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リクエストに応える際のリスクを把握しておこう by キンコン西野

このnoteは2020年2月20日voicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 三口まこと さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「リクエストに応える際のリスクを把握しておこう」
というテーマでお話ししたいと思います。

多数決ではチームは守れない

今日のお話は、経営者の方、クラブの部長さん、プロジェクトリーダー、バイトリーダー、お父さん、お母さんといった、いわゆるチームリーダーや、接客業に従事するすべての方に届けばいいなあと思います。

一応、僕もかれこれ20年近く、エンタメ業という接客業をしています。僭越ながら、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』という3万7000人のチーム(2020年6月時点は、6万人を突破)のリーダーも務めておりまして、お客さんおよびチームのメンバーの皆さんの満足度を考え続ける毎日を送っています。

そこでは、「チームのためにリーダーはどうあるべきか」という問いの連続です。例えば、代表例として、多くのリーダーがやりがちで、多くの場合において良い結果をもたらしていないのが多数決です。

多数決で決めるのであれば、リーダーというものは必要ありません。
リーダーという生き物は、いわば船長で、乗客乗員全員が前進を選んだとしても、船長の長年の勘と統計で、まもなくひどい嵐になることが予想されるのであれば、乗客乗員全員をぶん殴ってでも、船を進めてはいけません。

なぜなら、乗客には気温や湿度、鳥が飛ぶ高さや雲の流れから、嵐が来ることや、その嵐の規模を計り知ることはできないからです。

そんな彼らの意見に従ってしまうと、結果的に彼らを殺すことになってしまいます。なので、その瞬間嫌われようがなにしようが、乗客乗員全員を守らなければならないのが、船長の仕事です。

つまり、船長の仕事とは守るために判断することです。船長であれば舵を離してはいけません。「みんなお前の船に乗っているんだ」という話です。

そして、僕が3万7000人のサロメンバーに、常日頃言っているのが、「僕は3万7000人全員の意見は聞く。ただし、参考にはさせてもらうけれども、反映させてもらうかどうかは、僕が決めます」ということです。
僕が決めないと、僕は3万7000人を守れません。言い換えると、全員を守るということは、全員の意見を反映することとイコールではないという話です。

ここがリーダーの腕の見せ所で、これ一歩間違うとワンマンになってしまいます。すごくネガティブに捉えられてしまいますが、チームの未来を考えた時には、未来が見えている人のワンマン性や独裁制というのは必要な場合があります。

ただそのとき、反映するかしないかはさておき、「耳を傾ける」というのは、とても大事なことだと思います。

そこで、このリーダーの「耳の傾け方」が今日の本題です。


リーダーの耳の傾け方


では、リーダーはどのようにして、お客さん及びチームメンバーに耳を傾けるのか、そして、耳を傾ける際に何を気をつけたらいいのかをお話しします。

みんなの声を吸い上げる時に、本当に気をつけたほうがいいことが、ひとつあります。

それは、お客さん、及びチームメンバーの皆から「不満」を募集することです。「不満があればも何でも言ってください。対応しますので」というやつです。

あれは非常にリスクを伴う行為です。不満の募集自体をやるなという話ではなく、不満を募集する際に発生するリスクを把握しておいたほうがいいよという話です。

これは僕のサロンでも、本当によく見られる光景ですが、不満を募集すると、ある時間帯を過ぎた頃から、みんな不満を創作し始めます。

他の人が言っていない不満を探し、ついには創作し始めます。しかし、創作し始めるというのはつまるところ、「そもそも不満を感じていなかった」ということです。

例えば、今日の放送の不満を、僕が皆さんから募集したとします。

いろんな不満があるかもしれません。例えば、「前フリが長い」これはわかります。今日も5分くらいが前フリになってしまいました。この不満は参考にさせていただきます。

他には、「私は時間がないので、放送は5分以内に収めてほしい」これもまだ理解できます。反映しないけれど、「一応言っていることはわかる」ということです。

さらに他には、「こまめに切れるのが煩わしいので、週一放送でいいから30分の放送にしてほしい」など。これもまだギリわかります。参考にはさせていただきますが、反映はしません。

こういった調子で不満を募集し続けると、ついには、「今日の放送は退屈だと思います。これは不公平なのではないでしょうか」という不満が届いたりします。

しかし、この時僕が思うのは、「ちょっと待てよ。お前今日の放送を聞いたときに、まずその不満を持ったか?本当にそのまま持ってたか?いまこの瞬間に不満を絞り出したろ」ということです。

不満を募集すると、不満を創作しはじめて、自分で創作した不満に対して「確かにそうだ」と不満を覚え始めてしまう。

その結果、不満を募集したことによって、お客さんやチームメンバーの満足度が下がってしまうという事態が、往々にして起こり得るということです。

これは本当に気をつけた方が良いと思います。
特に今は、レストラン型から、バーベキュー型になり、「みんなで食べるものを、みんなで作りましょう」という時代に入っています。

そうすると、みんなをまとめ上げるリーダーは、必然的にみんなの意見を聞く機会が昔に比べて増えたので、その時に不満を募集してしまうと、不満の総量が増えてしまいます。「不満を創作し始める人が出るぞ」ということは、リーダーを務める方は覚えておいた方がいいと思います。

くれぐれも、これは「不満を募集するな」ということではなく、「こういうリスクがありますよ」というお話でした。

というわけで今日は、
「リクエストに応える際のリスクを把握しておこう」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは素敵な一日をお過ごしください。
キングコング西野亮廣でした。



※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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