指揮という立場なんですね。

その名の通り、制作のすべてを指揮する人です。

おそらく世の中の製作総指揮の中にはアイコンとしての製作総指揮もいらっしゃると思うんですけど、それも僕は結構大事な役目だと思っていて。お客さんが集まるんだったらその人を立てた方がいいし。

今回の映画『えんとつ町のプペル』に関しては、僕は原作脚本に加えて主題歌も担当しております。

つまるところ、根幹となる部分の答えを僕が持っているので、結局、フルコミットになるんですね。

作家さんには書けないんですよ。この本って。僕が答えを持っているから。

なので、アニメーション監督、音楽監督、美術監督と、各部署に監督さんがいらっしゃるんですが、その方々に「ここはこうしてください」っていう指示を出すのが僕のお仕事ですね。

あと、宣伝広告も僕がやらせてもらっています。

『えんとつ町のプペル』のカバー曲企画とか。

こうやったほうがバズるよみたいな事で宣伝広告なんかもやらせてもらっている。本当に製作総指揮ですね。

こうなってくると、もう労働時間がバカみたいに長いのでおそらく制作総指揮の時給で言うと200円くらいだと思います。

もう完全に労働基準法に引っかかっている。ちなみに今日も徹夜です。

で、ここからが今日の本題なんですが、今僕がどうしてこの状況にあるのかというとですね。劇団ひとりさんの一言が始まりだったんです。

映画化が間もなく決まるって言う時に『ゴッドタン』という番組に出させていただいて、セットチェンジの合間にひとりさんと映画の話になったんです。

ひとりさんも『晴天の霹靂』でメガホンを取られているからね。

それで、ひとりさんから「映画はどの形でタッチするの」って聞かれて、その時の僕はアニメーションに関しては素人なのでそこをプロに任せて僕は脚本を書く事に専念しようと思いますって言ったんですね。

「餅は餅屋」っていう考えです。
そんなに間違った判断じゃないじゃないですか。

でも、ひとりさんはその時「お前絶対後悔するぞ」って言ったんですね。
ちゃんと目の前のボールを蹴れよって。

さっきまで僕の肛門に指突っ込んでた人が、突然そのトーンになるもんだからやけに刺さってですね。

その収録の帰り道、肛門疼きながら、その言葉がずっとぐるぐる回ってたんですね。

これまで素人がでしゃばって事故っている現場っていうのをたくさん見てきたんですが、でもね、よくよく考えてみればお笑い始めた時も僕素人だったし、本を始めた時も素人だった。

その中でもがいて勉強して、毎晩眠い目をこすって、「そんなやり方はダメだ」とそれなりに同業者から叩かれて。

それでも、僕は結果だしてきたよなと思ったんですね。

いつも始まりは素人だったんです。

そこから力技で何とかするというやり方でこれまで来たのに、なんで映画になった時だけ「僕は素人なのでここはプロに任せます」とか言ってるの?とか思ってきて。

そもそも『えんとつ町のプペル』を僕以外に誰が書けるんだよっていうのも思いました。お前の物語じゃないかと。

夢を語って日本中から迫害されたお前の物語だろ。それをお前が語らなくてどうするんだよって思ったんですね。

ごめん。ちょっと朝から熱くなってるね。
徹夜で深夜テンションだから見逃してください。

で、そう思ってからすぐに吉本興業と今回のアニメーションを制作してくださっているスタジオ4℃さんに連絡して、僕に全部やらせてくださいという話をしたんですね。

もちろんキャラクターの動かし方、アニメーションと呼ばれる部分のテクニカルなところは各監督にお任せしますが、指示の部分は全部僕がやりますというお話をさせていただいたんです。

まずやらなくちゃいけないのは、各セクションのトップクリエイターさんから信頼されること。

誰よりも映画『えんとつ町のプペル』と向き合って、徹底的に予習をして、どんな意地悪な質問がきても返せる体を作り込んで、あとは何度も飲みにいって思いを語ってたくさん頭を下げて、今に至ります。

さっきも言ったけど、今日も徹夜なんですね。

寝れない日がずっと続いているんですが、でも、あそこで僕がやりますって手あげてよかったなと思っています。

あそこで手あげなかったらひとりさんのいう通り僕は絶対に後悔してた。

そこはそうじゃねーんだよっていうものが世に出回って、それが残り続けるって考えたらもう死にたくなるなぁと思って。

今日の結論としては、自分が現時点で能力的に劣っていることを認めて、その上でチーム全員の人生を巻き込んで結果を出せるって言うのであれば、その時は絶対に手あげた方がいいと思います。

手持ちの技術がなくても手あげたほうがいい。

このラジオ聴いているあなたの少し先の未来できっとこんな場面がやってくると思います。

その時、どうか今日の話を思い出してください。

というわけで
キンコン西野が劇団ひとりからもらったアドバイス
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?