「場」を作ろうとする人間が、「場」を作れない致命的な原因byキンコン西野
このnoteは2019年12月15日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:川口 智廣 さん
おはようございます。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
さて今日はですね
「場」を作ろうとする人間が、「場」を作れない致命的な原因
というテーマでお話ししたいと思います
「セガサターン」は何故負けたのか?
本当によく言われるんですけど、
「クリエイターが集まる場所を作りたいんですよ」とか、
「無名のアーティストを支援する場所を作りたい」とか。
とかく、場所を作りたいっていう人が本当に多いんですね。
つまりところ、プラットフォームを作りたいっていうことですよね。
この人たちの下心を翻訳すると「自分は何の作品を作らないけど、クリエイターのたまり場を作ってクリエイターから手数料、もしくは影響力を徴収するビジネスをしたい」ということだと思います。
結論、これは無理ですね。絶対に。
よくよく考えていただけると分かると思うんですけど、あまたあるクリエイター支援プラットフォームの中から、あなたのプラットフォームを選ぶメリットはなんなの?っていう話になってくるので。
あなたのプラットフォームがすでに100万人のファンを抱えているわけじゃないですよね。集客はクリエイター頼みですよね。
あなたのプラットフォームを選べば、月10万円ぐらいの活動援助金がもらえるわけじゃないですよね。クリエイターが集客をした上に、クリエイターが手数料を払わなくちゃいけないと。
「場を作りたい」と叫んでる人の場を選ぶ理由がクリエイターには1個もないんですよね。ほんとに1個もない。
こういうことをいうと「クリエイターが集まれば、そこでマッチングできるじゃないか」っていうことを言い返してくるんですよ。
クリエイターが集まればね。
そこにクリエイターが100万人集まれば、たとえば、そこに集まってきたライターさんと、照明さんと、カメラさんで雑誌作ったりとか、仲間を集めることはできるんですけど。
それはクリエイターが集まってるっていう前提ですよね。
100万人とかクリエイターが集まっていれば、そこでマッチングはできるんだけど、100万人に行くまでの過程、どうやってそこまで行くの?って話で。
もっと言うと、そのプラットホームを使いたいひとり目のモチベーションってどこなの?っていう。ないよね。そこのプラットフォームに、クリエイターが1人しかいないと。
そこに1人目になる人のメリットは1個もない。2人目になる人のメリットも、3人目になる人のメリットも。10人目になるとのメリットもない。つまるところ、「報酬設計がまるでできていない」ということですね。
ここで僕たちは整理しなきゃいけない。
たとえばね、昔、任天堂が出したファミリーコンピューターでありましたよね。ファミコンですね。
なぜ人々が、ファミコンというハード機を買ったか?
理由はひとつで、当時、アーケードゲームとして人気だった『ドンキーコング』を家でプレイしたかったらです。
そのあと『スーパーマリオ』っていうソフトがでて、さらにファミコン人気に火がつくわけですけれども。
そこでパッと火がついて、ファミコンというハード機にお客がついて、各ゲーム会社がそのハード機に差し込むカセット作りを始めた。で、ファミコンがプラットフォームとして機能したわけですね。
任天堂がですね、ファミリーコンピューターという場だけを作って『ドンキーコング』も『スーパーマリオ』も作ってなかったら誰もファミコンなんて買わない。
だって、ハードしかなくて「みなさんカセット作って下さい!」って言ったところで、そのハード機にはお客なんか一人もいないから、ほかのゲーム会社もファミコンをプラットフォームとしては選ばないですよね。
こういうことって結構あって、ファミコンの登場から数年後、プレステと時世代ハード競争していた『セガサターン』っていうハード機があったんですね。
『セガサターン』。CMとかではけっこう話題になったんですけど。
プレステとセガサターン、どっちが覇権を握るんだ?っていう競争があったんですね。
ここで市場獲得を急いだセガがですね、セガサターンの発売を急遽前倒ししたですよ。
そのおかげでですね、当時のセガのマスコットであるソニックってのがいたんですよ。人気キャラだったんですけど。そのソニックのシリーズ、新作がですね、ハード機の発売に間に合わなかったんですよ。
というわけで、セガサターンというハード機はですね、ヒットソフトのないハード機として世に出て、結局、プレステに負けた。
セガサターンの大きな大きな敗因のひとつに、ハードしかなかったっていう問題があった。
結論ですね、やっぱり圧倒的なソフトがないと、ハードは機能しないっていうことですね。本当の意味で「場」を作ってるのは作品なんです。
ホリエさんとかさ、幻冬舎の箕輪さんとか、落合陽一さんとか、僕のまわりって、なんとなく人が集まっていて、それぞれのオンラインサロンが「場」として選ばれていると思うんですけどね。
ホリエさんはロケットを飛ばしているし、
箕輪さんはヒット作を飛ばし続けているし、
落合陽一さんも作品を作り続けている。
西野も作品を作り続けていると。
それらが基本的にヒットしている。
彼らは徹底的に作品を作ってるっていうことですね。
オンラインサロン運営と同時進行で、有無を言わせない作品を作り続けてる。だから「場」になってるんですね。
べつに、ホリエさんが何もしなくて、ぐうたらぐうたらしてたら、誰も集まってこないじゃないですか。
ホリエさんのロケット作り、ちょっと裏側見てみたいなとか、
あの作品の制作はどうやって進んだのか?とか、
つぎどういう作品を作るんだ?って。
その裏側をのぞいてみたくて、そこに人が集まる。その人たちが、カメラマンさんであったり、ライターさんであったり、照明さんだったり、音響さんだったり、編集マンだったりとか。
そこでマッチングがうまくまわっている。
基本的に真ん中にあるのは、ホリエさんの場合だったらロケットだったり、和牛だったりですね。そういったものを提供し続けている、と。
結論、「場」をつくりたければ圧倒的な作品をつくれですね。
「場」をつくりたい人が、掲げているクリエイターさんを応援したいっていう気持ちがあるのであれば、応援したいクリエイターさんが手も足も出ないほどの圧倒的な作品をつくれ。
そのときはじめて「場」がうまれる。
「場」をつくりたいのなら、この勝負から逃げちゃダメだっていうことですね。
ここがほとんどの「場をつくりたい!」って人が逃げてしまうところ。
お前は一生「場」にはなれないってことですね。
そんなことしているうちは。
ちょっと厳しい指摘になりますが、ほんとうに「場」をつくりたいのであれば、作品をつくってくださいっていうのが僕からのお返事です。
というわけで、今日はですね
「場」を作ろうとする人間が、「場」を作れない致命的な原因
というお話でした。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?