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僕らは今、何を問われているのか? by キンコン西野

このnoteは2020年4月14日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:むろ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「僕らは今、何を問われているのか?」
というテーマでお話しします。

神様に問われていることは何か?

新型コロナウイルスの話です。

国によって違いますが、少なくとも日本においては、失業者と自殺者の数が
相関関係にあるようで、まずはここを食い止めないといけないなと思っています。

僕は、「国を守る」みたいな大それたことはできませんが、ただ、身の回りの人を守るだけの体力や影響力は持ち合わせているので、まずは自分がやれるところからやろうと考えています。

そこで、3日前から、現在4万6000人(※2020年4月時点)になるオンラインサロンメンバーの中からお仕事を生み出す働きかけをスタートさせました(2020年6月時点では6万6000人)。

うちのオンラインサロンには、おそらく2万人くらいの経営者さんがいると思われますが、4日前に、その経営者さんたちに向けて「ちなみにサロンメンバーを雇いたい人っています?」と投げたところ、ものの10分程度で100件ほど手が上がりました。

それを見て、仕事がないわけではなくて、仕事のマッチングがスムーズにいっていないんだけなんだと確信し、1日でシステムをつくってみました。

サロンメンバーの会社で働きたいサロメンバーと、サロンメンバーを雇いたいサロンメンバーの会社のマッチングサイトです。

立ち上げ時に、まずは「今日から1カ月以内に100人以上の雇用を創る」と宣言して、あれから3日が経ったんですけれども、この3日で36名の雇用が生まれました。

約束通り、1カ月以内に100人以上の雇用を生みたいと思います。

そして今、僕らのチームは、絵本3作と、映画1本と、ブロードウェイミュージカル1本と、新作のVRの制作をバッキバキに進めている最中ですが、当然、自分たちのことばかりしてる場合ではないので、ここ2週間くらいは、仕事の合間を見つけては、新型コロナウイルスの対策、具体的には、サロメンバーの会社やお店の応援支援、雇用の創出などに当たっています。

「こうすれば当面のキャッシュを確保できる」、「こうすれば仕事を作れる」といったように、ここ最近は、まるで複雑すぎる知恵の輪を解くような日々を送っています。

そして、新型コロナウイルスというものと向き合えば向き合うほど、「神様」のようなものと対峙している感覚に陥ってきて、「今、僕は新型コロナウイルスから何を問われてるんだろう。何を突きつけられているんだろう」とを考えてしまうんですよね。

もちろん、当面のキャッシュを調達したところで、その場しのぎでしかないことはわかっています。

ただ、その他の施策を打った時も、あれやこれやと仕掛けた時も、「そういうことじゃねえから」と言われているような気がして、どうやら今回は、もっともっと大きなテーマがあるんだろうなと感じていました。

そして、ここ数日で、新型コロナウイルスからのメッセージみたいなものなんとなく聞き取れるようになったんですけれども、結論申し上げますと、たぶん僕らは、「もっと人を信頼しろ」と言われているんだと思います。

一部では、今回の感染症の流行はグローバル化によるものだと言われています。
つまり、交通の便が良くなって人類が地球上を移動しやすくなったことが原因だと言われているんですけども、歴史をさかのぼると、14世紀にペストが流行した時も、7500万人から2億人という人が命を落としたんです。

当時は、飛行機もなく、移動がそれほどスムーズではなかったにも関わらず、それだけの流行があって、たくさんの人が亡くなりました。

つまり、今みたいにカジュアルに移動することができなかったのにも関わらず、今以上に、国と国の間は分断していたのにも関わらず、ウイルスが出回って、たくさんの人が命を落としてしまったということです。

そこからグローバル化が進んで、移動がカジュアルになって、言ってしまば、病原体を配達しやすくなったのにも関わらず、当時ほどの被害を生んでいない背景には、情報の共有というものがあります。

所有ではなく、共有だ


情報の共有によって、病原体を発見するスピードが上がり、適切な対応を取れるようになった。結局は、これが僕たちを守ったということです。

情報の共有というものが、人類をつくっています。

そして、昨日、オンラインサロンに、この話とはまったく別軸で少し先の未来の話を書きました。

「まず間違いなく、2年後には僕らは○○を求めるようになる、そこに新しいビジネスが埋まってる」という内容です。

その説明をする時に、人間を「オールドタイプ」と「ニュータイプ」に分けたんですが、オールドタイプとニュータイプの思想の違いは、むっちゃくちゃわかりやすくて、「所有」か「共有」かなんです。

オールドタイプの人というのは、とにかく所有したがります。車にしても家にしても別荘にしても、情報にしたって、自分の頭に詰め込みたがる。

一方、ニュータイプは共有するんです。「車も家もシェアでいいじゃん」、「情報にしたって、みんなで google に集めて、そこから必要な情報を引き出せばいいじゃん」という発想です。

これはくれぐれも、「オールドタイプがダメ」とか「ニュータイプがいい」とか言ってるわけではありません。それぞれのタイプの話をしているだけです。

今回のコロナの騒動で、トイレットペーパーや食糧を買いだめた人というのは、オールドタイプの人で、彼らは、やっぱり自分の家に置いておきたいんですね。

一方、ニュータイプの人は、それとは違って、「無理に手に入れなくても、誰かが持っているから借りればいい」という考えで、その代わり、誰かとつながっていることを重視します。

トイレットペーパーを取りに行くか、それともトイレットペーパーを持っている誰かとのつながりを取りに行くかという話です。
これは、生き延び方としてはどっちも正しいと思います。

ただひとつ言えることは、トイレットペーパーを取りに行った人は、自己完結していて、自分の身を守るのは自分で、助けてもらうことを想定していません。
悪く言うと、助けてくれる人の存在を信じていないということです。

今回の問題はここにあると思いました。皆、分かっているんです。

「せーの」で全員が2週間外出を止めたら、こんなウイルスはいとも簡単に潰せるんです。でも、それができません。
生活していかなければいけないから、自分の店を守らなくていけないからです。

でもそれは、自分の店を守る人が自分しかいないからじゃないですか。

極論、例えば「飲食店を経営する田中さんの店の家賃や生活費を、このコロナの期間中はキングコング西野が負担します」とすれば、田中さんは店を休めるわけです。

ところが、なんとなく僕らは、家族を養うことはしても、社員を養うことはしても、それ以外のつながりに関しては、各自自己責任でいった感じで、線を引いてしまっている。

会社という仕組みが生まれたのは、ここ数年の話で、人類の歴史で見たらただの流行りです。

「助かりたければ分断するな」「もっとつながれ、もっと信頼しろ」と、神様に言われてる気がしました。

ただ、こんなことは誰かに期待したところで始まらないので、今自分が出来るところから率先してやっています。

つまり、キングコング西野は今、オンラインで十二分に働ける状態にあるので、この期間はもう西野が働いて、西野が稼いでその稼ぎをみんなでシェアしようと。

でも、僕の場合の『みんな』は、『国のみんな』みたいにそこまで大きいスケールではなく、『身の周りのみんな』です。
10年後は、僕が助けてもらうことになるかもしれないから、その時は迷わず助けてもらう。

そういった感じで、家族や会社単位で分断するのではなくて、身の回りの人すべてを信頼してつながっていかないと、今回の相手は倒せない気がしています。

今回の相手は、神様的なやつで、「お前らいい加減気付けよ」と言われてるんだなと思いました。引き続き頑張ります。

というわけで、
「僕らは今、何を問われているのか?」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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