テスト前に掃除を始めてしまう自分を殺す方法byキンコン西野
このnoteは2020年2月19日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:白井陽介さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね
テスト前に掃除を始めてしまう自分を殺す方法
というテーマでお話ししたいと思います。
行動理由をミリ単位で言語化しろ
僕も結構あるんですけど、やらなきゃいけないことがあるときに限って他のことに手を出しちゃうことってあるじゃないですか。
ふだん掃除とか全然しないくせに、母ちゃんから「掃除しろ」とか言われてるときは全然やらないくせに、テスト前に勉強しなきゃいけないときに限って急に掃除を始めたりするアレのことですね。
掃除に時間を割けば割くほどテストの結果が悪くなることぐらいわかってるじゃないですか。僕らは。それでも僕らはテスト前に掃除を始めちゃう。
できればやめたいですよね。
そこで止めるためにはどうしたらいいのかっていうのが今日の本題です。
まずはですね、なぜ自分はテスト前に掃除を始めてしまうのか、ということを理解しておくことが重要だと思います。
テスト前に掃除を始めてしまう理由が立派なものであれば、きっと僕らは今後も続けるだろうし、
一方で、テスト前に掃除を始めてしまう理由がむちゃくちゃダサいもんだったら、ちょっとダサいからやめようかなって思うはず。
だって、ダサいことやりたくないじゃないですか。
僕らがテスト前に掃除を始めてしまう、っていう謎行動についてなんですけど、実はこの謎行動をとってしまう理由は解明されていて、調べたらいくらでも出てくるんです。
こういうのは、セルフハンディキャッピングっていいます。
セルフハンディキャッピングあんま聞かないですよね。こういう言葉。
これは何かというと、失敗した時の言い訳を用意しておこうという心理作用ですね。
つまり、テストの点数が悪かったのは自分は持っている力のすべてをテスト勉強に割かなかったから、といった感じで、悪い結果に対して自分が過度に傷つかないように予防線を張ってるんですね。
「俺はまだ本気を出していないだけ」っていうやつです。
こう聞くと途端にダサく思えてこないですか?
「俺はまだ本気を出していないだけ」って言ってる人、ダサいじゃないですか。
これがわかっているとテスト前に掃除を始めている自分に対して「きたきた、予防線張り始めてるぞオレ」と思うわけですから、このときに初めて掃除の手が止まる。ちょっとやめようかなってなる。
予防線張ってるって思いながら操縦を続行することって、なかなかハードル高い。
どうやら僕らは傷つきたくない生き物である、ということですね。
だから、あの手この手で言い訳を事前に作っておく。
セルフでハンディーキャップを作っておく。
この行動、もう少し解像度を上げて向き合った時にですね
たとえば、掃除をしたから今回テストの点数悪かったって言ってる友達に対して「ああそれは仕方ないよね」って思います?
思わないですよね。「いやいや掃除するなよ」と思いません?
それこそ、「体調が悪かったから今回は結果が出せなかった」って言ってる上司がいたら「いやいや体調整えとけや」って思うじゃないですか。
それも仕事だろうと。「何お前体調崩してるんだよ」って思うじゃないですか。
つまり、セルフハンディキャッピングっていうのは、自分に対しての言い訳としては機能しているんだが、他人に対しては言い訳として全く機能していない、という話ですね。
言い訳として機能していないどころか、むしろダセェとなっちゃってる。
むしろ仕事ができないとなっちゃってる。
自分のポイントを著しく下げちゃってる、っていうことですね。
そこを理解していれば、テスト前に掃除を始めてしまう自分を殺すことができる。
僕はかれこれ20年ぐらいエンターテインメントを生業としているんですけれど、エンターテインメントというか、サービス業全体の職に就いている人っていうのは、人の行動や感情コントロールするのが仕事なんですね。
感情をコントロールするのが仕事って、なんか急に怖い響きがありますが、そんな事はなくて。
劇場に足運んでもらわなきゃいけないし、笑ってもらわなきゃいけないし、感動してもらわないといけない。ってことですね。
それができなかったら僕たちは仕事にならない。
だから、自分がお客さんとしておもしろいものをみた時、「あー、おもしろかった」で終わってはダメで、なぜおもしろかったのか?っていう説明ができなきゃいけない。
楽しかったことに対して、なぜ楽しかったのか。
感動したことに対して、なぜ感動したのか。
サボってしまうことに対して、なぜサボってしまうのか。
ということをミリ単位で言語化しなくちゃいけないし、そういった行動感情に行き着くことになる数式をミリ単位でかけなきゃいけない。
そんなエグめの国語と算数を日常的にずっと繰り返しています。
行動とか感情を言語化、数式化するクセは、自分を律する上でもお勧めですし、何より人という生き物がすごく愛しく思えてくるのでオススメです。
なんでもかんでも完璧にしてしまうとつまんないっていうか。
もうそれだったらAIでいいじゃないですか。
2020年ですよ。昔とちがって、完璧な人間に何の価値もない。
AIみたいなものが出てきたら、今の時代はもはや、やらなきゃいけないのにサボってしまうっていうだらしなさとか、こころのぶれ、一貫性のなさ。
そういうところに価値が出てくる。
あとは、そのだらしなさをいかに愛おしくコーティングするかですね。
「あいつダメだけど憎めないよね」みたいな。
愛おしくコーティングできれば、それはビジネスになるんです。
もう落語みたいな世界ですよね。
ここから先は、僕のサロンでいま一番盛り上がっている「キャラ経済」の話で。
貨幣経済、評価経済、信用経済みたいなものがあったとして、まちがいなく次にやってくるのは「キャラ経済」なんです。
ただ、キャラ経済の話をはじめるとむちゃくちゃ長くなってしまうので、また別の機会にお話ししたいと思います。
とりあえず今日はですね
テスト前に掃除を始めてしまう自分を殺す方法について
お話しさせていただきました。
セルフハンディキャッピングっていう心理作用が働いているよ
っていうのが今日の結論です。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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