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変えなきゃいけないコト、変えちゃいけないコトbyキンコン西野

このnoteは2020年4月19日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:倉本 和昌 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「変えなきゃいけないコト、変えちゃいけないコト」
というテーマでお話したいと思います。

その考えを捨てないと、今後は生きていけないよ

一昨日、収入が大幅に落ち込んだ世帯に30万円を支給する処置を撤回して、国民全員に10万円を寄付するという発表がありましたよね。

これに対していろんな声が挙がりました。「金持ちに払うな」っていう怒りの声もありましたね。

「あいつらはお金を持ってるんだから10万円なんか渡さなくていいだろう」っていう。

これについては、累進課税というものと照らし合わせてご判断いただけると少しは怒りが収まるのかなと思うのですが、

この国は、稼げば稼ぐほど税率が上がるというルールになっていて、例えば、年間の所得が330万円以下の方は税率が確か10%とかで年に330万円稼いでいたら、所得税は33万円くらいだと。

これが年間所得が4000万円以上とかになると、税率が45%になるんですね。

つまり、年間1億円稼いでる人は、年にざっくり4500万円を納めてくださっていると。

すごくない?1億円稼いでる人って4500万円を納めてくれてるんだよ。

今回、国民に給付される10万円の多くは、このお金持ちの方が納めてくださった税金から出ているわけじゃないですか。

どっちを贔屓してるとか、そういう感情は抜きにして、割合の話をしています。

僕なんかはどうしても、「お金持ちに払うな」って怒ってる人が受け取る10万円の内訳を考えちゃうんですね。その10万円どっから出てる?誰が支払ったのって。

ここに対して、僕個人的に思うのはむしろ「お金持ちの皆様あざーっす」なのですが、皆さんはどうですか。

「税金をたくさん払ってるから偉い」とかそういうことでは決してなくて、普通にお金の話を整理して、流れを整理して出どころを割り出したら、怒りの感情って生まれないと思うのです。

もう少しだけ冷静になって、一つ奥を想像して、助け合えるといいなぁと。

その流れで、コロナの対応に限らず、今後気を付けた方がいいなと思うことがあったのでお話します。

それが今日の本題「 変えなきゃいけないコト、変えちゃいけないコト」ですね。

収入が大幅に落ち込んだ世帯に30万円というところから一変、国民全員に10万円になったわけですが、

これに対して、とある議員さんが「総理の言い分が180度変わっているじゃないか」と怒っていたんですね。

この「昨日言っていることと違うじゃないか」というストレスが生まれてしまう理由は理解できます。

言い分としては、「数字が通ってない」みたいなことですよね。

ただ、その「初志貫徹こそ正義」みたいな道徳が通用したのは、一昔前の話で、今回のコロナは状況が刻一刻と変わるわけじゃないですか。

最初は世界中が日本のコロナ対策を批判しました。僕も「それ大丈夫なの?」って思っていました。

ただ結果として、今の段階では感染拡大の抑え込みにギリ成功していると。

当時は自粛だ自粛だって言ってたけど、そのうち「いやいや経済も回さないとダメだろう」っていう声が上がって、その翌週には「いやいやこれ本当に死ぬ奴だから店を一旦締めてでも自粛だ」という感じになった。

それで、2、3日前あたりからは「いやいやこれに3年戦争になるぞ、さすがにそんな長期化も店閉められない。どうやって共存していくか」っていう流れになって。

これ、ものの2、3週間の出来事ですよ。

たった2、3週間でこれだけ状況が変わって、道徳が変わってくるという。

状況がこれだけ変わると、それは戦略も変わりますよ。

というか、変えないといけないじゃないですか。

3週間前に立てた戦略なんて通用しないので、もう古いので、それは。

これはコロナ対策に限った話ではなくて、これから僕らが歩むことになる未来は、基本、この調子で目まぐるしくゲームチェンジが起こると。

テクノロジーがバンバン出てくると、

「あの仕事要らないじゃないかこの仕事要らないじゃないか」
「意外とこれが仕事になるんじゃない?」
「ちょっと待ってこの道徳通用しないじゃないか」

みたいな事がバンバン起こるわけじゃないですか。

となると、

変えなきゃいけなくなるのは言い分ですよね。
変えちゃいけないのが理念。

ここがすごく大事ですね。

最近でいうと、「Zoom 会議」みたいなものが普通になって、名刺交換とかなくなりましたね。

名刺交換の際のマナーみたいなものは、もはやどうでもよくなった。

これを喧々言ってたって仕方が無いじゃないですか。

これは言い分が変わってるっていうか、そもそもなくなったっていう話になってくるのですが。

そんな感じで、あるはずものが無くなって、ないはずのものが生まれてっていうのがすごいスピードで回っていくので。

変えなきゃいけなくなるのは言い分で、変えちゃいけないのが理念であると。

目的に対して、その瞬間における正しいアプローチをするのは非常に重要です。

例えば、乗客を守るために「舵を右に切れ」って指示を出したにも関わらず、しばらく進んだ先にあるはずのない氷山が見つかったら「舵を左に切れ」って指示を出すじゃないですか。

その時、「さっき右って言ったじゃねーかよ」って船長に突っ込んでしまうと、この船が沈む。

だから、「さっき右って言ったよな」と思うかもしれないけれども、さっきと今は違うっていう話ですね。

さっきはその氷山の確認をサボったわけじゃなくて、船長が何度も確認したけど、さっきはそこには氷山は無かったとなっちゃうのが、これからの時代ですね。

さっきは無かったの確かに。
ただ、進んでみたら急にニョキニョキと出てきたんだよっていう。

これに対応していかなきゃいけないというのが、これからの時代ですね。

言い分は右へ左へ右左変わりますが、理念が一貫していたらチームは理解できるはずなんですよ。

要するに、この船の理念というのは、乗客を危険にさらしてまで一刻も早く目的地に向かう船なのか、それとも乗客の命を守ることを最優先に考えて、それを優先した結果、目的に着くのが2、3日遅れてもそっちを選ぶ船なのか
という部分ですね。理念というのは。

この理念の一貫性というのは大事で、言い分に一貫性を求めてしまったら一瞬で沈んじゃうよっていうのが、これからの時代だし、現在僕たちが向き合っているコロナの問題ですね。

やっぱりコロコロ変えていかないと言い分は。

だけど理念っていうのが、非常に一貫性が必要だということですね。

言い分を変えないということが美徳とされておりますが、この辺の道徳は、そろそろ改めなきゃいけない時期に来ているなあということを、今回改めて思いました。

というわけで、
「変えなきゃいけないコト、変えちゃいけないコト」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。



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