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『犯人探し』をしたところで、あまりプラスが無い【キンコン西野】

このnoteは2024年8月17日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


 
 

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』で起きたちょっとしたトラブル

 
べつに大量のデータ(エビデンス)がとれているわけではないので話し半分で聞いていただきたいのですが、「(少なくとも僕の場合)一言目にコレを言った場合、いつも面白い結果が待ってる」というのがあって、もしかしたら皆様の挑戦の後押しかヒントになるかもしれないので、今日はそんな話をさせていただきます。
 
昨日、来年の夏にあるファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』(KAAT 神奈川芸術劇場)の件でちょっとしたトラブルがあったんです。
 
まぁ、皆さんからするとたいしたトラブルじゃないのかもしれませんが、僕らはまだまだ小さなチームなので、一つ一つの仕事を諦めずに丁寧にやっていかないといつでも崩れちゃうから、僅かな綻びであろうと「まぁ、いいや」となれません。
 
どんなトラブルだったかというと…
 
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』(KAAT 神奈川芸術劇場)の一般チケット(第一弾)の発売日時は「今月(8月)25日(日)の22時半」にしていたんです。
 
日曜日はさておき、「22時半販売開始」って変な時間じゃないですか?
 
これにはワケがあって、僕らは毎週日曜日の22時に『毎週キングコング』というYouTubeチャンネルをやっていて、これが奇跡みたいなチャンネルで、ノー編集で、ただキングコングの二人がウダウダ喋っているだけの手抜きチャンネルなのですが、毎週コンスタントに30万回ぐらい再生されるんです。
 
少し時事に触れた時は50万回~100万回ぐらい再生されます。
 
これが22時から22時半まであるので、8月25日の『毎週キングコング』終わりに、チケットの一般販売の告知を挟んで、そこで一気に売ってやろうと思い、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』(KAAT 神奈川芸術劇場)の一般チケットの発売日を8月25日の22時半に決めたんです。
 
そこに合わせる(25日に向けて煽る)形で、8月23日(金)に、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の裏側密着映像の第一回配信もスタンバイしていて、なんなら告知が重なったらいけないので、その週に予約開始予定だった『CHIMNEY TOWN 2025カレンダー』の予約開始も翌週(8月31日)にズラして、とにかく『8月25日』に照準を絞ってスケジュールを調整していたんです。
 
もう3ヶ月ほど前から。
 
 

CHIMNEY TOWNのスタッフには共有されていなかった、シンプルな連絡ミス

 
ところが昨日、「8月25日の『毎週キングコング』は夏休み」という驚きの情報が入ってきたんです。
 
吉本興業サイドとCHIMNEY TOWNサイドで、「8月25日は西野がニューヨークにいるし、夏休みにしよう」という話し合いがされていたみたいで、「夏休みにする」ということで梶原西野のスケジュールを組んだそうで、もうそこは覆せないんですね。
 
これは僕らミュージカルチームとしては寝耳に水で、「8月25日に『毎週キングコング』をやらないのであれば、じゃあ、なんの為にチケットの発売日を8月25日の22時半にしたのさ?」という話なわけで。
 
つまるところ、ミュージカルチームには一般チケットの発売日を8月25日の22時半に決めた理由は共有されていたけれど、CHIMNEY TOWNのスタッフには共有されていなかった…という話で、シンプルな連絡ミスです。
 
そのことを受けて、昨日、CHIMNEY TOWNの映像回りを担当している社員のザキヤマを事務所に呼んで、「どうしよっか?」という話をしたわけですが、その話し合いの一番最初に口をついて出てきた言葉が「まず、犯人探しはやめよう」だったんですね。
 
これはチームのミスだし、さらに言うと「やっちゃった…」という人は、どうせもうとっくに気づいていて「どうしよう…」となっているし、とっくに反省もしているだろうし、その人を探しだして問い詰めたところで状況が引っくり返るわけじゃないし、犯人を探したところでプラスは一個も無いよな…と思って。
 
先に結果を言っちゃうと、そこからザキヤマと散々話しあって、8月25日の『毎週キングコング』は丸々「夏休み」とはせずに、これまでにやったことのない企画をブチ込むことが決まり、これがどうやらすっごく面白そう(夏休みにするより遥かに面白そう)で、それも今回のようなトラブルが起きなかったら出てこなかったアイデアで、結果、ものすごい良い場所に着地したんです。
 
もしかしたら、チケットの発売時間は8月25日の朝の7時とかに変更するかもしれませんが、当然、8月25日の『毎週キングコング』終わりではダメ押しの告知を挟みます。
 
 

「とりあえず犯人探しをやめよう」と言えた時、いつも良い結果が出ている

 
それはそれで楽しんでいただくとして、今日はこの「とりあえず犯人探しはやめよう」という言葉についてお話しさせてください。
 
この言葉を前に使ったのは、今年1月にニューヨークでおこなわれたミュージカル『えんとつ町のプペル』の投資家向けのプレゼン公演の1週間前です。
 
もう何ヵ月前からキチンと許可も確認もとって準備を進めてきて、「いよいよ来週、一世一代の大勝負だ!」となったタイミングで、ブロードウェイのユニオン(労働組合)の方から、「あなた方がやろうとしていることは規則違反です」と言われ、まさかの公演一週間前に用意していたネタが全て白紙になっちゃったんです。
 
こういうことがあったらいけないから、事前に何度も確認をとっていたのに、結局、一番最悪なことが起こってしまった。
 
そこで、プロデューサーやメインのクリエイターを緊急召集して「さて、どうする?」という話をしたわけですが、その時も第一声に「とりあえず犯人探しはやめましょう」と言ったんです。
 
もう時間が無かったから、今はそんなことに時間を使っている場合じゃないと思ったんです。
 
とにかく、理不尽に抗うんじゃなくて、理不尽の中で生きることを決めて、今やれることを全力でやって、結局、今年1月のプレゼン公演はCHIMNEY TOWN史上最大の成功を納めることになったわけですが、何より、そこでブロードウェイのプロデューサーがメチャクチャ僕らのファンになってくれたんです。
 
「この人達、こんな理不尽をくらったのに犯人探しをせずに、目的に向かうんだね」と。
 
結果、予定どおりに進めた時よりも明らかにリターンは大きかった。
 
トラブルが起きた時に、一言目に「とりあえず犯人探しをやめよう」と言えた時、いつもすごく良い結果が出ています…という話です。
 
プロジェクトを進める日々は試行錯誤の連続で、上手くいっていない時はその原因を探し出すことは大切なのですが、その原因が明らかに「個人」だと分かっている場合、その個人はとっくに反省しているから、これ以上、追い込んでも何も生まれない。
 
原因を洗い出すことは大切だけれど、個人を追い込んでまでやることじゃないのかもしれません。
 
「とりあえず犯人を探しはやめよう」と言ってみたら、チームが面白い動きを始めるので、トラブルに見舞われた時に一度試してみてください。
 
 

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