見出し画像

無名の人間の成功の勝ち取り方 by キンコン西野

このnoteは2019年2月14日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:岡田 将明さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「無名の人間の成功の勝ち取り方」
というテーマでお話したいと思います。

まだ実績も知名度もない無名の人間が
いかにして世に出ていくかという話です。

無名から挑戦したニューヨーク個展

話の軸となるのは、僕のニューヨークの個展です。
個展の成功の定義って少し曖昧ですが、僕の場合は絵は販売せずに、自分の活動のプロモーションとして個展をやっているので、作品の売り上げではなく来場者数で成功か失敗かを論じたいと思います。

僕はニューヨークでの個展を過去2回ほど開催していて、前回の個展では入場1時間半待ちのような状態もあったので、ギリギリ成功のラインと言えると思います。


そこで、「いかにして成功までねじ込んだのか」というのが今回の話ですが、この2回目の個展の時はコネクションもできており、「西野だからできた」という言い分がまかり通ってしまうかもしれません。なので今日は、1回目の個展、つまりコネクションも何もなかった8年前の、全く無名の新人だった頃の個展で僕がやったことをお話ししたいと思います。

この時の体験が、今の僕の基礎となっています。

2010年1月のことですが、当時はその1ヶ月後に長期休暇を予定していました。しかし、僕が声帯ポリープを患ってしまって、1週間程仕事をお休みしたので、「もう1か月後の長期休暇日もいらねーな」と思っていました。

そこで「じゃあ何をしようかな」と考えたとき、「ニューヨークで個展したい」と思って、もう思ったが最後、「やろう!」と決めてしまいます。

ただ、もう1か月後なので時間がありません。それでも、「やろう」と決めてしまっていたので、ニューヨーク中のギャラリーに片っ端から連絡をして、1ヶ月後に使えないか交渉しました。しかし、やっぱり門前払いです。無名のよくわからない日本人が、いきなり1ヶ月後に貸してくれと言うのだから、怪しまれて当然です。

70件ぐらいコンタクトをとりましたが、すべて門前払いで、「あーこれはもうダメかな」と思った時、折返しの連絡がありました。

それは、ニューヨークのSOHOという街の『One Art Space』というすごく大きなギャラリーのオーナーさんからで、「君の絵を見たぞ!なんだこれは!」「とにかく1か月後のスケジュールは何とかするから絶対に来てくれ!」と言う連絡でした。

これってものすごくドラマチックな展開じゃないですか。

僕はもう舞い上がって行くことを決めてしまい、1ヶ月後にニューヨークで個展をすることなったんですよ。

ただ、そこで「そういえば予算はどうするんだ?」という話になりました。
海外で個展をしようと思ったら、搬送費だけではなく、ギャラリーの使用量、スタッフさんのお給料など、色々なお金がかかります。

僕は、その時家を買ったばっかりでそれほどお金がなく、吉本興業もこんな得体の知れない企画にお金を出すとは思えないので、「これは参ったなぁ」と思った時、友達がやっていた『クラウドファンディング』というものを知りました。インターネット上で企画をプレゼンして、それに賛同した全国の方からちょっとずつ支援していただく。そのような仕組みがもう日本に来たと聞きました。

そこで、「なるほど、これをちょっとやってみよう」と思って、クラウドファンディングを始めました。ただ、今でこそクラウドファンディングは浸透してきた感じはありますが、8年前はまだ誰も知りませんでした。

なので、立ち上げたはいいものの「宗教だ、怪しい」、「搾取だ」という言葉しか飛んでこなかったんですね。よく言いますが、「人は知らないものを嫌う」ということです。当時も、クラウドファンディングに対して、みんなものすごいアレルギー反応を見せました。

そこで、こんなことをブログでどれだけやろうが刺さらないので、「もうこれは仕方がない」と思い、ニューヨークで「キンコン西野」や「アート」とツイートしている人をエゴサーチで片っ端から見つけ、一人一人コンタクトを取りました。

「初めまして、キングコング西野と言います。今クラウドファンディングっていうものをやっておりまして、こういうものなんですけど…」というメッセージをいちいち何百件も送ったんです。

これが、ツイッターのツイート制限がかかるまで毎日やりました。そして、一人あたり3,4ターンくらいのやりとりを、2週間で合計2000人と行いました。なので、その2週間はずっとツイッターにへばりついて1対1の会話をやりとりしました。

ただこれは、国内におけるキンコン西野の知名度を利用しているので、無名の方がやる場合はまず初めはツイートですね。全然知らない人のツイートにコメントを返すところからで良いと思います。

とにかく、一人一人コメントしていったということです。そして、2週間かけてようやくそのクラウドファンディングのお金を集めました。ただ、その次の課題は、あと2週間で集客しなければいけないということです。なぜなら、僕はニューヨークにコネがなかったので。

そこでどうしたかというと、僕はまたツイッターで、『ニューヨーク  寒い』、 『ニューヨーク  おいしい』 、『ニューヨーク  混んでる』などと検索し、現在ニューヨークにいる人を割り出して、700人ぐらいリストアップしました。そこからまたひとりひとりに、「はじめまして。実は私、今度ここのギャラリーで個展をするのですが、入場無料なので、もしよかったらいらっしゃってください」というやりとりを行いました。

その結果、個展は大盛況です。初日にギャラリーがパンクするぐらいの人がどっと押し寄せて、大変なことになりました。

SNSはドブ板営業の最高のツールだ

結論を申し上げると、クラウドファンディングを成功させる時も、個展の集客をする時も、やっていたことはただ一つです。

それは、『網をかけるのではなくて、銛を片手に相撲りをして一匹一匹狙った』ということ。これが無名の新人がやれるSNSの正攻法だと思います。

知名度も信用度もない人が投げる網というのは、目が粗くて、投げても投げても魚が網の目からするりするりと逃げてしまいます。なので、網を用意する時間や網を投げる時間は全く無駄になってしまうでしょう。

よくビジネス書やビジネス系ユーチューバーの方が、「こうすればうまくいくよ」と、魔法のような裏技ノウハウを教えてくださいます。

もちろんそれは一理あって、嘘ではありません。ただ、その裏技を再現するのはそれなりのセンスが必要なので、「やったけどうまくいかないなあ」という人は少なくないと思います。

僕が今回お話したのは、そのようなシュッとしたやり方ではなくて、一言でまとめると『無名の新人は徹底的にどぶ板営業しろ』ということです。

これはうちのインターン生および新入社員にも言っているのですが、「もう日本を代表するインフルエンサーが言ってるんだから、騙されたと思って徹底的に一人一人と会え」と。「そうすれば君を取り巻く環境は変わるから」と。

まったく無名の人間がSNSで大バズりを起こして、一夜にしてスターになるというSNSドリーム、もしくはYouTubeドリームが時々ニュースになりますが、あれを基準に考えてはダメです。

SNSの最大の発明は、『まだ見ぬ人と1対1のコミュニケーションが取れる』ということ。もっというと、家に居ながらドブ板営業ができるということです。無名の新人は、ここを徹底的に使うといいでしょう。

「どうして自分の商品は売れないんだ」とか「どうして自分のお店に人が来てくれないんだ」という方は、今 はもうSNSという家にいながらドブ板営業ができるツールがあるんだから、これを使わない手はありません。

とりあえず徹底的にこれを使ってみてください。

というわけで、
「無名の人間の成功の勝ち取り方」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?