一次情報にアクセスしろbyキンコン西野
このnoteは2020年3月8日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:中川 一沙 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
一次情報にアクセスしろ
というテーマでお話したいと思います。
鵜呑みにしちゃダメだよ
「ビジネス系ユーチューバー」というのでしょうか、お仕事のことを教えてくださるユーチューバーの方の番組を、観させていただいたりしてるんですけれども、時々、おや。と思うことがあります。
ちょっと間違ってるぞ、と。
微妙なところではありますが、ハナから騙しにいってるものってあるじゃないですか。
たとえば「オンラインサロンで安定した収入を得る方法」みたいな。
いやいやお前ができてないのに何を教えられるんだよという、デブがダイエット本を書いてるような。
オンラインサロン運営はノウハウで突破できる問題ではないので。
プロ野球でホームラン打てるノウハウをイチロー選手に教えられても再現できないように。
オンラインサロンのセミナーってちょっと嘘くさいなと思うところで、そういったものは結果が伴わないと思うので、ちょっと詐欺に近いと思います。
あるいは、このようにハナから騙しにいってるものでなくても、視聴者さんのことを考えて真面目に情報提供してくださっているユーチューバーさんの情報が間違っていたりすることってあるんですね。
そういう場面に出くわすと、ついついそうじゃねーよって言いたくなってしまうのですが、
もうちょっと踏み込んで考えたときに、正しい情報だけが詰まった番組をそもそも見るのか?っていう問題がありますよね。
たとえば、「いい国作ろう鎌倉幕府」っていう話をしている時に「厳密にいうと1192年っていうのは頼朝が征夷大将軍を授かった年で、頼朝が鎌倉幕府の機能をスタートさせたのは1185年です」みたいな注釈をいちいち挟んでいたら、教科書みたいな内容になっちゃうじゃないですか。
教科書って読まないんですよね。
この場合のユーチューバーさんの気持ちを代弁すると、鎌倉幕府が1192年にスタートしていようが、1185年にスタートしてようが、このチャンネルを選んで視聴してくれている人のことを考えると、そこの正確性ってそんなに重要じゃないんですよ。
まずはこういうことがあったと知ってもらったり、鎌倉幕府というものに興味を持ってもらうことが大事だったりする。
そうすると、押し出さなきゃいけないのは、数字の正確性というよりも「ストーリーの面白さ」なんです。
数字の正確性を全部求めていくと、ストーリーをしゃべる時間が削られるわけじゃないですか。
それは、目的に対するアプローチとしてはあんまりよろしくないと。
だってこれはまず、見てもらうことだとから。
興味を持ってもらうことのほうが大事だから。
で、そういう情報を発信しているユーチューバーさんの気持ちの整理としては「詳しいことはご自身で調べてね」っていうところだと思います。
これはもちろん、こんなことを喋ってる僕もそうですよ。
「今は興味を持ってもらいたい段階だから、この説明や例外を話すと、面白みが減っちゃうからちょっと飛ばそう」と情報を編集しながら喋っています。
このように、表に出ることを生業としている人間の発言は話8割ぐらいで聞いておいた方がいいと思います。
僕の場合は、二日酔いの寝起きで喋ることが多いので、西野の話は3割ぐらいでいいと思います。ほぼ信用しなくて大丈夫です。
情報を受け取る側の心得
で、そのなかでも、唯一信用できる情報があります。
それは、今日のタイトル『一次情報』です。
つまり、話し手の方が、ご自身で体験されて得た情報、体験談です。
「西野がニューヨークで個展する時にこういうやり方をしました。結果こうなりました」という話は、真実じゃないですか。
再現性があるかどうかはさておき、信用できます。
以前、『革命のファンファーレ』という本を出した時、秋元康さんが帯コメントで
「西野亮廣は惜しげもなく手品のタネ教えてくれている。ただ、西野亮廣は、天才的なマジシャンだということを忘れてはいけない」
という、もう額縁に入れて玄関に飾ってナルシストに溺れてやろうかっていうくらいの言葉をくださいました。
僕がやってることはたぶん、再現するのは難しいと思いますが、タネは教えるねっていうスタンスです。
これが一次情報ですね。
こういった一次情報は信用して良いと思います。
くれぐれも再現性、できるかどうかはさておきですよ。
「イチローがこういうふうにバットを振ったらヒットを打てるよ」と、それをできるかどうかはさておき、その時のイチローは嘘はついてないということです。編集もしてないということですね。
で、「ビジネス系ユーチューバー」さんには素晴らしい方がたくさんいらっしゃいますが、
そのチャンネル番組を観る側の心得として、これはyoutubeに限らず、全ての情報を受け取る側の心得としては持っておいた方がいいのは、
「この人は自分の体験談、一次情報を話してくれているのか?それとも本とかで得た知識、二次情報をしゃべってくれているのか?」というフィルター。
ここを考えずに話を聞いてしまうと、誤った情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことがあります。
二次情報がダメと言ってるわけではないですよ。
本で得た知識を喋ってくれるユーチューバーの方や学校の先生を僕が否定しているわけではないです。
つまり、二次情報にアクセスした場合は「これは二次情報だな」と思いながら話を聞いた方がいいと思います、というお話です。
ここの整理をきちんとつけておかないと、厳しいことになってくると思います。
最後にちょっとだけ踏み込んだ話をすると、これからは、まず間違いなく二次情報が溢れるんですよね。
知識みたいなものは手に入れ放題なので。
もう既に起こっていることだと思いますが、他のユーチューバーの方のコピペみたいな発信をしだすユーチューバーが出てきて、みんな同じようなことを言っている状態が蔓延すると思います。
そうすると、魅力的な発信の仕方をしている人にアクセスが集まるので、キュッと編集が濃くなってきます。
色の付け方が魅力的な人ほどアクセスが集中するので。
なので、僕たちは情報を受け取るときは、これは一情報なのか?二次情報なのか?をきっちり整理して受け取った方がいいと思います。
というわけで、
一次情報にアクセスしろ
というテーマでお話させていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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