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キングコングの武道館ライブがまた観れるようになりました【キンコン西野】

このnoteは2022年9月26日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。


武道館での「お笑いライブ」って、そこそこ大変で・・・


昨夜、情報が出ていたので、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今年2月に日本武道館でおこなったキングコングのライブが、Huluさんで観れるようになりました。

そういえば、これまでキングコングのライブを、こういった形でお届けすることは無かったので、今日は武道館ライブの開催から、Huluさんで観れるようにするまでの背景をお話ししたいと思います。

まず今年2月の「武道館ライブ」に関しては、梶原君と熊本で呑んでた時に話が盛り上がって「やろう」となったのですが、実際、武道館で「お笑いライブ」をしようと思ったら、そこそこ大変なんです。

特に、「コロナ禍」というのが大きい。

生々しいことを言うと、ライブ直前にキングコングのどちらかがコロナに罹ったり、あるいは「濃厚接触者」になってしまうと、その時点でライブは中止になるわけですが、中止になったとしても、その時点で、すでに美術セットやら何やらは作り込んでいるわけで、それこそ僕らは歌舞伎でも経験しましたが、公演当日に「コロナ」や「濃厚接触」の疑いが出た場合なんかは人件費から何から「公演をした時と同じだけの費用」がかかるわけで、コロナ禍のライブというのは、「まずは、その金銭面のリスクを誰が背負おうか?」という話になるんです。

この「背負う人」を決めない限り、公演のGOは出せないのですが、大きいライブになってくると、支払いのリスクが、ウン千万円じゃ効かないレベルになるので、やっぱり皆、手を挙げにくいんです。

ただ、それを言ってたらいつまで経っても武道館でライブなんてできないので、今回は僕の会社で背負うことにして、梶原君と呑んで話した翌日には武道館の予定をおさえにかかりました。

で、「◯月◯日にやります」と決めた時点で、日本武道館の会場費を払うんです。

そこから次に「チケット販売」になるわけですが、コロナ禍なので「5000キャパ以上の会場は◯◯%は空席にしなきゃいけない」みたいなソーシャルディスタンスルールがあって、つまり、武道館満杯にチケットを売り切ることができないんです。

なので、オフラインのチケットを完売させても、予算はウン千万円レベルで回収できないんです。

この時点で、ちょっとゾッとしますよね(笑)?


オンライン配信のアーカイブを残すのにもお金がかかる


「それでもやる!」と覚悟を決めないと、進まないので僕らは「それでもやる!」と決めて、で、オンライン配信のチケットの販売の手配を進めるわけですが、ここがちょっと難しくて、オンライン配信チケットって、よく「アーカイブは◯月◯日まで」という感じで期限が設けられているじゃないですか?

「ずっと、残しといて、ずっと売り続ければいいじゃん?」って思いません?

今後の為に、その「ずっと残しておく」が難しい理由を共有しておいた方がいいと思うのですが、基本的には「アーカイブをどこかのプラットフォームに残す」となると、映像の管理ウンヌンカンヌン、チケット販売ウンヌンカンヌン、問い合わせウンヌンカンヌンで、人が動くことになって、要するに「手数料」がかかるんです。

「1日延長するごとに+20万円」みたいな感じで。

その場合だと、たとえばオンライン配信チケットが2000円だったら、1日100枚以上売れないとモトが取れないんですね。

当たり前ですけど、チケットの売り上げって、日を追うごとに下がっていって、どこかのタイミングで1日のチケット売り上げ枚数が100枚を切るタイミングがある。

その前に、アーカイブを終了しないと、収支はマイナスになっちゃうから、アーカイブに期限を設けている…というのが一点。

もう一点は、一般的に、芸能事務所に所属しているタレントさんは「商品」なので、言ってしまえば、その商品を利用するのにはお金がかかるんですね。

これは「吉本興業が」とかいう話じゃないですよ。芸能事務所全般の話です。

なので、武道館ライブを開催する時点で「梶原君(吉本興業)にギャランティーを払ったら終わり」ではなくて、当然、オンライン配信をするなら、その分追加でギャランティーをお支払いして、そこからアーカイブの期限を伸ばすのであれば、その分も追加でお支払いする必要がある。

一般的には、これは「チケットの売り上げ」は関係ありません。

たとえば、アーカイブを半年伸ばして、チケットが一枚も売れなくても、半年分のギャランティーはお支払いすることになる。これは当然だと思います。


Huluさんも、吉本興業も、本当に頑張ってくださった


なので、「オンライン配信チケットのアーカイブの期限」というものが設けられるわけですが、期限を設けたら設けたで、「オンライン配信見損ねた」とか「また見たい」みたいな声が絶対に上がるんです。

実際、キングコングの武道館ライブは、多分、150回ぐらい「オンライン配信のアーカイブは◯月◯日まで」とアナウンスさせていただいたのですが、それでも「見損ねたー!」という声がたくさんありました。

でも、「もう一回オンライン配信チケットを売る」となったら、また、そこでお金がかかっちゃうんですね。

そんな時にHuluさんの方から「キングコングの武道館ライブをHuluで流しませんか?」というお話をいただいて、そこから、ウチとHuluさんと吉本興業とでイイ落とし所を話し合って、今回のアクションに至ります。

今回はキングコングの武道館ライブの配信を記念して、Huluさん用に『毎週キングコング』を一本(1時間バーション)収録したのですが、一つ言えることは、ウチの会社もそうですが、Huluさんも、吉本興業も、いろんな権利やら何やらある中、「どうにかして、お客さんに武道館ライブを届けよう」と本当に頑張ってくださいました。

今日みたいな話をしないと、そこに権利が発生して、そこにお金が発生して、そこにスタッフさんの生活があることを想像しにくいと思うんです。

僕はよく「無料公開」をしますが、あれは全ての権利を僕が持っている場合で、ただの「足長オジサン」です。

今回はそうじゃないことをご理解いただけると嬉しいです。

 
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