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さすがに政府の対応が間に合わなくなってきた by キンコン西野

このnoteは2020年7月31日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:兵庫県加古川市 はせがわみあな さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「さすがに政府の対応が間に合わなくなってきた」
というテーマでお話したいと思います。

ちょっとヤバイよね...

別に怖い話をするわけではなく、最近ぼんやりと思っていることをつらつらと喋ってみたいと思います。
政府の対応というか、行政というシステムについてです。

熊本や、九州全域で大きな水害がありましたが、水害というものは、本当に厄介で、壁や床を剥がして、泥をかき出さなければならないんですね。

急がないと、どんどんカビが発生してくるのですが、
当然それは、おじいちゃんやおばあちゃん、1人や2人で出来る作業なんかではありません。

とにもかくにも、人手が必要なのですが、
熊本の災害においては、行政は、熊本県外からのボランティアを禁止してしまいました。

「ボランティアは熊本県内の人に限ります」みたいな。
助けて欲しくても助けてもらえないし、助けに行きたくても助けにいけないという状況になっています。禁止した理由は、ご存知、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためですね。

これ、禁止する気持ちはすごく分かるんですよ。医療がパンクしたらどうするんだという。水害が大変な時に、新型コロナウイルスがそこで蔓延してしまったら、もう泣きっ面に蜂で、どうするんだみたいなことを考えてしまうという、気持ちは分かるんですね。

ただこれ、やっていることは、目の前で火事が起きて建物の中に子供が取り残されているのに、「最近はインフルエンザが流行っているのできちんと病院で検査した人以外は助けに行かないで下さい」のような、そういうアナウンスをしている感じですね。

この時、「それどころじゃねーだろう」という声もあるでしょうし、一方で、それどころじゃねーだろうと思えないぐらい、新型コロナウイルスに怯えている人もたくさんいる。

連日これだけメディアで報道されると、とにかくもうコロナが怖くて怖くて仕方がないという人もたくさんいると思います。
一見、どちらを選んでも被害者が発生するトロッコ問題のようですが(「トロッコ問題」:線路が2つに分かれており、右に行けば人を5人轢いてしまう、左に行けば人を1人轢いてしまう、さぁどちらに行きますかという、どちらを選んでも被害者が発生する問題) 、「県外ボランティアは来ないでください」という判断は、100%、間違っていると思います。

コロナの感染拡大の確率を下げることが目的なのであれば、熊本県内に助けを呼びかけるよりも、熊本県よりも感染者数の比率が低い近隣の県、大分、長崎、佐賀、宮崎など、熊本よりも感染者数の少ない県を含めて呼びかけた方が、感染する確立がグッと下がるので、これは、どちらを取るか難しい問題なんかではなく、感染者が少ない都道府県に助けを求めるという、一択問題だと思うんですね。

有事の際は、このような行政の判断ミスって、ポコポコ出てくるじゃないですか。
これだけではなくて、今回の新型コロナウイルスの対応でも、あれ、これおかしいという対応がポコポコ出てきましたよね。

「何その対応」というのもありますし、それより何より、「動きが遅すぎる」という問題がありますよね。

熊本の水害に関しては、それこそオンラインサロンでは、警報が発令された直後に、復興支援を募るクラファンが立ち上がって、ものの数時間で数百万円が集まり、その支援金を順次、被災したサロンメンバーさんを中心に使っていたんですね。

それでは、サロン運営者が優秀で、行政の人間が無能かというと、僕はそうは全然思っていません。行政の人は行政の人で本当に頑張っているし、むちゃくちゃ賢いと思うのですが、辛いことは、行政には、一存で決められないというシステム上の問題があるということです。

行政の人間として動く以上、都度都度、上に話を通してハンコを押してもらわなくてならないんですね。

それで、整理すると、まずはリーダーの多くが高齢者という問題がありますよね。それはそうですよね。高齢者の国で選挙をしたら、高齢者が選ばれるという、これは仕方がない問題ですね。

次に、ハンコを押してもらわないと動けないという問題があります。この2つの問題が有事の際にすごく悪い形で表に出てくるわけですが、これは何もヒューマンエラーではなく、システムエラーであるということを、僕たちは理解しなければなりません。

おじいちゃんが選ばれるシステムだし、許可をもらうまで動いちゃ駄目だというシステムであるという。ここで、「あいつはバカだ」とか「何やってんだ」とかその人に責任を求めすぎるのは、おじいちゃんを試合に出させてもっと走れよと言っているようなもので、少し酷だと思うんですね。

体力無いしすぐに疲れるしネットのことはよく分からないというのが、おじいちゃんなので、それはくれぐれも人として劣っているわけではなく、おじいちゃんってそういう人たちなんです。

システムが有事に対応できていないというだけだと思っています。
そして話はここからなのですが、有事の際の、この「有事」を、僕たちはなんとなく、地震とか、台風とか疫病とかそういった日常を一変させる出来事を指す言葉として使っていますが、もっともっと僕らの生活に目を向けてみると、

例えば、芸能に絞って見てみると、クラウドファンディングを否定していたタレントさんが数年後にクラウドファンディングをしていたり、オンラインサロンのような有料のクローズドのコミュニティを否定していたタレントさんが数年後にオンラインさを始めていたり、「芸人やったらひな壇出ろよ」と合唱していた芸人さんたちが今軒並みひな壇以外の活動に精を出していたり、 Youtube を否定していた芸人さん達がこぞって Youtuber になっていると。

何が言いたいかというと、変わらないと信じていた常識が、テクノロジーによって変えられてしまい、さらに、新しいテクノロジーはどんどんどんどん出てくるので、日常を一変させるまでのスパンが年々短くなってきているということですね。

要するに、「有事の際」だらけなんですよ。最近。
話を分かりやすくするために芸能に絞って話してみましたが、これは芸能に限った話ではないですよね。

テクノロジーによって支えられているシェアリングエコノミーの流れは、商売のあり方やその勢力図を大きく変えたし、それこそ Zoomなんか、オフィスの存在価値を揺らがせているじゃないですか。

どうやら「Zoom 飲み会」は定着しなさそうですが、コロナがあろうがなかろうが、「Zoom 会議」は選択肢の一つとして定着しそうですね。

「Zoom 会議」が定着すると当然どうなるかといえば、移動が減りますね。
会議に行くためにタクシーや電車を使わなくて良いので、つまり、Zoom は交通の競合であるということですね。

スマホが世に現れてからというもの、毎日のようにゲームチェンジが起きており、行政という人を助けるシステムが、このスピードに追いつけていないというのが、現状ですね。

先日、尾原さんのオンラインサロンでも語られていましたが、災害時に必要な4つの役割
というものがあります。
それは、自助・互助・共助・公助ですね。

自助とは、自分の命を自分で守ること。
互助とは、互いに助け合うということ。
共助とは、コミュニティで助け合うということ。
公助とは、行政に助けてもらうということです。

それで、テクノロジーでどんどんどんどんゲームチェンジが起こっている今は、常に災害時だと考えた方が良いです。その時、公助は全く機能していません。

今はまだ、みんな、対応が遅れている行政に苛立っていますが、さすがにこれが続くと
見切りをつけ始めると思うんですね。要するに、もう自分たちでやろうという判断をし始めるようになります。

オンラインサロンは完全に共助のシステムで、今回の災害然り、コミュニティで助け合いましょうとなっています。

そのスピード感と具体性を間近で見ているからこそ、世の中が共助に目を付けるのは時間の問題だと思っています。

逆に、5年後も公助に期待し続けている人は、かなり厳しい暮らしになってくると思います。

くれぐれも、僕を否定しないでと言っているわけではなく、オンラインサロンを否定することは、ご自身のために本当にやめた方がいいと思います。
悪いこと言わないので、いまこの瞬間にやめたほうがいいです。

共助を放棄するのは、今の時代どう考えたって自殺行為なので、その辺ちょっと考えてみてください。

というわけで今日は、
「さすがに政府の対応が間に合わなくなってきた」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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