20190927_ファンの作り方__感情のN字曲線を描け_

ファンの作り方 -感情のN字曲線を描け- byキンコン西野

このnoteは2019年9月27日のvoicyの内容を文字起こししたものです。

どうもこんばんは。
キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をやったり絵本作家をやったり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を運営したり、
美術館を作ったり映画を作ったり、
そういったエンターテインメントにまつわるお仕事をしている人間です。

第2回の今日はですね、
第1回の続きになるんですけども
『ファンの作り方』というお話をしたいと思います。

第1回ではですね、
インターネットが普及して
あらゆるサービスのクオリティが上がって均一化されて、
サービスのクオリティで差別化を図るのがすごく難しくなってきて、
どっちかっていうと、
「どの店に行くっていうよりかは誰が働いてる店に行く」
っていうように、

「『店検索』から『人検索』をするようになってきてるよね。」

「今大事なのは、信用だとか、ファンを持つっていうこと。
それは個人ひとりひとりがきっちり応援者を捕まえておかなきゃならない。
そういう時代に入ってきたよね。」

っていうところで第1回は終わったんですけども。

今回は、
「じゃあ、ファンというものをどうやって作るんだ?」
っていう話です。

自分はオンラインサロンを運営しているからすごく見えてくるんですけど、
オンラインサロンって毎日、『入会者』と『退会者』が出るんですね。

それを見ているとすごく顕著に出るんですけど、
実は仕事が結構うまくいっている時っていうのは
入会者が増えなくてですね。
うまくいってようが、うまくいってまいが、
挑戦している時は増えるんですね。

つまり「来週どうなる!?」
っていうカードをずっと切っている時の方が
実は応援者っていうのは増えて、
ずーっとうまくいってると
応援者がちょっとずつちょっとずつ減っていっちゃう。

モデルにした方がいいのは
連載漫画の主人公とかがそうだと思うんですけど。

例えばワンピースのルフィが
第1話からずっと連戦連勝で、余裕で勝ち続けてどんなライバルがきても余裕で勝ち続けてっていう、
そういった物語だったら
多分ワンピースはあそこまで人気になっていなくて。

やっぱりルフィが海賊王になるって言っているのに時々負けたりだとか時々逃げちゃったりだとか。

「じゃあ、そこからどうすんの?」
「どうやってルフィここから巻き返すの?」
っていうところに
一番視聴率が発生して興味が発生して、
その瞬間に応援者が増えるっていうことですね。

つまり一回ドンって落ちてもう一回上がる瞬間に応援者が増えると。

ヒット漫画だとかヒットドラマだとか、はたまたヒット映画だとかこういったものって法則がやっぱりあってですね。あるんですよ。

それが何かって言うと、
例えばですね、
お客さんって何を見てるかというと、
やっぱり主人公に感情移入して物語を追っかけているので、
大事なのは主人公の感情曲線なんですよ。

ちょっと難しい言葉なんですけど、
例えばヒットドラマの主人公の感情曲線ってもうちゃんと型があってですね。

最初60点ぐらいからスタートするんですね。
だんだんだんだん上がっていって調子良いんですよ。
右肩上がりなんですよ。

だけど、
どこかのタイミングで強烈なライバルなのか、凄いトラブルに巻き込まれてこの感情が0点ぐらいまで落ちちゃう。
その瞬間仲間も逃げてって離れてっても誰もいなくなってひとりぼっち。

でも、やっぱり海賊王にならなきゃいけない
っていうことで、ここからもう1回、
0からグググググって上がって100点を目指すんですけど。

そうした時にこの主人公の感情曲線っていうのは
基本的に『N字型』を描いている。
アルファベットの『N』の形です。

これを自分に置き換えなきゃいけないっていうことですね。
応援してもらう人は。

例えばキングコング西野で言うとですね。

一生懸命お仕事をがんばってがんばって、
がんばってやってきたんですけど、
どっかのタイミングで好感度低い芸人みたいになっちゃって、
好感度が落ちちゃって国民の皆さまに嫌われてしまった。

そんなこと言ってたって仕方がないから
「もうちょっと頑張ろう」って頑張っているうちに、
「あいつそんな悪いやつじゃないんじゃないの?」っていうことで
国民の皆さんもOKOKって言ってくださるようになって、

要は最初60点から80点ぐらいはまで上がったんだけど
やっぱりドーンと落ちてもう一回上がってきている。

結論から言うと、ただ上がり続けたら駄目なんですよ。
そのまま上がり続けてしまうと『応援しろ』が減っちゃうっていうことですね。
やっぱり一回落とさなきゃいけないですよ。

落として上がる瞬間、このV字を描いた瞬間に
一番視聴率が発生して応援者が増えるので、
やっぱりもう一回V字を作る為にはもう一回落とさなきゃいけないですね。

例えば西野の場合だったらここから好感度を落とすのって、
ちょっと難しいと思うんですよ。

嘘になっちゃうんで。
何か急に僕がいろんなところに悪態ついたりとかしだしたら
「お前ちょっと無理してるだろ」っていう風になっちゃうから。

ここには何かこう説得力がないから、
「じゃあ次何しよっかな?」って考えた時にもう誰でも分かるぐらいのべらぼうな借金を背負ってやろうって思ってですね。

オンラインサロンの中である日突然「美術館を作る」って言ったんですよ。
美術館作ろうと思ったら15億円とかするんですね。

これを何とか用意しなきゃいけないですよ。
当然自分の活動は美術館を作るだけではないので
他にもお金が必要だったりするもんですから、
「この15億円というお金をどうやって用意するの?」
「大ピンチじゃん!」
これがいるっていうことですね。

常に応援してもらう人は
このN字をずっと描き続けていかなきゃいけないっていう。
落とさなきゃいけないっていう。

みんな落ちることをすごく恐れるんだけれど、
これからの時代はですね、
応援者を増やすっていう観点でいくと
「落ちることっていうのは基本的には失敗ではない」
っていうことですね。

なので例えば
オンラインサロンと起業家さんっていうのは
もしかすると実は相性はあんまり良くないじゃないか
っていうのが今自分が思っているところで。

起業家さんはなるべく落ちたくないんで。
会社の社長さんとかって、
落ちてしまうと会社の信用が落ちてしまうと具合が悪いから。

一応例えばねビジネス書とか出している社長さんとかも大体、
「僕はこんな成功しました。」
「こんな数字をたたき出しました。」
っていいとこずっと言っているじゃないですか。

あれは「いいところ言っていかなきゃいけない」ということですね。

「うちの会社借金だらけなんです」
って言ったらもう誰も出資してくれないし具合が悪いから
基本的には落としにくい環境にあるから
ファンビジネスというか支援者を作るっていうのと
結構距離が離れてるだろうなと。

隙間は絶対にあるとは思うんですけれど、
基本的に落としにくいっていうのは
これからは大変かもしれないですね。

これはお笑い芸人に限らず起業家に限らず、
たぶん全ての人がですね、
この「感情曲線のN字をずっと描く」っていうことが
すごく重要になってくると思います。

結論としては、
失敗っていうのは、長期的に見るとそんな失敗ではないということです。
ファンを作るっていうことで見ると失敗っていうのは全然プラスなので、
どんどん挑戦してみてください。

ちょっと長くなってしまいましたが本日は以上です。
キングコング西野亮廣でした。

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