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YOUTUBEに過度の期待を抱くな by キンコン西野

このnoteは2020年4月18日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:岩を登ることで地方を支援したいふくおかあきらさん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「YOUTUBEに過度の期待を抱くな」
というテーマでお話しします。

オンラインサロンは稼げない

不定期ですが、僕は仕事として、サロメンバーさんの会社及び表現活動をされている個人事業主さんのコンサルをやらせてもらっています。
また時々、サロンメンバーさんと飲み会をして、そこでひたすら相談に乗っていて、もうコンサルの千本ノックです。

ただそこで、人からアドバイスを求められたときに、自分の中で一つ決めていることがあります。

それは、「再現性のないことは言わない」ということです。

僕に来る仕事の悩みのほとんどは、『集客』か『売上』についてです。時々、「何か面白いことしたいんですけど、僕は何をすればいいですか」という丸投げの爆弾を放り込まれることがあるのですが、それはまれなケースで、ほとんどの悩みが『集客』と『売り上げ』です。

言い換えると、『広告』と『お金』です。
これは仕事をする以上は、絶対に無視できない問題です。

そこで、僕はあれやこれやとアドバイスさせていただきますが、「オンラインサロンをすればいいよ」とは絶対に言いません。

結論を言うと、オンラインサロンの運営なんて、一朝一夕ではできないからです。

しかも、本業で結果を出せていない人が、本業の売り上げの補填に使うお金を調達するためのサロンは、「これ、身内以外に誰が入るの?」、「誰がそこに魅力を見いだすの?」という問題があり、結構難しいんです。

メジャーリーグでコンスタントに3割打てば、数億円稼げることは、誰でもわかっています。レアルマドリードで、バカスカシュートを決めまくったら、数億円稼げることもわかっています。
じゃあそれができるかというと、これはまた別問題で、普通は無理じゃないですか。

オンラインサロンも全く同じです。

「抜け道がある」と思っている方が少なくないのですが、そんなものはなくて、オンラインサロン運営に必要なのは、シンプルに『筋力』です。
結局、『筋力』や『腕力』の問題です。

めちゃくちゃ鼻につくかもしれませんが、これが現実なので、少しお付き合いください。

こうして、戦略みたいなものをみなさんの前でお話させてもらっているので、キンコン西野は「うまくやってるやつ」のように思われている方も、中にはいらっしゃると思われます。

僕自身、20代前半はお笑い芸人をやってまして、芸歴1年目で関西の賞を総なめし、20歳で『はねるのトびら』をスタートさせて、芸歴2年目のときには M1グランプリの決勝に出ているんですね。

25歳の頃には、日本で一番視聴率をとる番組の真ん中にいて、ひとりでうだ話をするだけのトークライブで、何千人とかを呼んだりしています。

そこから、作家になって、作家になった後は、書籍はすべてベストセラーです。日本で一番大きな広告賞もいただきました。

今、駆け足でものすごくムカつく経歴を説明しましたが、これまで渡り歩いてきた各業界には、何万人というライバルがいて、そのライバルたちとの戦いは、シンプルにタイマンなんです。

腕っぷしの勝負です。

漫才のコンクールなんて、「誰が一番面白いか」「誰が一番笑いをとるのか」という勝負で、書籍にしたって、広告にしてって、何にしたって、「誰が一番感動させるんだ」というところで、結局、腕っ節の勝負なんです。

そこで戦ってきたやつがオンラインサロンをやっているということです。

オンラインサロンというのは、仕組みが素晴らしいわけではありません。仕組み自体は、ただの有料のFacebookグループです。

これがどういうわけか、「オンラインサロンをすれば稼げる」と脳内で変換してしまう人が少なくなくて、実際問題、オンラインサロンを始めたものの、人数が集まらず、だけど数名集まってしまっているから、全く収益にならないにもかかわらず、手を抜くわけにはいかないサロンオーナーの死屍累々の山になっています。

収益のことだけを考えるのであれば、9割以上のサロンオーナーが、マクドナルドでアルバイトした方がいい状態にあります。

オンラインサロンの成功って、ほぼ再現性がないんです。

勝てるフィールドで戦え

僕は、YouTubeも同じような状況だと思っています。
みんなすごくYouTubeドリームを見るじゃないですか。でも、光が当たっている場所ばかりを見て、その地面に転がっている屍を見ていない。

最近、「売り上げが落ちてきたから YouTube チャンネルを立ち上げて、たくさんの人にチャンネル登録してもらってその収益を狙います」といったようなことを言われたんです。

まず、僕の正直な感想としては、「今?」と思いました。3、4年前の話をしてるのではなくて、「 今そういうことをしようとしてるの?」と思いましたよ。

しかし、テレビのスターたちが、だいぶ遅れて続々と YouTube に参戦して、今はレッドオーシャンになっているということは一旦横に置いておいて、YouTube の広告収益について少しお話しします。

まず、YouTubeで広告をつけるには、チャンネル登録者数が1000人を超えて、総視聴時間が4,000時間を超えなければいけません。ここがスタートラインです。

広告の単価は、チャンネルによって違いますが、ビジネス系チャンネルだと視聴者がお金を持っている人達なので、広告単価が高かったり、中高生向けのチャンネルだと広告単価が安かったりします。
しかしいずれにしても、1再生あたり0.何円の世界です。

例えば、1再生あたり0.3円ならば、1万回再生されて3000円。1万回再生されて3000円ですよ。
その動画の企画を練って撮影して編集するのに8時間かかったとして、それで3000円稼いだとすると、単純計算で時給は375円です。

ちなみに、1万回再生させるされるような動画をコンスタントに出していくのは、なかなか難しいでしょう。

加えて、今回のコロナショックで、企業は今は広告を出したがらないので、YouTube の広告単価は、3〜4割ほど落ちているはずです。

つまり、今からYouTube の広告収益で売り上げを補填するなんて、もうありえないぐらい無理ゲーなんです。

「マスを狙うんじゃなくて、今はとにかく、一人一人を口説いて、一人一人確実にファンを作っていけ」というアドバイスをさせていただくのですが、ほとんどの人がこれをやりません。

オンラインサロンやYouTube に夢を抱き、時間だけが削られていき、どんどんじり貧になっていきます。

少し話を整理すると、今、自分が求めなきゃいけないものは、キャッシュなのかコミュニティーなのかでアプローチは大きく変わってきます。

そして、ここがポイントですが、戦いの基本は、「勝てるところで戦う」ということ。
できれば、「戦わずして勝つ」なので、自分の手札と相談しながら戦うフィールドを決めた方がいいと思います。

くれぐれも、「オンラインサロンは稼げるからやろう」、「 YouTube は稼げるらしいからやろう」という安直な判断は、僕はおすすめしません。

少なくとも、僕はオンラインサロンに詳しいので、オンラインサロンのオーナーとして収益化するなんて、ほぼ無理だということがわかります。

せっかくやるのならば、勝ちに行ったほうがいいじゃないですか。なので、自分の手札と勝負して、勝てるフィールドを選んで勝ちに行くことをおすすめします。

相談であれば、僕はいつでも乗るので、キングコング西野を見かけたら、「ちょっとこういうことで悩んでるんですけど」と、遠慮なく声をかけてみてください。

というわけで、
「YOUTUBEに過度の期待を抱くな」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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