見出し画像

「なぜ、その答えに至ったか?」を考えずに自滅する人 byキンコン西野

このnoteは2020年9月30日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:ささざきこういち さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「『なぜ、その答えに至ったか?』を考えずに自滅する人」
というテーマでお話しします。

昨日、YouTubeの方にアップした『えんとつ町のプペル』はご覧いただけましたでしょうか?
自分で言うのもアレですが、本当に最高だったでしょ?
僕じゃなくて、「スタッフさんの仕事っぷりが」ですよ。

大人はああいう希望を見せて欲しいと本当に思っていて、それこそ、コロナの累計の感染者数を報道して悪戯に不安を煽ったり、「憶測で自殺の原因を語ることに何の意味があるんだよ」と思っています。

やっぱり僕は、手放すには惜しすぎる世界を作って、届けて、「こんな世界があるのなら、自分ももうちょっとだけ頑張ろうかな」と思ってもらえるような、そういった流れを作ることに終始しようと思います。

 
その為には、表現活動の表層部分だけと向き合っていても仕方ありません。
誰も形にできていないものを形にする為に、「なぜ、これが実現できないんだ?」という問いを繰り返して、一つずつ問題を解決していかなくちゃいけない。

それは経済的な理由もあるし、あるいは宗教的な理由もある。

ここを、ほじくり返して、一つずつ一つずつ、丁寧に。

その際、誰を説得しなければ、話が進まないのであれば、そこに足を運ぶ。
ロジックで伝わる人にはロジックで話して、感情を優先する人とは、朝まで呑み明かして「よく分からんけど、お前やったらええよ」という言葉をいただいて、そして家に帰ったら、ひたすら作業机と向き合う。

で、そこでまとめたレポートを、毎日、オンラインサロンに投稿しているのですが、「こうで、こうで、こうだら、こう!」といった感じで導き出した打ち手が、平凡な場合もあるんですね。

 
たとえば、3週間ぐらい前から、月額2000円で、毎月1冊の絵本を国内外の子供達に贈る『こどもギフト』というプロジェクトをしているのですが、そこだけ切り取ると、そんなもん「ユニセフ」だって、やってるじゃないですか?
目新しくも何ともないですよ。

ただ、この至極シンプルな「支援のサブスク」は、誰でも再現できるかというと、できないと思います。

今、ここには750名の支援者が集まっているのですが、ここに750名も集まる理由がミリ単位で説明できないからです。

「どうして750名もの支援者が集まっているのでしょうか?」という問題を出した時に、多くの人は「西野に騙されてる」ぐらいしか言えない(笑)

出来事を因数分解できていないんです。

ときどき、「それは、僕も思いついてました」と言われることがあるのですが、価値があるのは「答え」ではなくて、「なぜその答えに至ったか?」という動線の部分で、ここを理解できていないと意味がない。
 

『えんとつ町のプペル』を無料公開した時が分かりやすいかもしれません。
お母さんは時間とお金に余裕が無いから、「アタリ」が約束されている絵本にしか手を伸ばさない。

というわけで、「自分が子供の頃に読んでもらった絵本を、自分の子供に買い与える」というループに入り、絵本業界は今尚、半世紀前に出た絵本が書店で平積みされています。

皆、「ネタバレ」を恐れていますが、こと絵本に関しては、「そもそもネタバレしているところからがスタート」なんですね。

ならば、「一人でも多くの人にネタバレした方がいいだろう」と考えて、絵本『えんとつ町のプペル』を無料公開したところ、信じられないぐらいヒットしました。

それを受けて、「なるほど!無料公開って売れるんだ!今は無料の時代だー!」という運動が出版業界で起きて、その直後に、新しく出る小説を無料公開した出版社が現れて、大きな話題になったのですが、全然売れなかったんですね。

 
これこそが、「回答だけを知っていて、そこに至るまでの動線を理解していない」の典型です。


スマホで見る絵本と、本屋さんに売っている絵本って、「価値」が違うんです。

スマホで見る絵本が提供しているコンテンツは、絵や文字などの「情報」です。
 
一方で、本屋さんで売られている絵本が提供しているコンテンツは、「情報」の他に、「インテリア」や、読み聞かせという「コミュニケーションツール」だったりします。

スマホで読み聞かせなんてできないんです。
シンプルに画面が小さいからです。
あと、絵本『えんとつ町のプペル』の無料公開は、読み聞かせしにくいように、縦スクロールにしました。
 
つまり、『えんとつ町のプペル』は「情報は無料だけど、インテリアとコミュニケーションツールは有料ですよ」という風に、明確に線を引いた。

一方で、小説が提供しているコンテンツって、スマホであろうと、本屋さんで売られている本であろうと、どちらも基本は「情報」です。

ときどき「紙の匂い」という方もいらっしゃいますが、珍しいケースです。

「情報を販売しているのに、情報を無料にしてしまうと、そりゃ情報は売れないよね」という至極当たり前の話なんです。

あれは、勉強不足によるムダ死にです。

それともう一つ。

マーケティングを学んでいる人からすると当たり前の話ですが、「フロントエンド」と「バックエンド」というものがあります。
たとえば、吉野家でいうと、フロントエンドは「牛丼」で、ここでお客さんを集めているのですが、実は牛丼では利益が出ていない。

バックエンドである「ポテトサラダ」などのサイドメニューで利益を出しているんですね。

フロントエンド」は客寄せ商品で、「バックエンド」は利益を生む商品だという理解でいいと思います。

それでいうと、「えんとつ町のプペル」という絵本はフロントエンド商品なんです。

利益を生むのは、その裏側を語っているオンラインサロンだったり、それこそ2次利用されるグッズやミュージカルだったり。

なので、「えんとつ町のプペル」は無料でも全然構わないんですね。
バックエンドが設計されているから。

ただ、小説を無料にしてしまうと、「どこで利益を生むの?」という話で、こういう基本的なところを抑えていない。

それもこれも「無料公開」という答えだけをマネしてしまっているから起きる事故です。

なので、オンラインサロンでは、「なぜ、その答えに至ったか?」という部分に重きを置いています。ここに意味があるので。

今日は【「なぜ、その答えに至ったか?」を考えずに自滅する人】について、お話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
んでもって、ビジネス書に掲載するレベルのコラムを毎朝投稿しています。
興味がある方はコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?