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【話のプロが教える】話を伝える時に気をつけなきゃいけないこと byキンコン西野

このnoteは2019年10月22日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:今井 悠貴さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今朝は、「話を伝える時に気をつけなきゃいけないこと」というテーマでお話ししたいと思います。

自分に許されたプレゼン時間を見極める

僕は漫才師として、テレビタレントを経て、いまは絵本を書いたりオンラインサロンで文章を書いたり、週1、2回は講演会なんかもしているんですけど、
デビューしてからいままで、活動に一貫しているものは何かって言うと・・
『言葉』
なんですね。

コンテンツは
『言葉』『コミュニケーション』
であると。

これを売って今まで生きているので、けっこうな言葉のプロだとは思うんですね。

要は、言葉が伝わんないと、話にならないっていう世界で生きている。

漫才にしたって、テレビタレントにしたって、本にしたって、オンラインサロンの文にしたって、講演会にしたって、
喋る僕がいて、お客さんがいて、お客さんに話が伝わらないと、僕はそもそも生活ができない。

そういう環境で生きていて、まあ、今までちゃんと生きてこれているので、多分、言葉を使うのはけっこう得意なほうだと思います。

で、今日はそんな僕からですね、
「話を伝える時に気をつけなきゃいけないこと」
っていうお話をさせていただきたいんですけど。

まず、大前提として、おもしろい話ができるかどうかっていうのは、才能じゃなくて気配りである。ここに尽きるんです。

逆に言うと、気配りできない人はいつまで経ってもおもしろい話なんかできないし、人に伝わる話なんかできない。

で、話を伝える時に気をつけなきゃいけないことは、大きく2つあってですね、
まずひとつめは、
自分に許されたプレゼン時間を見極める。

たとえば、クラウドファンディングのサイトとかを開くと、
「こんなことをしたいんです!じつは、わたしは昔、こういう経歴があって、こういう想いがあって....」っていうのを、
「巻物か?」ってくらいなが〜い文章で書く人がいらっしゃるんですね。

ぜんぶ書く人がいるんですね。

自分がどういう育ちで、どういう想いがあって、みたいな。
今回のプロジェクトは、うまくいくとこうなります!みたいな。

ぜんぶ書く人がいるんですけど。
知らない人の話なんか聞かないじゃないですか。
知らない人の話を30分も聞けないですよね。
菅田将暉くんの話なら余裕で30分聞けますけど、知らんおっさんの自分CMを30分聞けないじゃないですか。
やっぱ知らんおっさんと菅田将暉くんでは、自分語りが許されてる時間がぜんぜんちがうと。

ここを見極めれない人は、けっこういますよ。

僕はこういう仕事をしているので、プレゼンを受ける機会が多いんですね。
「こんなサービスしてるんです」とか、
「こんな会社立ち上げようと思ってるんです」とか。

「よかったらご一緒できないですか?」っていう、
ありがたいことにそういうったプレゼンを受けることが多いんですけど、
まず、このプレゼン時間が長い時点で、仕事のパートナーとしては組まないですね。

やっぱりその人は、自分のことしか考えれてなくて、相手の時間を奪っているって感覚がない。

この自覚がない人に、相手のことはどうだっていい、と思っている人に、いいサービスが作れるわけがないし、いい表現者になれるわけがないんだから。

あと、いいセックスができるわけがない。まあ、セックスはいいか。

要は、自分本位であるっていうことですね。
つまるところ、やさしくない。

自分のプレゼン時間が見極められていない人っていうのは、つまるところ、やさしくない。

オナニーばっかりしちゃって、セックスができていない。

まあ、まずひとつめは
自分に許されたプレゼン時間を見極める。ってこと。
ここが見極めれてないと、どんだけすばらしい話であろうが、どんだけすばらしいアイデアであろうが、ここをミスってしまうと伝わるものも伝わらない。

『単語脳』か『文脈脳』か

さて、2つ目です。

これはですね、自分が話してる相手が、文章を『単語』で切り取る『単語脳』の人なのか、『文脈』で切り取る『文脈脳』の人なのか、見極める必要がある。

世の中には、その2種類の人がいるってことですね。

『単語』で切り取る『単語脳』の人と、『文脈』で切り取る『文脈脳』の人がいると。

たとえば、単語脳の人なら強めの言葉をチョイスしたらダメで、先日『ダウンタウンなう』っていう番組にださせていただいたんですけど、
そこで、ダウンタウンの松本さんが突拍子もないボケを投げてきたときにですね、僕が
「アホなん?」
っていう風に返したんですね。

これ、前後のやりとりをみていたら、ここでの「アホなん?」っていうのは、もちろん効き目があるんですけど、単語脳の人だったら、この「アホなん?」だけを切り取ってしまって、

「先輩にむかって『アホなん?』とか言ってはダメだと思います」
っていう風に反応してしまう。

前にストレッチがあって、コミュニケーションを十分にほぐしてほぐしてほぐしたあとに「アホなん?」なんです。
当然、初対面の先輩に対して「アホなん?」って言ったら失礼ですけど。
もう、「アホなん?」が許される段階ですよねってタイミングで「アホなん?」って放り投げてはいるんですけど、
単語脳の人っていうのは、「アホなん?」に反応してしまうから、「先輩に対して『アホなん?』とか言ってはダメ」と思ってしまうと。

それはもう単語脳の人がわるいとか、嫌がらせで言っているわけではなくて、もう、そういう人である、ということですね。

先日も、僕のオンラインサロンで、2日、3日前くらいの記事かな。ファンの方にむけて、

「『A』というグッズを作ろうと思う。そこで売り上げを安定させて、ファンの方以外の向けた『B』というグッズを開発していこうと思う。」
っていう話をしたんですね。商品開発の話ですね。

で、話の流れで、『A』っていう商品はこういうデザインにして、これくらいの値段で、こういう風に展開していくっていう話をしたんですね。

そうするとですね、ある人がですね、
「西野さん!お言葉ですけど!」って。
「『A』っていうのは、ファンの方しか買わないと思います!」って。

「いや、そうだよ。冒頭申し上げたとおり、『A』っていうのはファンの方に向けて開発するグッズですよ。そこでの売り上げを『B』っていうグッズに展開するんですよ。」って話をファンの方にしているんですけど、

たぶん、そこがごっそりなくなってしまって、その後の、「『A』はこういうデザインにする」みたいなところ、そこの単語に反応してしまって、「そんなのファンしか買わない!」ってなっちゃった。

その前の記憶が完全に塗り替えられてしまって、ロケット鉛筆的に、新しいデータが入ったら古いデータが消えてしまうっていう、書き換えられてしまうっていうことですね。

『単語脳』っていうか『書き換え脳』っていう言い方のほうが、もしかしたら適切なのかもしれない。

まあ、そういう方がいるので。

「なんでこの人話が伝わらないのかな?」
って考えた時に、
もしかしたら、単語脳の人に対して文脈で話してしまっている、っていう

ここを気をつけなきゃいけないですね。

逆に「文脈脳」の人だったらですね、筋道さえ通っていれば過激な言葉が入ろうが問題ない。その代わり、筋道は徹底的に通す必要がありますけど。
ホリエモンのことを支持している方って、どちらかというと、こっちですね。

だから、べつにホリエモンが話の中で「バカ」とか「カス」とか言ってもほんとになんとも思ってない。「文脈脳」の人は。

そんなことよりも、その話に筋が通ってるか?通ってないか?ってことのほうが重要なので。

一方で、単語脳の人は、もうホリエモンは耐えられないかもしれない。
「バカ」とか「カス」とか入ってきた時点で、
「サイテー!」
ってなってしまうんで。

ここを見極めなきゃいけないですね。

相手が『単語脳』なのか『文脈脳』なのか。
単語脳の人には単語脳の話し方しなきゃいけないし、文脈脳の人には文脈脳の話し方しなきゃいけない。っていう話です。

まとめ

おもしろい話ができるかどうかは、才能ではなく気配りである。

気をつけなきゃいけないことは2つ。
1. 自分に許されたプレゼン時間を見極める。
2. 相手が「単語脳」なのか「文脈脳」なのかを見極める。
この2つを気をつけてみてください。

ということで、今朝は「話を伝える時に気をつけなきゃいけないこと」についてお話しました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

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