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良いプロデューサーの条件【キンコン西野】

このnoteは2023年11月24日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

手札が無いと「頼みやすい人に頼んじゃう」

 
これ、最近、ウチの若手スタッフに話した話なので、今日の放送がウチの若手に聴かれると「いや、使いまわしてんじゃん」と思われそうで嫌なのですが、ただ具体例を出せるし、何より今日の放送をお聴きのサービス提供者さん全員に関係のある大切な話なので、モジモジと喋らせていただきます。
 
皆さん御存知のとおり、僕が働いているCHIMNEY TOWNという会社は、映画からミュージカルから巨大イベントから絵本からWebサービスからコーヒー屋さん、果てはホテルやゴルフ場のラウンジや、コマ撮りアニメーションや恐竜まで…とにかくもう業界の垣根を越えて、色んな事業に手を出しています。
  
僕が製作総指揮として入っているプロジェクトもいくつかあるのですが、中には、ウチの若手が「プロデューサー」的なポジションで入っているプロジェクトもあったりなんかします。
  
プロデューサーとして入った若手は、当然、予算管理や、あとはスタッフの座組み(誰に仕事をお願いするか?)を担当するわけですが、今日はこの「スタッフの座組み」についての話です。
  
彼らが仕事のオファーを出す時、多くの場合、「西野と仕事を一緒にしているクリエイター」なんです。
  
もちろん、西野と仕事を一緒にしているクリエイターに投げれば、色々と話は早いし、大前提として、たくさんいるクリエイターの中からメチャクチャ優秀な人が西野と仕事をしているわけですから、「西野と仕事を一緒にしているクリエイターに仕事を依頼する」というのは大体正解なんです。
 
ただ、ミュージシャンにしても、デザイナーにしても、建築士にしても、エンジニアにしても、得意不得意は確実にあるんですね。
 
ロックが得意なミュージシャンもいるし、
フォークが得意なミュージシャンもいるし、
パンクが得意なミュージシャンもいるし、
ヒップホップが得意なミュージシャンもいるし、
アイリッシュが得意なミュージシャンもいる。
 
その時、「西野が仕事で御一緒したのは『アイリッシュが得意なミュージシャン』だけれど、今回の仕事では『ヒップホップが得意なミュージシャン』が求められている」という場面って結構あるんです。
 
その時は、『ヒップホップが得意なミュージシャン』に仕事を依頼しなきゃいけないのですが、プロデューサーにその手札が無かったら、「西野と一緒に仕事をしている『アイリッシュが得意なミュージシャン』にヒップホップを作らせる」みたいな“誤ったプロデュース”をしてしまう。
 
これはプロデューサーに限った話じゃなくて、経営者でも同じこと。
 
手札が無いと「頼みやすい人に頼んじゃう」という選択をしてしまうのですが、それって、『結果ファースト』じゃないですよね?
 
とりあえず、その場をしのいでいるだけに過ぎない。
 
当然、『アイリッシュが得意なミュージシャン』にヒップホップを作らせているもんだから、思うようなものが上がってこなくて、4回も5回も6回も7回もやり直しすることになり、結果、メチャクチャ高くつく。
 
当然、これは『アイリッシュが得意なミュージシャン』にヒップホップを依頼したプロデューサー(および経営者)の責任です。  
 
 

良いプロデューサーとは「お願いできる人が多い人」

 
だけど、そもそも、その人に頼らざるをえなかったから、その人に頼ったわけで…その「そもそも」を潰さない限り、同じことの繰り返しです。
 
つまるところ、プロデューサーや経営者の仕事というのは、「知り会うこと」なんです。
 
僕は一昨日までニューヨークにいましたが、滞在中、毎晩誰かに会っていました。
 
マーベルの衣装デザイナーさんや、ブロードウェイのプロデューサーさんや、美術デザイナーさんらと。
 
ちょっとでも「面白い人がいる」と聞いたら、今でもすぐに会いに行っています。
 
そうやって、選択肢・手札を増やして、結果ファーストの為の配役(適材適所)の精度を上げて、予算を安く押さえるんです。
 
「なんで高くつくか?」というと、『安物買いの銭失い』というのもありますが、「そもそも、今回の仕事に合っていないクリエイターにオファーを出してしまっているから」であって、なんで「今回の仕事に合っていないクリエイターにオファーを出してしまうか?」というと、「選択肢が少ないから」であって、なんで「選択肢が少ないか?」というと、「知り合うことにコストをかけていないから」です。
 
「優秀なプロデューサーって、どんな人?」という問題に対して、一言で答えるなら、これは前も言いましたが「なんとかする人」です。
 
そして、以前、川原卓巳さんが、この「なんとかする人」をもっと少し分かりやすく言っておられて、それを聞いて僕は大きく膝を打ったのですが、曰く、「お願いできる人が多い人(手札が多い人)」です。
 
これが「良いプロデューサーとは?」の結論だと思います。
 
 

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