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出版業界の今【キンコン西野】

このnoteは2023年3月31日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。

 
 

コロナでいなくなった人が戻ってきていない
 

昨日は朝から夕方までかけて、最新刊『夢と金』2000冊にサイン入れがありました。
 
「2000冊にサイン」と言われても、あまりイメージできないかもしれませんが、“手を止めてしまうと終わらない量”でして、途中、取材が入っていたのですが、取材中もひたすらサインをしていました。
 
偉そうにすみません。

朝11時にスタートして、終わったのが17時頃かな。
 
手は動きっぱなしですが、口と耳は空いているので、幻冬舎の編集者さんとか、役員の方とか、営業の方とか、アルバイトの方とかと、ひたすらお話しさせていただいたのですが(基本、西野の質問攻め)、そこで「出版業界の今」について聞かせていただいたんです。
 
「出版不況」とも聞くし、「電子書籍は調子がイイ」とも聞くし、実際はどうなのか?
 
“中の人”に聞いてみました。
 
まず、「コロナ禍」はどうだったか?というと、巣篭もり需要やら何やらで、「ドリル」とかがメチャクチャ売れたそうです。
 
「将来、大丈夫かしら?」と思った人達が勉強や資格獲得に走ったのでしょうか。
 
とにかく「ドリル」が売れたんですって。
意外と追い風が吹いたそうです。
 
ただ、もちろん追い風ばかりじゃなくて、やっぱり年輩の方が外出しなくなったので、本屋さんからその層がガッツリいなくなったそうです。
 
そして、コロナ禍でいなくなった層が、コロナが明けた今も、戻ってきていないそう。
 
巣篭もりの間に他の娯楽に出会ったのか、それともまだ外に出ていないのか、ちょっと分からないですが、そこの層が戻ってきていない。
 
たとえば、IP(知的財産)を持っている出版社さんとかは、版権を売ったり、2次展開したりアレやコレやで頑張っていたりするのですが、街の本屋さんにはそんなものは無くて、年輩の方がゴッソリいなくなったら、そのまま売上が下がっちゃうんです。
 
もともと本屋さんの数は減っていて、去年おこなわれた調査では、全国1741の市区町村のうち、5割弱の自治体に「書店がない」または「1店舗しかない」ことが分かっていて、そこにコロナが直撃。
 
泣きっ面に蜂で「コロナでいなくなった人が戻ってきていない」というのが現状です。
 
じゃあ、「今、どれぐらい本が売れているのか?」というと、これも少しビックリしたんですけど、去年一番売れたのが『80歳の壁』という本なんですけども、これが50万部ぐらいだそうです。
 
50万部は凄い数字なのですが、とはいえ、年間1位で50万部です。
 
もう「100万部」とか「200万部」とかはいかないみたいです。
 
ここが結構リアルだなぁ(確実に数字が落ちている)と思いました。
 
 

「本屋さんにとってはあまり良い風が吹いてない」だから「本屋さんを応援する」
 

時代の波とコロナが合間って、ダメージを受けているところは確実にダメージを受けていて、そんな話を聞くと余計に本屋さんを応援したくなっちゃいました。
 
いつも僕は『キンコン西野のサイン本屋さん』というオンラインショップで自分のサイン本を出しているのですが、今回の『夢と金』ではサイン本を出していません。
 
理由は「本屋さんに足を運んでもらう為」で、昨日書いた2000冊のサイン本は全て、全国の本屋さんにお送りするものです。
 
そして、本屋さんからサイン会のご提案があったら、時間の許す限り足を運ぼうと思っていて、4月16日には紀伊國屋書店 新宿本店さんでサイン会をおこなって(※定員に達したので募集は締め切らせていただきました)、4月18日に少し時間がとれたので大阪の本屋さんをまわってサイン会をおこうなう予定です。
 
また詳細が決まり次第、お伝えします。
 
話をまとめると、とにかく「本屋さんにとっては、あんまり良い風が吹いてない」ということと、「だから、本屋さんを応援する」ということですね。
 
僕は本屋さんには凄く救ってもらった人間なので、やっぱりここは無視できない。
 
こんな話をすると「じゃあ、Amazonで宣伝しない方がいいんじゃないか?」みたいな意見をいただくのですが、僕はそれは違うと思っていて、本って(本に限らずですが)「売れているモノ」が売れるんですね。
 
「人が集まっているところに、人が集まる」というか、「数字が数字を呼ぶ」というか。
 
「今、どの本が売れているんだろう?」で本を探す人は一定数いて、「100万部売れている本をとりあえず買ってみる」という人は一定数いて、そうすると、まずは「売れること」が大切で、「売れる本」を作ることが本屋さんの応援に繋がる。
 
実際、皆さんも、本屋さんに貼られているポスターやポップで「Amazonランキング1位」という文字を見たことがあると思いますが、あれはつまり「Amazonで売れています」と打ち出すことが本屋さんの宣伝に繋がっているわけで、「本屋さんの為にはAmazonで宣伝をしない方がイイ」というは少し筋違いかもしれません。
 
そんなこんなで、いよいよ発売が近づいてまいりました『夢と金』ですが、この機会に、ドサクサに紛れて本屋さんを応援していきたいと思います。
 
 

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