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紙で残したくなるもの(印刷したくなるもの)は強い【キンコン西野】

このnoteは2024年8月7日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

身の回りにある印刷物をあまり差し替えない理由

 
たとえば、自分の身の回りを見渡してみても、デジタルちっくなデザインが長生きしていることってあまりなくて、スマホの壁紙にしても、PCの壁紙にしても、あるいは、SNSのプロフィール画像にしても、差し替えることが時々あるのですが、部屋の壁にかけた写真や、壁紙、その他、紙や布に印刷されたモノが差し替えることはあまりありません。
 
身の回りにある印刷物をあまり差し替えない理由は「差し替えるのがイチイチ面倒くせえ」というのともう一つ、「競合をあまり知らねえ」というのがあると思っています。
 
頻繁に東急ハンズとかロフトに通っていない人でない限り、「わぁ、可愛い!」という印刷物って、生活のタイムラインに流れてこないんです。
 
僕らの生活のタイムラインに流れてくるのは、TikTokやYouTubeの動画、NFTがバキバキに流行っていた時であれば、NETの画像だったり…言ってしまったら「スマホのタイムラインに流れてくるデザイン」が、そのまま、僕らの生活のタイムラインに流れてくるデザインとなってしまっている。
 
スマホには毎日大量のデザインが流れてくるので、その分、誘惑も多く、かつ、乗り換えコストも高くないので、僕らはデジタル上のデザインに関してはヒョイヒョイと浮気をしてしまいます。
 
デザイナーからすると、「見つけて貰いやすい世界」であると同時に「とってかわられやすい世界」でもあって、言ってしまえば、スマホやPCの一等地を獲るというのは、堀や城壁の無い城を落とすようなもので、落としたところで「守備コスト」がかかりすぎてしまう。
 
 

カレンダー業界では、明らかに僕らの知らない世界戦が繰り広げられている 

 
最近、僕はCHIMNEY TOWNの2025年のカレンダーの制作にあたっています。
 
#全ページ西野の描きおろし
 
こちらは、印刷されるデザインの世界です。
 
僕はクリエイティブに関して育児放棄をしたくないので、当然のように「作ったものを、どう届けるか?」というマーケティングの方にも顔を出すわけですが、そこで目の当たりにするのは、まるで知らなかったロングセラー印刷物の数々です。
 
たとえば、HMVさんの直近24時間の「カレンダー売上ランキング」を見てみると、1位は『名探偵コナン』で、これは分かる。
 
で、2位や3位あたりには「猫ちゃん」や「ワンちゃん」のカレンダーが来ていて、5位に「航空自衛隊 航空機カレンダー」、6位に「航空自衛隊ブルーインパルスカレンダー」、7位に「航空ファン ブルーインパルス卓上カレンダー」…航空自衛隊大人気じゃん!!
 
おそらく、「航空自衛隊がカレンダーの予約をスタートさせたタイミングがこの直近24時間ランキングと重なった」というのもあると思うのですが、それにしても!
 
ちなみに、「ハローキティーの壁掛けカレンダー」が18位で、「ドラえもん2025カレンダー」が23位で、26位〜28位は海上自衛隊のポスターが名を連ねています。
 
カレンダー業界では、明らかに僕らの知らない世界戦が繰り広げられています。
 
 

ムーミン先輩って今メッチャ売れてるんです

 
「紙で残したくなるモノ」の話で言うと、外せないのが『ムーミン』なんですが、どうですか?
皆さんのまわりで『ムーミン』って今、流行ってます?
 
「昔、テレビ放送してた」ぐらいの認識でいる人がほとんどだと思いますが、色々調べてみると驚きの結果が出ていて、『ムーミン』にとって日本は本当に大きな市場で、今、世界の『ムーミン』の売上の50%は日本なんです。
 
「ええ?日本で、そんなに人気なの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
 
実はテレビ放送をしていた1990年代もそれぐらいだったそうなのですが、2000年代に入って一度落ち込み、なんと、その後また復活したんですって!
 
これが面白くて、『ムーミン』を取り扱っている会社は、90年代から約20年間はテレビアニメの著作権に頼りきっていたのですが、2008年にそのビジネスモデルを一切やめたんです。
 
それが「ムーミンって昔、テレビ放送してたヤツだよね。最近、あんまり聞かないけど、どうなってんの?」というイメージに繋がっていると思うのですが、ムーミンは2008年にテレビからグッズ・アートの方におもくそシフトチェンジして、そこで再ブレイクを果たしているんですね。
 
試しに「ムーミン グッズ」で画像検索してみてください。
 
毎年、大量の新商品が出ていて…つまり、毎年、大量の新商品が売れているんですね。
 
ムーミンファンからすると「何を今さら?」かもしれませんが、ムーミン先輩って今メッチャ売れてるんです。
 
知ってました?
 
ムーミンよりもコムドットの方が売れてると思ってませんでした?
 
全然違う世界線が繰り広げられているんです。
 
で、話を『紙で残したくなるもの(印刷したくなるもの)は強い』に戻すと、結局、ムーミンのグッズって、デジタル上じゃなくて、フィジカルなもの(質量のあるもの)にプリントして、手元に置いておきたいんです。
 
「紙映え」「布映え」するんです、あのタッチが!
 
一方で、こんなことを言うと怒られちゃいますが、最新の、3Dアニメムーミンがプリントされたグッズは、同じムーミングッズでも1ミリも欲しいとは思わない。
 
#個人の感想です
 
やっぱり、欲しいのは、2Dの手書き風味のイラストのグッズで、なので、3Dアニメムーミンのグッズを作る時は、3Dを捨てて、グッズ用にペンを持ち変えなきゃいけないのでしょう。
 
それをやっているのが『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』です。
 
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』ビジネスも僕らの知らないところでイカついことになっていて、結局、そういったものって、紙や布にプリントされているから、一度購入した人の目に入り続けて、一度購入した人に宣伝され続けて、「また次のシリーズを買おう」となる。
 
今日は「紙や布に印刷されているデザインを押さえているプロジェクトって強いよね」という話と、「紙や布に印刷したくなるデザインってあるよね」というお話でございました。
 
 

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