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キミにも必ず届ける by キンコン西野

このnoteは2020年2月26日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
Voicyの提供:濱田恭子さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしています。

今日は、
「キミにも必ず届ける」
というテーマでお話しします。

8年前、たったひとりではじめた物語

同様の内容をブログでも投稿させていただきましたが、今日の話はとても大切で、僕自身の大きな勝負でもあるので、あらためてこちらでもお話しさせていただきます。

これまでたくさん笑われたり、たくさんバカにされたり、たくさん叩かれたりしながら、本当に長い長い助走期間を経て、いよいよ今年の12月に映画『えんとつ町のプペル』が公開となります。


実は、『えんとつ町のプペル』という物語を書き終えたのは、もう8年も前です。当初から映画にするつもりではありましたが、「こんな得体の知れない作品は誰も見てくれないだろうな」と思いました。

だからといって手放すには惜しすぎる物語だったので、物語の一部分だけ切りとって、まずは絵本として世に出して、何年かかってでもきちんと応援してくれる方を作り、みんなの熱が高まったタイミングで映画化しようと考えました。

このように、『えんとつ町のプペル』は、先に映画の脚本があって、それを届けるためのチラシとして絵本を世に出したというわけです。ただ、チラシといっても手を抜いたわけではなく、たくさんのものを、本当にたくさんのものを犠牲にして作りました。

8年前、たったひとりではじめた『えんとつ町のプペル』でしたが、気がつけばもう僕ひとりの物語ではなくなっていて、今では多くの挑戦する方の希望になっています。

昨年末、天才万博というイベントで映画『えんとつ町のプペル』の公開を発表した時、終演後に5、6歳ぐらいの子供が走ってきて、「西野君が作る映画は絶対に見たいから来年までにお小遣い貯めるね」と言ってくれました。

その時、僕はもう涙腺が崩壊してしまって、「もう広げちゃったんだな」と思ったんです。「もうこの作品は、子供からお父さんお母さん、僕と同世代の連中、そしておじいちゃんおばあちゃんまで、沢山の方の思いを背負ってるんだ」と思いました。これほど強く「負けたくないなぁ」と感じたのは初めてです。

映画の「応援しろ」を用意する

こうして、真正面から映画というものと向き合っているのですが、実は前々からこの映画というエンターテインメントに、少し疑問を抱いている部分がありました。

それは、「応援しろが用意されてない」ということです。以前、僕の友達が、身を削って本当に素晴らしい映画を作りました。僕は、その友人が朝から晩まで色んなものを犠牲にして映画作りと向き合っていたのを知っていたし、何よりその友人が作った映画は本当に素晴らしかったのです。

そこで、僕は「お疲れ様。そして素敵な作品を本当にありがとう」という気持ちで、チケット代を余分に払いたいと思いました。制作費の足しにしてもらうとか、スタッフさんと美味しいものを食べてもらうとか、そういうことに使ってもらいたくて、チケット代を余分に払いたかったのです。

ところが、映画のチケットというのは、『一般で1800円』の一律料金です。お笑いライブや音楽のコンサート、演劇などであれば、グッズを買うことで芸人やアーティストや役者さんの活動を支援できますが、映画にはそういった『応援の受け取り口』があまり用意されていません。

「応援したい人がいるのに、応援の受け口がない」という状態です。時々、グッズが用意されている作品もありますが、あくまで気持ち程度です。

そこで、なんとか映画製作者を具体的に応援できる方がないかと考え、この度、映画『えんとつ町のプペル』の前売り券をプレゼントできる仕組みを作りました。これは、クラウドファンディングを使います。


全国のサッカースクールやダンススクール、習字教室やピアノ教室といった子ども団体、そして児童養護施設、さらに虐待などで預けられている子や家庭環境が複雑で預けられている子が暮らす施設。

また、シングルマザーやシングルファザーの家庭を支援する団体に、事前にお声がけして、手を挙げてくださったところにクラウドファンディングの支援先になっていただきました。

支援してくださる方には、クラウドファンディングの支援先の一覧の中から支援したい施設団体を選んでいただくという段取りです。そこでマッチングが成立すると、映画の前売り券をその施設の子供たちにお送りすることができます。

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そして、この映画『えんとつ町のプペル』が誰からのプレゼントなのかというのも、子どもたちにきちんと伝わるようにしたいと考えています。

これで、『応援したい人』、『支援を受け取る施設団体や子どもたち』、そして『映画製作チーム』の三方良しになります。

今回の映画プロジェクトには、東宝さん、アニメーションスタジオのスタジオ4°Cさん、電通さん、吉本興業など、本当にたくさんの大人が絡んでいます。しかし、「映画を見たくても見れない子がたくさんいます。ここで前例を作らせてください」とお願いしたら、皆さんが本当に快く協力してくだり、たくさんの大人が色んなところに走り回ってくださいました。

例えば、反社チェックのリストを作ったり、ちゃんと弁護士さん通して文面を確認したりなどです。事前に起こりうる様々な問題を考え、先回りして全部潰しました。そうして、本当に大勢のスタッフが動いてくださったことで、今回の企画を無事にスタートすることができています。

大切なのは、ここで前例を作って成功させることです。たぶん結構大変なプロジェクトになると思われますが、このプロジェクトは必ず成功させます。

最初は、映画を応援するための仕掛け作りとして企画を練り始めたのですが、この企画を進めているうちに、ある想いが生まれてきました。

それは、「やっぱり僕は、生まれ育った環境でエンターテインメント諦めなきゃいけない子たちがいるのは、絶対に嫌だ」ということ。

手を上げてくださった施設の子供たちには必ず全員届けます。もしよかったら力を貸してください。プロジェクトをシェアしてくださるだけでも、本当に大きな力になります。

最後に少し真面目な話をすると、今僕らが住んでいるこの日本という国は、結構落ち込んでいて、そこに今回のコロナウイルスがやってきました。

せっかくの東京五輪も大きな打撃を受け、まだまだ先が見えない状態で、五輪が終わった頃にはいよいよ「この国はどこに向かって走ればいいんだ」という空気が流れるでしょう。多くの方が希望を持てなくなる未来がもうすぐそこまで迫っている状態です。

やはり僕は、エンターテイメントを生業にしている人間なので、この状況を何とかしなくてはいけないと思っています。

辛い毎日の駆け込み寺としてのエンターテイメント、疲れたときの休息場所としてのエンターテイメントが必要です。

そして、「やればできるんだ」ということ、「色んな方からバカにされたり、笑われたり、叩かれたりしても、続けていれば花開くんだ」という希望が持てるようなエンターテイメントをお届けしたい。

そういうものを次の世代のちびっこ達に見せなければいけないと、勝手に使命感に燃えております。そこで、今回のような企画を立てました。

応援する人が応援出来て、そして、これまで諦めなければいけなかった人が諦めなくてもいいような環境を作りたいと思っております。

ぜひ応援よろしくお願いいたします。

というわけで、
「キミにも必ず届ける」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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