インターネットは世界に繋がっていないbyキンコン西野
このnoteは2020年8月1日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:楽しい家族 くにひこ&みお&りお さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
「インターネットは世界に繋がっていない」
というテーマでお話しします。
僕は、「Salon.jp」というオンラインサロンのプラットフォームを運営しています。
昨日、「オンラインサロンオーナーに必要な能力は何ですか?」と訊かれて、僕なりの答えを返したのですが、なかなかイイ答えだったので、ここで共有したいと思います。
オンラインサロンオーナーの仕事はいくつかあるのですが、その一つに、「インターネットの世界を拡げる」というのがあると思います。
なんか難しそうなので、頑張って説明しますね。
恐らく多くの方が勘違いされていることだと思うんですが、インターネットって無条件で世界中にアクセスできるわけではありません。
当たり前ですが、僕らがググる時は、自分が知っている(聞いたことがある)ワードを入力します。
くわえて、ネット上の、あらゆるサービス、あらゆる宣伝は、あなたに最適化しているので、あなたがダイエットに興味があれば、あなたのタイムラインに流れてくる広告はダイエット商品なんです。
間違っても、ランボルギーの中古車情報とかは流れてこない。
ネット上にはとんでもない量の情報が転がっていますが、検索の仕様上、広告の性質上、僕らは自分の知識の周辺の情報しか手に入れることができていないんです。
気を抜いていると、むしろ世界は狭くなってしまう。
テレビを情報源にしている人が取り扱っているインターネットに、「オンラインサロン」という言葉が登場したのって、おそらく、この1年ぐらいだと思います。
もしかすると、まだ入っていない人もいる。
逆に言うと、僕が触っているインターネットには、「今、人気の俳優さん」とかが入っていないんです。
どれだけ検索しても辿り着かないんです。
世の中に存在していないことになっている。
ここは僕も勘違いしていました。
テレビに出ていた時は「私、テレビ見ないんですアピール」をしてくる人に対して、少し苛立ちを覚えていて、今でも「わざわざ言うなよ。大人として失礼だろ」と思う気持ちはあるのですが……その一方で、その人側に立ってみると、テレビの人達が無意識に匂わしてくる「私のこと、当然、知ってるでしょ」があって、「テレビ見ないんです」と言いたくなる気持ちも分からなくもない(笑)
僕自身、自分の個展会場に来てくださった方から、「私、フジテレビの…ね、知ってるでしょ?」みたいな感じで挨拶されることがあるんですが、フジテレビのADさんなのか、編成の方なのか、はたまたアナウンサーさんなのか、本当に分からないんです。
さすがに僕も大人なんで、「あ〜、お忙しい中、お越し下さって、ありがとうございます」と言うのですが、言いながら、「この人、誰だ〜? もう少し情報をくれ〜」と思っています(笑)。
それでいうと、僕の周りの友達ほぼ全員、テレビ局の看板アナを知りません。
家にテレビはないので、情報を収集するツールは必然的にスマホになってくるのですが、彼らがアクセスする情報の周辺に、テレビ局の看板アナがいないので、彼らのスマホには入っていないんです。
それぐらい、インターネットっていうのは、繋がっているようで、繋がっていないんです。
僕、東京だと、まだそこそこ頑張っているヤツみたいに扱われるのですが、地方に行くと、「テレビに出れなくなった人」みたいな扱いになるんです。
インターネットは世界中に接続しているハズなのに、地域によって情報の格差が半端ない。
そりゃそうなんです。
検索するワードを教えてくれるのは、自分の周りの友人・知人だったりするので、たとえばベンチャー企業を立ち上げようとする知人が身近にいなかったら、その界隈の情報を自分が知り得ることはない。
テレビが情報源になっている方のタイムラインに流れてくるのは「タレントの不倫のニュース」とかです。
ネットはその人に最適化しますから、タレントのニュースを面白がって開いてしまう人の元には、同じような情報が流れ始める。
これが情報社会の大前提です。
んでもって、ここから話が大きく変わりますが、キングコング西野が成功していか否かはさておき(そんなことは貴方が勝手に決めて)、僕が他の人と大きく違うのは、「軌道に乗った仕事を捨てる」ということだと思います。
ここ不思議ですよね。
あれやこれやと試行錯誤を繰り返して、ようやく仕事が軌道に乗ったと思ったら、すぐに捨てちゃうんです。
とにかく僕は実験が好きなんですね。
知らないことを知りたくてたまらない。逆に、知っちゃったら用が無い。
これは「卵が先か、ニワトリが先か」みたいな話なんですけども、僕のもともとの性格だったのか、それとも、環境がこの性格を生んだのかは今となってはもう分かりませんが、一つ確かなことは、「軌道に乗っている仕事をコンテンツにしているオンラインサロン」って伸びないんです。
ある一定のところで、会員数の伸びが止まってしまう。
理油は、情報が偏ってくるからです。
軌道に乗った仕事に根を張ってしまった人がアクセスできる情報に偏りが生まれてきて、まもなく、発信内容が似通ってくる。
サロンメンバーさんからすると、「もう、聞いたよ」となるわけですね。
だから、サロンを成長させようと思ったら、軌道に乗った仕事をバンバン捨てなきゃいけないんです。
僕の場合は少しズルくて、「捨てる」といっても、後輩にあげているので、実質、捨て切ってはいないのですが(笑)。
だから面白いのが、僕が手がけているプロジェクトよりも、後輩が手がけているプロジェクトの方がスケールが大きかったりするんです。
後輩がブロードウェイのミュージカルとか、ウン千万円をかけてVRの開発とかをしている裏で、僕は最近、トイレットペーパーの開発に精を出しているのですが、それでいい。
半ば強制的に、今の生活圏(情報圏)を飛び出す。すると、検索内容が変わってきて、僕が触っているインターネットの世界が一変するんですね。
そして、どうすれば各家庭にトイレットペーパーが届くのかを必死に考え、その考えをまとめて、サロンに投稿する。
そうして、新しいネタを提供し続けて、サロンメンバーさんが触っているインターネットの世界を拡げていく。
今年、年末に映画『えんとつ町のプペル』があるんですが、それが一段落ついたら、後輩のプロジェクトの援護射撃をしながら、たぶん、僕は「農業」とか始めちゃう。
「農作物って、こういう風に作って、こういう風に届けたら、農家の方のお仕事がもっとラクになるじゃん」とか言い出すと思います。
それが終わったら、今度はサロンメンバーさんの老人ホームとか作っちゃう。
そうして、半ば強制的に、自分が検索するワードを散らして、その周辺の情報を仕入れて、インターネットの世界を拡張し、サロンメンバーに伝えていく。
これが、コミュニティー型のサロンオーナーに求められている仕事だと思います。
というわけで、
「インターネットは世界に繋がっていない」
というテーマでお話しさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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