「フリーミアム戦略」をはき違えちゃダメだよbyキンコン西野
このnoteは2020年2月25日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
Voicyの提供:末鷹圭佑さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしています。
よく「オンラインサロンには入っていないけど、Voicy(youtube)で勉強させてもらっています」みたいな「これで事足りてます」みたいなことを言われて、それは全然うれしいんですけれど、くれぐれも。
これまで何度もお話しさせていただきましたが、オンラインサロンで話していることと、このVoicy(youtube)で話している内容では全く別で。
オンラインサロンの方は、今自分が取り掛かっている最新ビジネスに関することを共有しているんですね。
一方、このVoicy(youtube)でお話ししているのは普遍的なことですね。昔から言われているようなことをただただ僕の口で解説しているっていうだけなので。まったく別もんなんです。
だから、ここで話してる内容は別に調べりゃ出てくることなので僕から聞かなくても大丈夫なものですよっていうことだけお伝えした上で。
今日はですね
「フリーミアム戦略」をはき違えちゃダメだよ
っていうお話をさせていただきたいと思います。
稼いだお金をすべて社会に還元したらどうなるんだろう?
先日ね、ラオスっていう国に小学校をプレゼントしたんですね。
詳しくは僕のブログに書いているのでそちらを覗いていただきたいんですけれども
ざっくり説明すると、絵本の印税を小学校の建設費にまわしてプレゼントさせてもらいましたっていう感じですね。
こういうことをすると「いい人ですね」とか言われるんですけど、シンプルに僕は贅沢の類に一切興味がないし、貯金しておきたいという願望もないし、そんな僕がお金を持っていたって仕方がないから社会に還元したっていうだけの話ですね。
「いい人ですね」って言われるし、なんか女の子にモテそうだし、結果僕のためにもなってるんで売名行為だと思っておいてください。
恥ずかしいんでこの話はここら辺で終わります。
そろそろお気づきかと思いますが、僕はとにかく実験が好きなんですね。
働いて稼いだお金を銀行に貯め込む人の物語って僕たちもう散々見たじゃないですか。
なので、それとは真逆、たくさん働いてたくさんお金を稼いですべて社会に還元したらどうなるんだろう?っていうところに興味があるんですね。
働いたお金を全部社会に還元するやつは一体どういう仕上がりになるんだろう?って。
たぶん僕のオンラインサロンメンバーさんもそこをおもしろがってくれてると思うんですね。
「次、西野は何にお金を使うんだろう?」っていう感じです。
正直、僕が働いて稼いだお金を何に使うか僕の勝手じゃないですか。
でも、僕がおもしろくないことにお金を使ったらガッカリされるぐらいにまでなってると思うんですよね。
なんでだよって話なんですけども、でも、僕自身大きな買い物をする時に、これ買ったらサロンメンバーのみんなおもしろがってくれるかな?っていう自己チェックが入るようになってしまっていてですね。
なかなか最近味わい深い仕上がりになってきております。
もはや、もう僕の銀行口座は誰の銀行口座かよくわからなくなってきているっていう感じですね。
「無料にすればいい」ということじゃない
そんな調子で毎日実験を繰り返しているんですけれども、これをやったらどうなるんだろうっていう実験の一つに、過去『えんとつ町のプペル』の無料公開というのがありました。
当時、賛否両論あったんですけども、しかしながら『えんとつ町のプペル』でめちゃくちゃポジティブな結果が出てしまったので、
その後、新刊の無料公開っていうのは出版の広告戦略の一つのスタンダードとして根付きましたよね。
今ツイッターで「無料公開」でエゴサーチすると山ほど出てくると思いますし。
さすがに「無料公開は良くないとか文化が破壊される」って言ってる人は、もうほとんどいないと思うんですよね。
ところで、この新刊の無料公開戦略っていうのは広告の世界では『フリーミアム』っていう言い方をしたりするんですね。
『フリーミアム』っていうのは、顧客を増やすために基本的なサービスは無料で、そこから先の特別なサービスを受け取るのは有料ですよっていうビジネスモデルのことですね。
『ニコ生』なんかをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
ここから先はここから先は有料っていうやつですね。
ちなみにスーパーの試食もそうですね。
輪切りにしたソーセージを爪楊枝でこうツンツンつまみ食いするのは無料だけれども、パッケージに入っているのは買ってねって。アレも『フリーミアム』です。
他には化粧品の試供品などもそうですねサンプルを無料で配って本気のやつが欲しかったら買ってねっていう。
さまざまな業界で『フリーミアム戦略』っていうのは行われているんですけれども、これね、大体の数字が出てるんですね。
大体の数字っていうのは、何パーセントの有料客が入ればこのビジネスモデルは回るのかという数字のことです。
答えは5%ですね。
5%のお客さんが買ってくださっているおかげで、95%のお客さんが無料でサービスを受け取ることができると。
裏を返すと、運営側は100人に無料で提供したら最低5人は有料客になってもらわないとヤバいという話ですね。
『えんとつ町のプペル』を無料公開した後、「僕も私も無料で公開する!」っていろんな方が手を挙げたんですけれども、彼らを見ていると無料公開=売れるって言う図式で動いているように見えたんです。
でも、そうじゃないんですね。
無料で提供したうち最低でも5%の方に買ってもらわないと回らないんです。それをやらない限り、ただ無料で配っているだけになっちゃう。
ここで考えなきゃいけないのは、全ページ無料公開した本を買う理由、つまり、有料特典ですね。
『ニコ生』だったら、続きが見れる、なんですけれども。
本の場合、全ページ無料公開してしまうと続きは買わなくても読めますよね。
じゃあ、買った人の特典は何なの?って話になりますよね。
で、絵本の場合だとそれは有料特典は読み聞かせになるんですよ。
親子で肩並べて読み聞かせする時には二人で見れるだけの本の面積が必要なんで。スマホだと読み聞かせしづらいんですね。
あと、一人で読むには最適だけれども、読み聞かせするには最悪になるように絵本『えんとつ町のプペル』の無料公開は縦スクロールにしたんですよ。いやらしいでしょ。
こういうところで軽めのストレスを用意しておく。そして、そのストレスを解除するために料金が発生するっていう設計ですね。
このあたりはスマホの通信制限のノリに近いかもしれないですね。
フリーミアムだっていって無料公開しているエンタメの多くはここの設計ができていないことが多い。
あと、残酷なんですけど、そもそも問題として有料の価値があるものを無料で公開するから意味があるわけで、さすがにこの仕事でお金取っちゃダメだろうっていうものを無料公開しても未来がちょっとも開かない。
で、宣伝になっちゃうんですけどこのあたりの話は僕の著書『革命のファンファーレ』におもっくそ詳しく書いてるんで、特に経営者さん、広報担当者さん、クリエイターさんは絶対に読んでほしいですね。
僕、嘘をつかないんで。
あの本を読むのと読まないなどでは、その後の人生を大きく変わってくると思います。これは絶対読んでください。
今日のまとめです。3つですね。
①フリーミアム5%の有料客をつかまなきゃいけない
②ただ無料で出せばいいわけじゃなくて有料得点を明確に設計しなきゃいけない
③そもそも有料の価値があるもの店に並べれば売れるものを無料で出さないと意味がない
ここは絶対に押さえておいてください。
無料にすれば売れるぞっていうことではないよというお話です。
というわけで
「フリーミアム戦略」をはき違えちゃダメだよ
というテーマでお話しさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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