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AIが生成できないものを作る【キンコン西野】

このnoteは2023年7月28日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

舞台『テイラーバートン』のゲネプロを見て思ったこと

 
昨日、舞台『テイラーバートン』のゲネプロがありました。
 
ゲネプロというのはドイツ語の「ゲネラールプローベ」の略で、衣装もメイクもした、本番さながらの通しリハーサルのことです。
 
一般的には、このゲネプロを「関係者向けのお披露目公演」にしたりするのですが、舞台『テイラーバートン』は、関係者も呼びつつ、だけど関係者だけだったら正しい反応が分からないので、一般のお客さんにも一部入っていただくことにしました。
 
そんなこんなで昨日が、初めて一般のお客さんに観ていただく場となったわけです。
 
ちなみに今日は劇場を丸々一日貸し切って、15時から舞台『テイラーバートン』の撮影があるのですが、撮影でも最初から最後まで止めずに通すので、「だったら、お客さんにも観ていただこうよ。リアクションが欲しいし」となり、今日も「撮影見学」という形で、客席にお客さんがいます。
 
「撮影見学チケット」が通常公演よりもお安くなっている理由は、目の前にカメラがあったりするから。
 
「観劇チケット」ではなく、あくまで「撮影見学チケット」です。
 
【オンライン配信チケットはコチラ】
https://chimneytownusa.zaiko.io/e/tayler-burton
 
まぁ、そんなこんなで、舞台『テイラーバートン』は、ようやくお客さんに観ていただける(お客さんにお出しできる)段階に入ったわけですが、昨日、お客さんが入った客席を見て、(ビッグマウスでも過信でも何でもなくて、普通にフラットに見て)「これは、他では見られない」と思いました。
 
一応、僕は世界中のエンタメも見て歩いているので、自分達が作っているものが、どのあたりにランクインされるかは分かっているのですが、伊達や酔狂、ハッタリ抜きで、あのキャパで、あれだけの舞台を作れるカンパニーは世界のどこを探してもいないと思います。

 

 

普段、舞台をあまり観たことがない人がこの話を聞くと、「西野さん、またまた〜」と思うかも知れませんが、いろんな舞台を観てきた人であれば、「あのキャパで、あのレベルの舞台は世界のどこを探しても無いよね」という意見には、おそらく異論は無いと思います。
 
くれぐれも言っておきますが、これは僕じゃなくて、キャストとスタッフの手柄です。
 
僕は現場でヘラヘラしているだけです。
 
 

「空間」はAIには作れない

 
YouTubeに全編無料公開されているミュージカル『えんとつ町のプペル』もそうですが、自分達には「誰も作れないものを作っている」という確信があります。
 
もっとも、その確信がなけりゃ、お客さんに対して不誠実ですよね。
 
時間とお金をいただいているわけだから、「可処分時間の使い道として、ウチを選んだのは正解ですよ」と言えなきゃダメ。
 
今、AIがとんでもないクオリティーで色んなものを生成していて、「自信家」だと思われたら嫌なので正直に白状しますが、僕、かれこれ15年ぐらい絵を描いていますが、画力に関してはAIに抜かれてしまいました。
 
AIよりも絵が下手なんです。
 
もちろん、「こういう絵が欲しい」をドンピシャで狙うには、まだ僕が描いた方が分がありますが、それもまぁ時間の問題だと思います。
 
「静止画」に関してはAIに勝ち目がありません。
 
つまり、「静止画」に関しては、このラジオをお聴きの皆さんが描けてしまう。
 
だけど、確実に言い切れることは、「空間」はAIには作れないんです。
 
具体的なことを言うと、空間作りのヒントとなるような「たたき台のデザイン」はAIに描けてしまうけれど、それを形にしようと思ったら、「人の手」は確実に必要で、リアルな話をすると「土地」も必要なんですね。
 
「人の手」も「土地」も有限で、「優秀な人の手」「優秀な土地」となると、その数はグンと減ります。
 
結局、「手」や「土地」を誰に貸すか?を判断しているのは「人」で、こんなことを言い方をすると、すっごく鼻につきますが、今、このラジオをお聴きの方の多くは、「AI」を借りることはできても、「優秀な人の手」や「優秀な土地」は借りることができないんです。
 
「優秀な人の手」や「優秀な土地」というのは引く手数多ですから(取り合いになっていて、いくらでも仕事を選べる状況にあって、食うものにも困ってないから)、なんなら、お金を積んでも無理なんです。
 
昨日、俳優の吉原光夫さんと、国内外で活躍されている振付師のKAORIaliveさんが観に来てくださっていて、終演後に「来週、呑みに行こう!」という話をしました。
 
その呑み会には、今回、照明演出で入ってくださっているイジツさんにもお声がけさせて頂いたのですが、別に、酒が呑みたいから集まっているわけじゃないんです。
 
皆、クソ忙しい中、スケジュールを合わせているのですが、何の為に集まるかというと、2025年に仕掛けるミュージカル『えんとつ町のプペル』(大劇場版)に向けての意見の擦り合わせの為です。
 
人間同士が何度も何度も会って、意見交換をして、信頼関係を築かないと作ることができないものが「舞台」で、それというのは、AIがあらゆるものを生成できるようになった今、唯一と言っていいほどAIに生成できないもので、メチャクチャ特別なものなんだなぁと改めて思いました。
 
課題としては、「人の手と時間がかかりすぎてしまうから、これをどうマネタイズしていくか?」という部分。
 
この問題とは真正面から向き合って、必ず解こうと思います。
 
それでは舞台『テイラーバートン』の撮影に行ってまいります。
 
オンライン配信をお楽しみに。
 
  

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