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「必ず負ける人」がいつも期待していることbyキンコン西野

このnoteは2020年5月25日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:しばはし 聡子 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「『必ず負ける人』が、いつも期待していること」
というテーマでお話したいと思います。

「何かウラがあるに違いない」と考えるな

耳の痛い話かもしれないですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

僕はやりたいことがやりたくてこの世界に入ったので、基本的に表現とか作品の内容を世間や時代に迎合するつもりは一切ないんですね。

レッドカーペットが流行ろうが、ひな壇が流行ろうが、それに対して自分がじゃあ乗っかっていくかというと、その時にそれがやりたいと思ったらやるし、別にそこまでだなぁと思うとやらないんですね。

そのとき何が流行っていようが、自分がやりたいことをやるスタンスでずっとやってきましたし、これからもその姿勢は変えない。

それこそ僕は10年以上前に絵本を書き始めたのですが、別に絵本なんて流行っているものではありませんでした。

8年くらい前に始めたクラウドファンディングも、5年前に始めたオンラインサロンもそうですね。

別に流行っていたからやっているわけではなくて、活動の軸を広告費ではなく「ダイレクト課金」に置いておいたほうが面白いことができそうだなと思ったからやった。それだけの話ですね。

ただここで、「世間なんてどうだっていいんだよ」と言ってしまうのは少し乱暴で。

やっぱり僕みたいなお仕事についている人間は応援してもらわないと始まらないし。

それでも、だからって自分の表現や作品に忖度のメスは入れたくない。

もちろん世間に対して一切の忖度がない表現や作品を面白がってくださる方は一定数いるのですが、僕はもうちょっと欲深い人間でして、それだけでは満足しないんですね。

もっと応援してもらいたいヤツなんだと思います。

そうなってくると、表現や作品以外の部分で応援してもらう理由を作らなきゃっていうことを思いましてですね。

何があるかなと考えたときに、その内の1つが「お金の使い道を公表する」ということだったんですね。

僕たちは日頃、モノを買って生きているわけですが、インターネットによって技術や情報が共有されるようになり、あらゆる消費のクオリティが上がり均一化され、競合商品とのクオリティの差、機能の差というものがなくなってきました。

どの商品を選んでも大体同じという世界なので、こうなると「誰から買うか」というゲームになってきます。

僕がよく言っていることですが「機能検索」から「人検索」へと時代は移っています。

「誰から買うかという時代になったよね」ってことなのですが、まさに今は「人検索」の時代であります。

要するに、現代において「モノを買う」という行為は、見方を変えると「お金を託す」という作業であると。

お金を誰に託すかということになってきます。

結局、手に入れるモノは一緒なので、Aのお店のラーメンを買おうが、Bのお店のラーメンを買おうが、Cのお店のラーメンを買おうが、ラーメンの味は多少の違いはあるにせよ大体同じで、昔みたいに大ハズレをひくということがなくなってきたので。

受け取るモノが大体一緒になってきたなら、このラーメンのお金を誰に託すか。

Aさんに託すか 、Bさんに託すか、Cさんに託すか。

このように、「モノを買う」という行為は「お金を託す」という作業になってきているということですね。

これはお金だけではなく「時間」もそうですね。

自分の時間を誰に託すか。

つまり、サービス提供者は「時間」や「お金」を託したいと思われなければならないということですね。

ここからもう一歩逆算して、「どういう人にお金を託したくなるかな?」と考えてみたところ、やっぱり託されたお金を素敵なことに使ってくれる人にお金を託したいと僕は思ったんですね。

自分が渡すこの1万円を、何か素敵なことに使ってほしい。

それは別に何でもいいんです。子育てに使うでも、社会貢献に使うでも良いのですが、なんか素敵なことに使ってくれる人にお金を託したい。

そうやって個人的に思うところがあって、そこから僕は自分のお金の使い道を公表するようにしたんです。

世間的にはあまり出していないのですが、サロンメンバーにはこれでも話しているんですよ。

今月やこの先は「これにこれぐらいのお金を使います」的な感じで、けっこう具体的な金額を話しているんですよ。

本来は、自分が稼いだお金ですから何に使うも自由ですし、税金じゃあるまいし、使い道を公表する義務なんてないんですよ。

でも、その使い道が素敵だったら「西野を応援する理由」のひとつになるだろうという、ゲスい計算のもと、使い道を公表するようにしています。

それで、僕のお金の使い道を知っているサロンメンバーさんは、もうここに対して疑いは一切ないと思うのですが、僕はお金に全然興味ないんですよ。

制作費には興味ありますよ。

僕が興味のない「お金」というのは、自分の私腹を肥やすために使うお金のことです。

僕にはやりたいことがあって、生み出したい作品があるので、それには制作費や運営費が必要ですし、力を貸してくださっているスタッフさんの給料も確保しなければならないので。

そこに関するお金の話はきちんとするようにしていますし、ちゃんと向き合うようにしている。ですが、ただ私腹を肥やすためのお金には一切興味がありません。

1日1食コンビのお蕎麦が食べられて、ゼロカロリーのコーラが1日2本ぐらい買えたらOK。

別に月の給料が6、7万円くらいでも、まあ問題ない。

この話をすると「嘘をつけ!」みたいに言われるんですよ。「あれだけお金の話をお前してるんだからお金好きなんだろう?正直に白状しろよ」的なことを言われるんです。

つまり、僕が「お金に興味がない」ということはパフォーマンスであって、本当はお金をモチベーションにしてるんだろうと。

「ウラの顔」を持っているのではないかという二面性を期待される。

ですが、一つ確かなことは、二面性を期待しているような人には絶対に負けないということです。

「何かウラがあるんだろう、ウラがないとそこまで頑張れるのはおかしいじゃないか」と思ってしまっている人はもう話になりません。

そういう人からすると本当にびっくりするかもしれませんが、僕は世間的に「努力」と呼ばれるようなものを無意識にずっとしているんですね。

朝起きた瞬間から翌朝眠る瞬間までずっと「努力」と呼ばれるものをしていて、そこにはまさかお金のためにとかないんですよ。

そういったものがあるということは、何かしら我慢して「努力」をしているわけじゃないですか。

我慢なんてしていないんですよ。

息をすることって、意識していないじゃないですか。生きるために呼吸しようなんて思って呼吸していないですよね。あんな感じです。

息するように努力しているという感じですね。

それで、これは僕だけではなくて、僕の周りには業界のいわゆるトップランナーと言われるような人たちがいるのですが、彼らみんなそうなんですね。

皆さんが期待している「二面性」とかないんですよ。「ウラ」とかないんですよ。

ホリエモンが面白いことについて語ったりすると、よく世間から「嘘つけ!本当は金が欲しいだけなんだろう!」というようなことを言われたりしておりますが、本当にそうではないんです。

飲んでても移動しててもずっと「これ面白くない?」みたいな話しかしない。オモテウラなんてないんですよ。

そういう人って「モチベーションは何ですか?」みたいな質問をされたりした時、それなりに答えを絞り出したりしているのですが、本当のところはもはやモチベーションなんて存在していません。

僕も「モテたいからやってます」と言っているのですが、モテなくなったらやめるのかというとそんなことはないんです。

もはや「モチベーション」というものが、よくわからなくなってきています。

二面性を期待している人、「そんなに頑張れるのは何かウラがあるに違いない」と願っている人からすると、これは絶望的な現実かもしれませんが「きれいごと」を地で行く人っているんですよ。

業界のトップはほとんど、そういう生き物ですね。

上に行けば行くほど、そういった生き物しかいないですね。

二面性とかないです。

まずは、ここを受け止めなければ、全く勝負にならないと思うので、ここを受け止めてください。

というわけで今日は、
「『必ず負ける人』が、いつも期待していること」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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