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そこに感情を持ち込むのならサービス業なんて辞めてしまえ byキンコン西野

このnoteは2020年8月23日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:みなさんありがとうございます かねこゆうみ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「そこに感情を持ち込むのならサービス業なんて辞めてしまえ」
というテーマでお話しします。

今日は少し踏み込んだ話をしたいと思います。

人によっては耳の痛い話になるかもしれませんが、逃げずに聞いていただきたいです。
ちょっと声を荒げちゃうかもしれないので、先に謝っておきます。
ごめんなさい。


10年、20年前に比べて、今、「時代のルールが変わるスピード」って上がってきています。
新型コロナウイルスが、それをさらに加速させた感もあります。

たとえば、つい1〜2年前は「芸人がYouTubeやりやがって」みたいなことを言っていた芸人が、今は、こぞってYouTubeを始めている。
たった1〜2年で戦い方が変わるし、変わっていかなきゃいけない。

「変わる」というのはどういうことかというと、「改めるべきところは、改める」ということで、もう少し厳密に言うと、「改めるべきところを、素直に認める」ということですよね。


僕は19〜20歳の頃に、子供の頃から憧れていたテレビの世界に飛び込んで、一生懸命頑張って結果も出したんですけども、ある時、スマホというものが出てきて、SNSというものが出てきて、YouTubeというものが出てきた。

そうすると、僕が子供の頃から信じていたテレビのお仕事のいくつかは、それらによって「もう必要ないよ」と言われたんですね。

「時代のルールが変わる」というのは、そういった「お役御免」の連続です。

新型コロナウイルスによって、「ちょっと、ひな段は厳しいよね」と言われたわけじゃないですか?
「あなたがこれまで信じてやってきたことだけども、ここは、改めるべきポイントだよ」と言われたわけじゃないですか?


これを「否定」として捉えちゃう人が一定数存在します。

…というのも、昨日、オンラインサロンに投稿した記事は「ギフトと広告」というテーマだったのですが、そこにはこう書きました。

「お店がオープンする時や、周年イベントの時に、僕らはお花を贈りますが、お花はイベントが終われば(贈られた側は)処理に困ります。ここで一番オイシイ思いをしているのは、実は、お花を贈られた側ではなく、お花屋さんです。

①応援したいお花屋さんがある。
②自分たちがお花屋さん経営している。


…このいずれかの条件を満たしていれば『友達の店にお花を贈る』という行為に無駄がないのですが、僕らはこの条件を満たしていないのにも関わらず、日頃、友達の店にお花を贈ることに疑いを持っていません。シンプルに勿体無いです。そこで…」


…とまぁ、このあと、「友達が店をオープンする時や、周年イベントの時に、これを贈れば、具体的に友達の店を応援できるし、友達もメチャクチャ喜ぶよ」という代替案を出したのですが、これを受けて、コメント欄に「ショックですぅ〜」とか「お花はイイものですっ!」というコメントが、お花屋さんから届いたのですが……ちょっと厳しく聞こえちゃうかもしれませんが、言わせてもらっていいですか?


そんなこと言っていたら、終わるぞ。


「お花はイベントが終われば処理に困る」というのは事実です。
ギフトの代替案があるということは、「ギフトが多様化している」という事実もある。

実際、お店を営まれているサロンメンバーさんは、僕が出した代替案に対して、「絶対に、そっちの方が嬉しい」と言いました。
これも事実です。

別の仕事に置き換えて考えてみたら、分かると思います。

たとえば…

・ガラケーをずっと作ってきたメーカーがあったとして、ある日、スマホが出てきました。
・人々は、もうスマホを選んでいます。
・「ガラケーって、○○と○○ができないよね。でも、△△と××の条件を満たしていれば、まだ使える」という意見が飛んできました。

これに対して、「ショックですぅ〜」とか、「ガラケーはいいものですよ!」とか言っているメーカーがいたら、どう思います?


それは、お前の感情であって、お客さんの気持ちを後回しにしているじゃないか。
「サービス」って、そういうことじゃないだろう?


僕の絵本って、描き込み量が多いんです。
当時は、「こんな絵本、要らない」と言われたんです。
「子供が理解できない」と。

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子供の判断ではなく、親が判断しているんです。
「きっと、子供は、こんな描き込んだ絵本は理解できない」と。

これ、ムチャクチャな話じゃないですか。

「じゃあ、なんで子供は『千と千尋の神隠し』は観るんだ?」という疑問がある。

「子供という生き物は、アニメーションの時は画像処理能力は高くて、絵本になった途端に画像処理能力が落ちて、『ノンタンといっしょ』しか読めなくなるのか?」と。

正直、「それは、貴方の偏見であり、貴方が空想している子供像でしかないよ」と思ったけれども、「きっと、子供は、こんな描き込んだ絵本は理解できない」と親が思ったことは事実じゃないですか?

そして、「絵本は親が買う」というのも事実です。

それに対して、僕が「ショックです〜」と言ってたら、何も始まらない。
僕が「描き込み量の多い絵本は、いいものです!」と言い続けたところで、何も始まらない。


事実を受け止めて、届け方を考えるしかないし、事実を伝えてくれる人を恨むなんて、もってのほか。
事実を伝えてくれる時代を恨むなんて、もってのほか。
 

僕はサロンメンバーだからといって全肯定はしたくなくて、時代の変化に自分の感情を持ち込んで死んでいった人を山ほど見てきているので、やっぱり見て見ぬフリはできない。

 
時代が懇切丁寧に改善点を指摘してくれているのに、そこには耳を傾けず、
「ショックです〜」とか、
「傷つきました〜」とか、
「お花はいいものです!」とか……

「お花」を否定しているわけじゃない。

「ひな壇は厳しよね」というのは、「お笑い」を否定しているわけじゃない。

「お花」も素晴らしい。
「お笑い」も素晴らしい。

ただ一つ、

「時代が改善点を提示した以上、届け方を改めろ」という話です。

そこで「傷ついた」という姿勢を表明しちゃうと、もう誰も貴方に耳の痛い本当のことを言ってくれないぞ。

ちゃんと時代と対話して、
ちゃんとお客さんと対話して、
相手が意見を言いやすい環境を作って、
その上で、自分が扱っているコンテンツが、今、いかほどの価値を持っていて、
ストロングポイントとウィークポイントを明らかにして、改善を繰り返すしかない。

それをしないと、お前が守りたいものが、守れなくなる。


今日の内容は特定のサロンメンバーさんに向けた「説教」みたいになっちゃいましたが、もう伝えることは僕が1から100まで伝えたので、くれぐれも、僕の意見に同調して「そうだそうだ!」と、そのサロンメンバーさんを非難することは絶対に辞めて欲しいです。

むしろ、僕に説教されて傷ついていると思うので、全力でフォローしてあげてください。

なんか熱くなっちゃってごめんなさい。
言いたいことは3つです。

「事実から逃げるな」
「改善から逃げるな」
「そこに感情を持ち込むな」

ちょっと口は悪いかもしれませんが、メチャクチャ応援しています。

一緒に頑張って行きましょう。
好きです。


というわけで、
「そこに感情を持ち込むのならサービス業なんて辞めてしまえ」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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