【キンコン西野】「海外に売ること」をやめちゃった?

このnoteは2021年2月21日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:西野さんプペルありがとう 愛知県のかとなかさり さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

本題に入る前にお知らせをさせてください。

僕は自分のオンラインサロン以外に、毎月、国内外の子供達にメンバー分の絵本を贈る「えんとつ町のプペル『こどもギフト』」という活動をさせてもらっています。

当然、絵本のプレゼントが押し付けになってはいけないので、受け取り先をキチンと確保するのが前提 になるので、受け取り先の子供達の人数によって、「余った分は来月に持ち越し」ということもあったりしますが、そんなことも踏まえて、活動報告させていただいております。

で、メンバーの皆さんと話し合って、今月は「絵本」ではなくて、とある南の島の子供達に「映画」をプレゼントしようという話になりまして、地元の方と連携をとって、受け取る手配もしていただいて、「映画」を贈らせていただくことになりました。

ちょっとイレギュラー回です。

こういった活動を毎月ヒソヒソとやっておりますので、興味がある方は、「えんとつ町のプペル『こどもギフト』」で検索してみてください。

(※こちら↓)


そんなこんなで本題です。


エンタメ畑の人間なので、エンタメを軸に話しますが、たぶん、エンタメだけの話じゃないと思うので、置き換えて聞いていただけると嬉しいです。

いろんなところで、よく言われている話です。

韓国って1997年に経済がドッチラケになっちゃって、それをキッカケに国策として「海外に売って行こう」というノリになったとか何とか言われてたりしています。

実際にその国策がどこまで効いたかは分かりません。

だって、一時期、韓国ドラマをよく見かけましたが、「おお、韓国のエンタメが世界に出ていっている」というニュースを耳にするようになったのって、最近っちゃあ最近じゃないですか。

たぶん、試行錯誤の時間帯がかなりあったと思うのですが……ただ、明らかに「海外に売り込んでいくぞ」という雰囲気はあったと思うんです。

僕は絵本を描いているのですが、一応、日本以外の国でも何カ国か出版させてもらっているんですね。
出版のお話をいただくこともあれば、売り込みにいくこともあります。

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たとえばイタリアのボローニャという町では、毎年、世界中の絵本が集まるブックフェアが開催されていて、そこには世界中の出版社さんが買い付けに来られるんです。

変な話ですが、『えんとつ町のプペル』のコロンビア版の出版というのは、そのイタリアで決まったんです。

まぁ、そういう世界絵本市場みたいな場所があるんですが、そこは、自分達でお金を払ってブースを出すんです。

もちろん、ブースを出したからといって必ず売れるわけではなく、出版が1社も決まらず渡航費とブース代が丸々パァになることも。。

なので、「ブックフェアにブースを出す」というのは、そこそこリスクを伴います。


僕らは、まぁ、「勉強代」と思って、そういうところに実費で顔を出して、たまたまありがたいことにお声がけいただいたりしていますが、驚くべきは「韓国」です。

僕が見た年は、いろんな国の出版社がブースを出す中、韓国は「韓国ブース」があって、ブースの造形に明らかにお金がかかっているんです。

ブックフェアのブースって、何もしなければ、ただパーテーションでスペースが区切られているだけなのですが、韓国ブースは、ちょっとした「キッズパーク」みたいになってるんです。

やっぱり、選ぶのはロボットじゃなくて人間ですから、そんなブースがあると目がいくし、ちょっと立ち寄ってみたくなるじゃないですか? 
僕は、なりましたよ。

で、「へ〜、こんな絵本があるんだ〜」と手にとった。

作品の良し悪しは好みの問題なので、人それぞれあるとは思いますが、ブックフェアにおいて、この「手にとってもらう」ということって、本当に大きな大きな一歩なんです。

世界中から絵本が集まってくるから、とても全部、見きれないんですよ。
なので「手にとってもらう」ってすごいことなんです。


で、これをさせたのは何かというと「ブースにかけられた予算」なんです。

 

韓国って、音楽やドラマは耳にしますが、絵本のイメージってあんまりなくないですか?

でも、その時、「ああ、韓国は、絵本でも、ここまで海外に売り込むことを意識して、丁寧に力を入れてるんだなぁ」と思ったんです。

それが世界的なヒットに繋がっているかどうかはまだ分からないですが、ポイントは「世界に売り込むことを意識している」というところです。

ここからがグイッと踏み込んだ話をさせていただこうと思うのですが、、

意識しないと始まらないんです。

海外で売ることを意識して活動していかないと海外での売り方は分からないし、結論、売りにいかないと売れないです。

ピコ太郎のケースは基本的には無くて、蜘蛛の糸が垂れてくることなんてないんです。


今、僕のサロンでは、まもなく始まる『映画 えんとつ町のプペル』の世界戦に向けて、アレやコレやと思考錯誤しているのですが、当然、まだ「勝ちパターン」みたいなものは見えていません。

世界戦の初戦は「台湾」なんですけども、まるで勝手が分からない。

台湾にもサロンメンバーさんがいるので、時にはDMで連絡を取り合いながら、「どうすりゃいいんだろうなぁ」と頭を抱えて、ただいま、煙の中を半歩ずつ進んでいる感じです。

その先には韓国での上映が控えていて、その先にはヨーロッパでの上映の話もポツポツと進んでいます。

もちろんコロナの状況と相談しながらやっていく感じですが、「上映が決まった。やった〜!」ではなくて、この無名作品をどう届けるんだ?と連日思考錯誤しております。

ただ一つ確かなことは、

「日本は人口が縮小していっているから、海外でも売れるものを持っておかないと、どれだけ頑張っても活動が縮小してしまう」

というところです。

「買う人が減る」ということは、「制作費が減る」ということで、一般的には、先品・商品のクオリティーが落ちちゃう。

そんな中、世界をマーケットにした海外の作品・商品は、潤沢な制作費でもって作られていて、それらが「制作費を削られた日本の商品」と同じ棚に並ぶわけじゃないですか?

普通に行くと勝ち目がない。

で、最近思うのは「あれ? なんか、逃げ切ろうとしてない?」というところです。

これ、逃げきれないですよね。

そして、そういうことを言うと、「そんなこと言うなよ。皆が皆、海外に売れるものを持ってるわけじゃねーんだよ」と言われる雰囲気が漂っている。

ここで冒頭の韓国の話なんですけども、韓国も、元々は海外に売れるものを持っていたわけじゃなかった。


ただ、「いやいや、海外に売れるものを作らないとマズイよね」ということで話がまとまって、随分と長い間、試行錯誤して、今の韓国がある。

いろんな人と話させてもらうのですが、「海外に何を、どう売って行くの?」という話になる人は、その中のごく一部で、なんとなく全員で目を背ける方向で進んでいるような気がして、「お〜い」というのが今日のメッセージです。

ただ、そんなことを言っていたって仕方がないので、「やり方が分からない」とか、「海外にモノを売る」ということに対して「現実味がない」という人に対して、「こうやったら、できたよ」というところを、まずは、やって見せようと思います。

そのあたりを見届けていただけると嬉しいです。


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