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会社に勤めながら『自由』を獲得する方法byキンコン西野

このnoteは2020年9月2日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:ありえゆうじ さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「会社に勤めながら『自由』を獲得する方法」
というテーマでお話しします。

今日は、日頃、よくいただくご質問にお応えしたいと思います。

【質問】
「西野さんがイラっとする瞬間はいつですか?」 


【答え】
この質問に答えた瞬間に「小さい人間だな」と思われてしまうので、なかなかの罠だなぁと思いつつもお答えします。

今、パッと思いつくのは2つです。

一つ目は「あるものへの愛情を伝える際に、わざわざ別のものと比較し、比較対象を落とすことで、自分のポジションを獲得する行為」です。

これをやってしまう人が僕は結構苦手です。

「私は〇〇が嫌いです」というのは分かるんです。
そこは好みの範疇なので、好き嫌いがあって当然だと思うんですね。

そうじゃなくて、よくあるのが……たとえば僕のイベントで「私、西野さんじゃなくて、西野さんのスタッフの○○さんが好きなんですぅ〜」というやつ。

これは何も「僕のことを一番好きであれ!」と言っているんじゃなくて、そこは、わざわざ西野を比較対象に挙げずに、そのスタッフさんに直接「私、○○さんのことが好きなんです」と言って欲しい。

これ、逆も多くて、僕が先輩のAさんのイベントにゲストでお邪魔した時とかに、そのAさんの目の前で、「今日は、Aさんじゃなくて、西野さんを目当てに来ました~」みたいなことを言うバカ野郎がいるんですけど(もう本当にバカ!)、これってAさんも気持ち良くないし、僕も気持ち良くない。

そんなこと言われて嬉しいわけがないんです。

それで気持ち良くなっているの、発言した本人だけです。
「赤レンジャーじゃなくて、青レンジャーに目をつけている俺、どう?」みたいな。

あれは優しくないから、本当に嫌いなんです。

あと、もう1つは、「クレームを入れる前に、確認して」です。

これ、サービス業をやられている方なら共感していただけると思うのですが……

たとえば、先日、「映画『えんとつ町のプペル』のチケット応募者全員に西野が自腹でプレゼントキャンペーン」というトチ狂った企画をしたんですね。


応募は8月29日の17時頃に締め切ったんですけども、それを受けて、「応募を突然締め切られた!今、応募の手配をしていたのにっ!」みたいなクレームがチョコチョコあったのですが、突然も何も、応募規約に「8月末(すえ)に締め切ります」とキチンと書いているんです。

これに関しては、「表現が曖昧だ。『すえ』と『まつ』の捉え方が、『終わりの数日間』か『最終日』かで人によって違う」というご意見もあると思うのですが、「表現を曖昧にしているところも踏まえて、クレームを入れる前に一旦確認して」と思うんです。

もっとあるのが、「商品が届きません!どうなってるんですかっ!」というクレームの9割が、購入者さんの「住所の入力ミス」という地獄です。

「商品が届かないなぁ」と思ったら、まずは店を疑う前に、「自分が入力した住所にミスは無いか?」を疑って欲しい。

「届くはずのメールが届かない」と思ったら、まず相手を疑う前に、「自分が入力したメールアドレスにミスは無いか?」「メールが迷惑BOXに分類されている可能性は無いか?」ということを疑って欲しい。


クレームを受けて、こちらが再度、住所やメールアドレスを確認すると、「すみません。記載ミスでした。もう一度、送っていただけますでしょうか?」みたいなのが山ほどある。

同じ被害に遭っているサービス提供者さんの気持ちを代弁させてもらっていいですか?

「時間返して」

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【質問】
「西野さんは吉本興業という大企業にいるのに、なぜ、そんな自由に活動できているのですか?」 


【答え】
この質問は本当によくいただくんです。
根底にあるのは、「大きな企業=自分を殺さないといけない」だと思います。

これ、とてもイイ質問だと思うので、応えさせていただくと…


たとえば、「吉本興業」という大企業と「キングコング西野」という個人のスタンスのミスマッチは二つあって、一つは「スピード」です。

吉本興業は大企業かつテレビ・舞台を主戦場としてきた会社なので、とにかく遅いんです。

「上に確認します」とか、「週明けに確認します」とか、「前向きに検討します」という言葉が、平気で使われるんです。

今、言った三つに関しては、

「上に確認します→オマエに決定権がない案件を持ってくるな」だし、

「週明けに確認します→今、確認してください」だし、

「前向きに検討します→検討するぐらいなら組むのを辞めましょう。サヨナラ」なんです。

「時間の無駄になる可能性がある仕事」を僕は徹底的にやらないんですね。
当然、テレビ業界にはびこっている「スケジュールの仮押さえ」みたいな仕事は絶対にやらない。


この辺は「どちらが正しい」という話ではなくて、シンプルに文化の違いで、世界戦はクオリティー&スピード勝負になってくるので、そもそも仕事のスピードの捉え方にズレがある。


もう一つは、「マネージャーが定期的に変わる」という問題。

当然、吉本興業にも考えがあることだと思うのですが、吉本興業って、マネージャーが半年おきに変わるんです。

これが結構厄介で、僕、スピード感をメチャクチャ重視している一方で、完成までに数年を費やすプロジェクトをバンバンやっているんですね。

その途中途中で、マネージャーに変わられると、「いよいよ作品を発表するぞ!」となった時に、作品に対してそれほど思い入れがないマネージャーが担当することになるわけじゃないですか?

そこには「皆で血反吐を吐いて作ったから、なんとしてでも届けたい」という気持ちがない。

想いがのっていない広告は時間とお金をゴミ箱に捨てているのと同じです。

吉本はマネージャーをコロコロ変えたがるけど、西野は「変えて欲しくない」と思っていて、そこに完全なズレがある。


こういうことって、大きな会社に勤めていたら絶対にあると思っていて……この時、正義を振りかざして「会社のルールを変えよう」とする人がいるのですが、「それはオマエ個人の都合だろ」と思うんですね。

「働きたくない人」っているし、
「挑戦したくない人」っているし、
「ホームランは打てなくていいから、三振だけはしたくない」っていう人がいる。

それを認めないのあれば、オマエが起業して、オマエがルールの会社を作れよ、と僕は思います。


なので僕は吉本興業と「そのスピード感で僕と仕事をするのであれば、僕はこの案件は吉本とは組まずに個人でやりますが、どうしますか?」という話し合いをします。

つまり、「退社届けを常に胸に挟んでいる状態で出社する」というやり方ですね。

そして、もう一つは「そんなにマネージャーを変えたいのであれば、分かりました。僕、個人で外部でマネージャーを雇いますので、僕のスケジュールを切りたければ、そのマネージャーと連絡してください」という方法をとっています。

つまり、会社のルールは変えずに、パフォーマンスが落ちないように、環境を再設計する。


そんな感じで大きな会社には大きな会社なりの事情があるので(そもそもその会社を選んだのは自分なわけだし)、あまり強引にルールを変更しようとはせず、大きな会社に所属していてもストレスが発生しないシステムを自分で組んじゃいます。

「大きな会社に所属していてもストレスが発生しないシステム」は誰のお伺いも立てずに自分一人の意思で作れます。

結論、大きな会社(コミュニティー)に所属しながら自由を獲得するには、「自分一人の力で変えられる世界」と、「自分一人の力では変えられない世界」を整理しておくことが大事だと思います。


というわけで、
「会社に勤めながら『自由』を獲得する方法」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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