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キンコン西野が語る「集客の勝ちパターン」

このnoteは2020年4月29日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:藤江 成光 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「キンコン西野が語る『集客の勝ちパターン』」
というテーマでお話したいと思います。

行列をデザインしろ

今日は、お店を出されている方や、クリエイターさんに届けばいいなぁと思っている内容をお話ししたいと思います。

この話は、去年あたりにサロンで喋ったことがあるのですが、何年か前に、僕は日本中に嫌われていました。

それ自体は別にどうだって良かったのですが、その理由がすごく気になったんです。

なんでみんな西野のことが嫌いなんだろうという。

いろいろ理由はあると思います。鼻につくとか。

「西野嫌い」という人と、実際に直接会う企画が色々と番組でもありました。

それで、「西野嫌い」という方に、その嫌いな理由を聞いていくと、結構な理由としてあったのが、

「周りの人みんなが嫌いって言ってるから嫌いです」

という答えでした。

例えば、「僕の発言が嫌だ」とか「この作品がすごく肌に合わない」とか、
そういうことなら納得がいくのですが、

「周りの人みんなが嫌いと言ってるから私も嫌い」

という人が少なくなく、これにはびっくりしました。

それで、これって何なんだということをその時に調べたのですが、こういうのって「同調行動」とか「同調行動効果」というようです。

これは何かというと、周りの意見や行動に合わせて自分も同じように行動してしまうことです。

「みんなと一緒だから安心」というものです。

「多くの人がそれを選んでいるのだから私がそれを選ぶのは間違いないだろう」ってやつ。

これは要するに、意思決定を周りの人に委ねているということです。

人と違うことを知って嫌われたくない、というのもあるかもしれませんが、意思決定を周りの人に、集団に委ねてしまっているということです。

ちょっと詳しくないので、生物学の人とかに聞かなければなりませんが、これは、生き物が、集団が生き延びるために必要な能力なはずだと思います。

生物が、みんなが右に行っているときに右に行くということが生物の集団として必要だという話です。

みんなが右に行っているときに右にいかなければ、左には狼みたいなのがいて狼に食われてしまう。だから、右に行こう。と。

子孫を残すということでいえば、左に行く奴も必要なんですね。

全員が右に行き、その先に落とし穴があったとしたら、全員死んでしまうので。

なので、違う行動をするヤツっていうのは、基本的には必要なのですが、集団が生き延びる術としては、周りの皆と同じように動くことが必要なのだと思います。

それで、この同調行動、あるいは同調行動効果は、実験で言うと、たとえば、5人が街中で上を向いていたら、この周りにいる人たちも上を向き出すみたいなことですね。

つまり、この同調行動によってデザインが可能であるということですね。

有名な話では、コンビニの立ち読みコーナーなんか有名です。

コンビニは絶対窓側に立ち読みコーナーを置いて、立ち読みをできるようにしていますが、あの目的は、立ち読みコーナーに人がいるのを見た窓の外の人に「この店は人がいっぱい来てるから安心ですよ」「来ても間違いじゃないですよ」という同調行動による集客を目的としているんです。

僕は、こういう「人が人を呼ぶ」ことを「行列をデザインしよう」とスタッフによく言うのですが、これは結構大事です。

コロナ中はちょっと難しいのですが、例えば、僕は以前、個展でサイン会を企画したことがありました。

その時、うちのスタッフは、サイン会の会場を個展会場の一番奥の部屋に配置しました。

そのスタッフに「そうじゃない。君の目的は何なんだ」と聞くと「この個展にはとにかく人を呼びたいんです。だから動きをスムーズにしたいんです」と。

それで、僕は「人を呼びたいという点にポイントを置くのであれば、サイン会の場所はここじゃなくてこっちだ」と場所を移動させたのですが、

それはどこかというと、入口付近でした。

入り口付近にサイン会場を作ってしまって、サイン待ちの列を外に伸ばします。当然、近隣のお店に迷惑がかからないように。

このようにサイン会の列を外に伸ばすと「あそこ人が集まってるな。どうやら面白いことをやってる。あそこを選ぶ私は間違いじゃない」という気持ちが生まれます。

これが同調行動効果というものです。

同調行動効果を狙うなら、行列は見せないと意味がないということです。

行列ができるラーメン屋の行列を店内に作っても意味がない。
外に行列を作ることで集客ができているということです。

「この店は間違いない、行列ができているんだから美味しいに違いない」
「みんなが選んでるんだから美味しいに違いない」と。

このような感じで、行列をデザインすることは、集客の時に非常に重要です。

今はコロナで「3密」が言われているので、人を呼ぶことはなかなか難しいのですが、これはオフラインだけの話ではなく、オンラインでも全く同じことが言えます。

例えば、「クラウドファンディング」もそうかもしれません。

クラウドファンデグには、「支援総額」や「支援者数」という数字がありますね。あれは、数字の多いところに集まるものです。

たくさんの人が支援しているところに人が集まってくるので、「たくさんの人が支援している」「たくさんの支援額が集まっている」と見せることが非常に重要です。

それでいえば、自分はそれをずるく使うのですが、例えば、クラウドファンディングには「リターン」と呼ばれる返礼品があって何を返してもいいのですが、

よく僕は「講演会を開催できる権利」みたいなものをリターンに出します。

でも本来、講演会をお願いする時は吉本興業に言うのであって、お金の流れでいうと吉本興業に入ってしまうものです。そこから僕の銀行口座にお金が入ります。

ここで動いているお金は可視化されてないですね。

なので、クラウドファンディングで講演会の価格を明示して、リターンとして出して、そこで「西野の講演会を開ける権利」を買っていただいたら支援総額とかにプラスされるわけじゃないですか。

そうすると、「この企画ってお金が集まってるよねなんか面白そうだなー」みたいな。

結局、このお金は吉本と僕が行う仕事なので当然分配しているのですが、お金の流れが見えると、「そこに人が集まっている」ということが可視化されて見えます。

そういった感じで、行列は見せていかないとあまり意味がないという話です。

といっても、これはテクニック論なので。
当たり前ですが、中身が素晴らしいことは大前提ですよ。

講演内容が素晴らしくなければならないし、ラーメンが美味しくなければならないし、個展で展示している作品が素晴らしくないと、これは効いてこないものです。

中身が素晴らしいことが前提で、プラスアルファとして、こういうテクニックがあるよという話です。

というわけで、
「キンコン西野が語る『集客の勝ちパターン』」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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