「行動」と「アイデア」を分けて考えよう by キンコン西野
このnoteは2020年6月21日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:がんばろう淡路島 エモトアキノリ さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日は、
「『行動』と『アイデア』を分けて考えよう」
というテーマでお話しします。
「行動」と「アイデア」を切り分けて評価できるようになると最高だなぁと思っています。
「罪の所在を明らかにする」という言い方がイイのかもしれません。
昔、友人から面白い話を聞きました。
とあるホームレスの方の「稼ぎ方」についてです。
そのホームレスの方は、まず「空き缶を拾って売るのはコスパが悪い」と考えられたそうです。
実際、調べてみたんですけど、空き缶の販売は、
「1キロ=65円〜100円」らしいです。
おおよその目安ですが、ゴミ袋をパンパンにして、約400円。
これだけ聞くと、「あれ、意外と、まとまった収入になるじゃん」と思われるかもしれませんが、空き缶って、あんまり落ちてないんですって。
空き缶を拾うだけだったらビジネスとして成立しそうですが、それ以前の問題で、「落ちている空き缶を探さなきゃいけない」
これが大変みたいです。
そこで、そのホームレスの方が何をしたかというと転々と神社仏閣の階段の踊り場にある「お香」の壺があるじゃないですか?
煙を頭とかにかけるやつです。
あのお香の巨大な壺の「縁(ヘリ)」に小銭を2〜3個置いたらしいんです。
そうすると、次に来た人が、その隣に小銭を置いて、その次に来た人が、更にその隣に小銭を置く。
で、壺の縁が小銭でいっぱいになったタイミングで、ゴッソリと回収する(笑)
まぁ、これは何かしらの犯罪だと思いますし、今、お話しているのは、この行動自体を肯定しているワケでも推奨しているワケでもありません。
ただ、めちゃくちゃ良いアイデアだし、めちゃくちゃクリエイティブだなと思うんです。
人間の習性を上手く捉えている。
こういった「行動自体はアウトだけど、アイデアは素晴らしい」ということって、世の中にたくさんありますよね。
ここを区別せずに評価を下してしまうと、結論、計画犯罪をする犯罪者から学ぶことが無くなくなってしまいます。
でも、計画犯罪を実行する前には、かなり考えているハズなんですよ。
だって、自分の人生がかかっているんだもん。
罪は罰せられるべきだと思うのですが、そこで生まれたアイデアまで殺してしまうのは勿体ない。
もしかすると、その中には、人助けの為に使えるものがあったかもしれない。
この話を少しスライドさせます。
自分が嫌っている人っているじゃないですか?
その人というのは、こちらから見るかぎりでは何かしらの罪を犯している。
あんなコトをしたり、こんなコトをしたり。それらが許せなかったりします。
この時に、判断基準として持っておいた方がいいのは、自分がその人の「行動を嫌っているのか?」「アイデアを嫌っているのか?」です。
たとえば、「暴力をふるうから嫌い」
…これは、「行動」も「アイデア」も嫌っているハズです。
その行動には思考のカケラもない。
じゃあ、「CDを握手券として売り出すAKB商法が嫌い」はどうでしょう?
そういう方、いらっしゃいますよね? 「音楽で勝負しろ」的な。
…この場合、嫌っているのは「行動」なんですよ。
「CDを握手券として売り出した」というアウトプットの方法を嫌っているだけで、「商品の意味を移動させた」というアイデアは嫌っていないんです。
だって、「商品の意味を移動させた」というアイデアまで嫌っているというのであれば、「ビックリマンチョコ」も嫌わなきゃいけない。
でも、「AKB商法許せない」と言っている人の中で、「ビックリマンチョコは許せない」と言っている人を見たことがありません(笑)
時々、「AKB商法は許せない」と言っているアーティストが、「初回限定版ジャケット」とかを出しているところを見かけたりしません?
それって、音楽を売ってないじゃないですか。
ジャケットを売っている。
なんなら、初回限定版と通常盤の2枚を買わせようとしている(笑)
つまり、アイデアの本質的な部分は「握手券」と一緒なんですよ。
批判の辻褄が合っていない。
こういうのって、「行動」を嫌っているんです。
アウトプットの方法を嫌っているだけで、その答えに到るまでの思考の軌跡は嫌っていない。
もう少し踏み込んだ話をします。
たとえば、「チーム」を想像してください。
そこには「マネージャー」がいて「リーダー」がいる。
「マネージメント」という仕事と、「リーダーシップ」という仕事がある。
「マネージメント」の役割というのは、「行き方を考えること」です。
一方、「リーダーシップ」の役割というのは、「行き先を示すこと」です。
僕らは、普段「課長のやり方は嫌いだけど、社長の方針はイイ」みたいな感じで、分けて考えています。
「課長から学ぶことはないけど、社長から学ぶことはある」みたいな感じで、チーム全体を批判するわけじゃなくて、人単体で切り分けで判断し、学ぶ人を選定している。
あれです。あれを個人に置き換えるんです。
「行動を嫌っているんだっけ? アイデアを嫌っているんだっけ?」という感じで、棲み分けて考えられるようにならないと、嫌いな人のアクションを自分のエネルギーに変換できなくなるから、結論、「勿体ないよ」という話です。
というわけで、
「『行動』と『アイデア』を分けて考えよう」
というテーマでお話しさせていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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