社員に切られる会社byキンコン西野
このnoteは2020年4月7日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:岡本 純一 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね、
「社員に切られる会社」
というテーマでお話したいと思います。
社員を「労働者」として捉えるな
少し、現代の会社経営についてお話ししたいと思います。
僕のことを昔から応援してくださっている人や、いつもこのラジオ聴いてくださっている方はご存知だと思うんですけど、
僕ね、誰かを出し抜くとか、超嫌いなんですよ。
一人勝ちっていうのは、あまり好きじゃないですね。
「甘い」って言われるかもしれませんが、僕は「みんなと一緒に行く」みたいなのが好きで、モットーは「ウィンウィン」じゃなくて「オールウィン」ですね。
全員が勝ってるっていう状態が好きなんですね。
一時少しだけ話題になった、ゆとり教育のリレーみたいなノリで、手を繋いでゴールみたいな、ああいうのが意外と好きなんです。
理由はいくつかあって、
まず、僕が贅沢に興味がないというのは大きいですね。
六本木でウェイみたいな生活してなくて。
基本、朝から晩までアトリエにこもっておりますので、コンビニの蕎麦とかしか食べてないんですね。あと野菜スティックとゼロカロリーのコーラかな。
1日の食費は700円とか800円くらいだと思います。
高級車に乗りたいとも思わないし、ブランド品を身にまといたいとも、腕時計を巻きたいとも思わないし。
まぁ時々、缶のハイボールがあれば、十分贅沢です。
で、生活にかかるコストっていうのは、かれこれ20年近く変わってないですね。
だから、巷に溢れている「こうすれば稼げる」みたいなのは全然興味がないんですね。
次に僕が何買うかっていうと、美術館を買うとかで。
そっちはもう、20億円とか30億円とかそれぐらいの規模になるから、そんなお金の集め方はユーチューバーとかでも教えてくれないじゃないですか。
野菜スティックから美術館の、この、あいだの欲求がないんですね。
なので、誰かを出し抜いたり一人勝ちして儲けるみたいなものには全くなびかない。
儲ける人を否定してるわけじゃないですよ。
そういうものには自分はあまり興味がない、というだけの話です。
あと、「全員を勝たせることが最大の防御だ」ということを知っているっていうのもありますね。
年貢の取り立てを厳しくすると一揆が起こるわけで、起こってしまった一揆の制圧にコストがかかるわけじゃないですか。
取り立てた年貢と制圧にかけるコストを天秤にかけた時に、マイナスになる事があるので、一揆が起こらないように富を再分配するようにしております。
ここで言う「富」っていうのは、お金の場合もあれば、チャンスの場合もありますね。
本来なら西野がシュート決めれてたんだけど、これを誰かに譲るっていうことを結構やります。
とにかく一人勝ちはしない、一人勝ちじゃコスパ悪いって思ってる派ですね。
なので、基本、全員が勝つように考えるんですね。
オンラインサロンというものを始めたのは、4年、5年ほど前なんですけども、
その時も、まず最初に吉本のマネージャーに伝えているんですよ。
「オンラインサロンやろうと思うんやけどシステムを調べたところ、これぐらいなら既存のプラットフォームを使わなくても自分で作れそうだから一緒にやらない?」
って。
僕一人で勝つのも気持ち悪いから、売上は折半でやろうっていうのを持ちかけたんです。
けどその前に、「オンラインサロンって何ですか?」って返ってきて「マジか」ってびっくりしたんですけど、
まあおじいちゃんに話すように「オンラインサロンって言うのはね」って、やさしく説明してみたんですけど、どうにもこうにも伝わらなくて、
最終、「一旦上に確認します」と返ってきたんですね。
その後、1週間たっても2週間たっても「現在確認中」の一点張りで、これといった返事が無いから「もう僕ひとりでやるよ」っていう確認を取ったところ、
「よくわからないんでオンラインサロンは西野さんが個人でやってください」ってなんかこう、サジを投げられちゃって、今に至ると。
なので、オンラインサロンは僕の会社で運営していますが、最初は吉本に持ちかけてたんですね。
僕のサロンは、月額1000円で現在4万3000人(2020年6月現在6万人超)なので、年間の売り上げは5億円ちょいぐらいです。
今になって考えてみると、あの時のマネージャーの一言で、吉本興業は年間2億5000万円以上をとりこぼし続けているわけだから、やっぱり「知らない」っていう罪は本当に大きいなと思います。
そんなこんなでオンラインサロンで吉本にお金を入れることが叶わなくなってしまったので、じゃあどんな方法で吉本興業にお金を入れて応援しようかって考えたところ、クラウドファンディングがあるなと思ったんですよ。
吉本でクラウドファンディングのプラットフォームを作って、僕はそのプラットフォームを利用すれば「手数料」という形で会社を応援できるじゃんと。
それで、『SILKHAT』というクラウドファンディングのプラットフォームを作って今現在も利用させてもらっています。
今は、映画『えんとつ町のプペル』の前売券を子どもたちにプレゼントする企画を走らせておりまして、昨日、ここで新しい「リターン」を出したんですね。(目標金額達成し現在は支援期間終了)
「西野亮廣オンライン講演会 〜超実践マーケティング〜」です。
オンラインで、自宅で学べる講演会を見れる券ですね。
ここからの800円の収益は、全額子どもたちに寄付させていただくんですけども、このリターンを出した直後にですね、一気にアクセスが集中してサーバがダウンしちゃったんですよ。
アクセスが集中して繋がりにくくなったのか、4時間ほど繋がらなかったんですよ。
サービス提供者として、それを事故として片付けるのは絶対によくなくて、やっぱり「システムの不備」としなきゃいけない。
お客さんに苦労をかけてるんだからね。
で、すぐにマネージャーに連絡したんですね。「サーバー落ちてるよ」って。
まあ、「何で所属事務所のウェブサービスのチェックをタレントがやらなきゃいけないんだ」という気持ちを押し殺しつつですね、
で、「確認します」と返ってきたんですけども、そこからのマネージャーの対応がいちいち遅いんですね。
遅いなら遅いで、その理由は説明しないといけないし、ただ、それもないと。
極めつけは、公式サイトからサーバーがダウンしていることについての説明や謝罪が一切出ていないんですよ。かれこれダウンしてから2時間が経っても。
サーバーがダウンしてるってことは、そこに人が詰めかけているわけじゃないですか。
クラウドファンディングなんて、お客様からお金をダイレクトに預かるサービスなので、信用がすごい大事なことぐらいは普通の大人ならわかりますよね。
イベントの開演が3時間遅れたら、遅れてる理由をお客さんに説明するじゃないですか。
でも、ネットになった途端、それができないと。
これはけっこうの問題だなと思って、すぐに担当者に繋いでもらって直接担当者にLINEしたんですよ。
その時の LINE 読み上げますね。
僕から担当者に送った LINE です。
『SILKHAT』のアクセスが集中してかれこれ2時間ほど繋がらない状態です。僕のお客様には、僕の方から謝罪させていただきました。
公式から説明と謝罪をせず、お客様をほったらかしにする姿勢はエンターテインメントを提供する者として看過できません。
今回のような姿勢を続けられるのであれば、金輪際、僕は『SILKHAT』を利用しませんし、ご協力することもありません。
ちょっと怖いですよね。
でもこれは脅しでもなんでもなくて芸能事務所の姿勢として、大きく間違っていると思ったので、この直後に、吉本興業とやっている仕事、つまり、吉本興業に入れているお金をいくつかカットしました。
そしてこれは初めてじゃなくて、もちろん1ペナで動くことはないんですけども、ペナルティがたまるたびに、僕は吉本興業との仕事を順次カットしていってるんですね。
長々としゃべりましたが、何が言いたいかというと、
所属タレントが、所属事務所の給料をカットしてるよ
って話です。
もう逆になってきてるんですよ、お金の流れが。
なぜこのようなことが起きているかというと、個人で発信する場所もある、そこには課金される場所もあるし、広告費もついていると、
snsもありますから、仕事の依頼はそこにダイレクトで飛んでいきますと、
「発信力」を手に入れてしまったら、殿様商売でマウントを取ってくる会社とかいらないですよ。
これタレントに限った話じゃないですよ。 会社員でもそうですよ。
今はフォロワーが1万人いる会社員とか、平気でいるわけじゃないですか。
家帰って土日にyoutube発信している会社員さんとかが、平気でいるわけじゃないですか。
場合によっちゃ、10万人フォロワーがいてみたいな、平気でいるわけじゃないですか。
そういう人たちからすると、「プラットフォーム」のように利用できる会社か、情がある会社しか必要ないんですよ。
なので、今このラジオをお聴きの経営者の皆様にお伝えしたいんですけども、5年前と今とでは全然違うので。
あなたの会社の社員は、場合によっては個人で、あなたの会社の給料以上の広告収入を、ダイレクト課金を、得ていたりするので。
マルクスの労働者みたいな感じで捉えていたら大火傷しますよっていう話ですね。
基本、社員さんに対しても、プラットフォームとして立ち振舞った方が良いと思います。
会社がプラットフォームになってないと、もうちょっと辛すぎる。
利用されなくなったら終わりです。
会社が利用できない会社になってしまったら、終わりです。
立場はもう完全に逆転しましたよ、これが発信力の正体ですよ
っていう話を今日はさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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